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※太宰のキャラ崩壊あり。

ちょっと生々しいすけべあり



___コツコツと革靴の足音が廊下に響く。男は、死に際の魚の様な顔をしていた。

仕事が長引いてしまい、家に帰るのが遅くなってしまった。

それだけならまだ良いのだが…

なんせ、男の自宅にはあの悪魔(の様な奴)がいるのだ。

(あいつ怒ってんだろうなぁ……)

男は、その悪魔を思い浮かべて身震いした。

男は、部屋の前につくと鍵を開けて中に入る。

「ただいま~……」

途端、大型犬が飼い主に突進するかのように、人影が飛び出してきた。

「うおっ!?」

「おかえり!どこいってたの?」

「…ぁ?」

「遅かったから…寂しかった」

「………………は?」

男__中原中也の顔に大きな疑問符が浮かぶ。

待て、おい。こりゃ、どういう事だ?!

あの、陰険でどサドでツンケンした野郎が、まるで犬だ。

犬は犬でも、大型犬だ。なんだったか、ゴールデンレトリバーとかいうやつだっけ。

「なぁ……太宰」

「なあに?」

小首を傾げて、太宰が聞く。

そんなあざとい仕草、常の太宰なら断じてしない。

「手前、何があったんだ?」

「何って…いつもの私だよ?」

駄目だこりゃ。何を言っても、いつもの太宰が帰ってくる気がしない。

途端、自身の携帯端末がけたたましく鳴り響いた。

表示される名前は『江戸川乱歩』。

「……」


***


「催眠だァ!?」

『そう。太宰ったらまた変な茸食べちゃって。

で、今その茸の効果が切れるまであと1日ってところかな。

だから、太宰が元に戻るまで、君の家で預かってね』

「はぁ!?」

『じゃ、そういうことで〜』

「おい待て、テメ___」

プツッ。プーップーッ……

無情にも、通話が切れる。

中原は頭を抱えた。

そして、ふと太宰に目を向ける。

遊んで、構って。と言わんばかりに目を輝かせてこちらを見上げている。

「ッ……手前、その目止めろ!懐くな!」

「だって大好きなんだもん。構って?」

上目遣いで、無駄に良い顔面をフル活用した太宰に、中原が言葉に詰まる。

「はッ……な訳あるか!俺は手前が大嫌いなンだよ!」

「…そっ、か……」

明らかにしょぼんとした顔で、太宰が俯く。

「そうだよね、私、中也の邪魔だもんね……」

「…ッ、ああもう!悪かったっての! だぁぁあもう!好きにしろよ!」

「ほんと!?ありがとう、中也大好き」

ぱっと顔を輝かせて、太宰が中原に抱きつく。

そして、顔面に止むことの無い接吻の雨を降らせる。

「っ、太宰、やめ」

「やーだ。大好きだもん!」

「……ッチ」

中原は一つ舌打ちをすると、太宰を抱き上げ寝室に向かう。

そしてそのまま布団の上に太宰を下ろした。

「ちゅーや?」

「大人しく寝てろ…俺の心臓が持たねぇ」

こんな太宰、おかしい。普段のひょうひょうとした、どこか物悲しげな太宰ならまだいい。

だが、こんな……人懐こい大型犬みたいな奴なんて、俺の心臓に悪すぎる。

中原は太宰に背を向けて布団の側に座り込み、目を閉じた。

「……ちゅーや」

「なんだ……っ!?」

途端、首の後ろに衝撃を受ける。

後ろに倒されたのだと気づく前に、唇に柔らかいものが押し当てられる。

それが太宰の唇だと認識すると同時にぬるりと舌が侵入してきた。

「……んッ、ふ……ぁ」

太宰の舌が、中原の口内を蹂躙する。

遠慮なく、ベロベロと口内の至る所を舐められる。

飲み込みきれずに口の端から垂れる唾液が勿体無いと思い、それを舐めとった。

「ん……っふ」

唇を離すと、銀糸が二人の間を伝った。

「中也、中也。好き。大好き。」

ふにゃりと笑う太宰。

その笑顔に、思わず中原は心の中で頭を抱えた。

なんで、なんでだ。なんだこれは。

こんな太宰、地雷だ。解釈違いだ。

こんな太宰、俺の知ってる太宰じゃねぇ!

「っは、は……離れろ……」

「なんで?ちゅーしたから?」

「そういう問題じゃねぇ」

中原がそう言うと、太宰の目にじわぁっと涙が浮かぶ。

あ、やばい泣く___と中原が思った次の瞬間には太宰の目から涙が溢れ出ていた。

「……やだ……きらいにならないでぇ……」

ぐずぐずと鼻を鳴らして泣きじゃくる太宰に、中原は思わず頭を抱えた。

(どうしろってンだよ!おい!)

