「あれ、何か入ってる…?」
ある日、コナンが学校から帰宅し郵便ポストを覗くと、ポストの中に一通の封筒が入っていた。普段ならこんな時間帯に手紙などくることは無いのだが…ポストの中に入っていた封筒を取り出す。
「誰からだ?」
毛利小五郎様と書かれた表面をめくり、裏面の差出人の名前を確認すると、そこには差出人の住所はなく、“本田菊”とだけ書かれていた。
(本田菊…聞いた事のない名前だな…おっちゃんの知り合いか?だとしたらなんで住所が書かれてないんだ..?)
その名前に聞き覚えの無いコナンは一先ずおっちゃんが帰ってくるまで待つことにした。
・・・・・・・
「“本田菊”だぁ?」
「うん、差出人にそう書いてあったんだけどおじさんの知り合い?」
おっちゃんが帰って来て早々、コナンはさっそく例の手紙について聞いてみた。
「本田菊…本田菊….いや、聞き覚えねぇな」
どうやらおっちゃんの知り合いでは無いようだ。
「俺宛なんだったら中身を確認してみりゃいいじゃねぇか。中になにか書かれているかもしれねぇだろ?」
「あ、それもそうだね。今、持ってくるよ!」
おっちゃんってたまに冴えてるよな、と思いつつ手紙を取りに向かう。
・・・・・・