とりあえず、太宰を泣き止ませなければ。

中原は太宰を抱き起こしてあやす様に背中をさすってやる。

「泣くなって……」

「ちゅや……すきぃ……」

「……っ」

上目遣いでそう訴えられて、思わず言葉に詰まる。

なんだこれは。なんなんだよこれは! いつもは絶対言わない様な事を、よりにもよって今言いやがる。

ああもう!可愛いなンの畜生!

「……俺もだよ、太宰」

俺よりも図体のデカイ男に向かって可愛いは可笑しいと分かっていながら、そう呟く。

太宰はきょとんとした顔をしたのち、ふにゃりと笑った。

「ほんと!?ちゅーや、好き?」

「嗚呼」

「嬉しい!大好き!」

そう言って太宰はまた中原に抱きついた。

___嗚呼、もうどうにでもなれ! ***

「……ちゅや」

「ん?」

「したい……」

太宰が上目遣いでそう強請る。

もう中原は困惑である。

「お、おい太宰?したい…っつーのは…その……?」

「交尾」

交尾。セックス。子作り…

は?

「いや駄目だろ!馬鹿か!」

「やだ!シたい!」

「今の手前を抱く気にはならねぇ!」

無理だ。勃たない。

「何言ってるの?私が挿れるんだから問題ないよ?」

は?(2回目)

「中也は私の雌なんだから、当たり前じゃないか」

俺、さっきいつもの太宰じゃないって言ったよな。前言撤回。

此奴、何も変わっちゃいねぇ___!!


【暗転】


___すげぇセックスだった。

獣のセックスってこんな感じなんだなと、中原は思う。

必死に『ちゅうや、ちゅうや』と自身の名を呼びながら、ガツガツと遠慮なく中原の尻を掘る太宰には常の余裕は無く、本物の獣のように感じた。

完全に舐めてたのに、真逆、そこは変わっていないとは……。

「…クソ、ケツ痛ェ…!」

横を見れば、すやすやと眠る太宰の姿があった。

人に散々種付けしやがったら満足しやがって…と、悪態をつく。

「ん……ちゅうや……」

太宰がその端正な顔をふにゃりと歪ませて笑う。

___嗚呼もう!そんな可愛い顔すんな!!

こんなの、太宰じゃないと 分かっているのに___

***


「……中也。私、まるまる昨日ごとの記憶が無いのだけれど…何か知らない?」

「……手前は一生知らなくていい」

「はぁ?云いなよ。私に隠し事なんてしちゃ駄目だろう?」

眉間に皺を寄せ、太宰が中原に迫る。

「手前が……っ!」

思わず、そう声を荒らげてしまった。

「……何?」

訝しげな顔で太宰は聞いてくる。

嗚呼、もう!畜生!言うしかねぇ!!

悪いな太宰。現実を受け入れろ。

「……手前はな、大型犬みてぇに俺に懐いてた。

すっげぇ人懐っこくてな、そりゃもう大変だったぜ。好き、大好き〜…ってうるせぇぐらいに云ってたな」

太宰の表情がピシリと固まる。

「あ、あとあれだ!交尾したい〜……とかも言ってたぜ?」

「はぁ!?嘘だろう!?」

「いやほんとだって。動画もあるぜ?」

「動画!?何撮ってるの!?」

「手前ン所の名探偵に聞いたが…ありゃ、『想い人に素直になる』催眠茸らしいな?ったく、性質の悪ぃ茸頼みやがって……。迷惑だぜ」

「ぁ……」

太宰の顔がみるみる赤くなる。どうやら図星らしい。

まぁ太宰が素直になるなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないからな。

そう思いながらふと顔を上げると、目の前には耳まで真っ赤になった太宰がいた。

「ぅ…ぁ……その…」

…可愛いな。なんて思いつつ、更に爆弾を投下していく。

「なぁ、教えてくれよダァリン?俺に素直になりたかったんだろ?ん?」

「……そ、そうだよ!悪いかい!?」

太宰はやけくそだと云わんばかりに叫び散らす。

「でも、表立って云えないじゃないか……嫌われたくなかったのだよ。だから、こんな茸に頼ったのだよ。私は……君の事が好きだったから」

「っ……!」

嗚呼もう!本当に手前は狡い男だよ!! 中原は太宰の胸倉を掴んで引き寄せると、接吻をした。

「俺も愛してるぜ、治」

一瞬、太宰の目が見開かれるが直ぐにいつもの顔に戻ってしまった。

「……え?」

「ンな顔すんなよ……」

ふはっと笑ってみせると、太宰もつられて笑った。

___この想いが通じ合う日が来るのを、お互いずっと待っていたのかもしれない。







【おまけ】

「ち、ちなみに動画って?」

「ハメ撮り。手前が必死に可愛い顔で腰振ってやがんの。傑作だぜ」

「最悪」

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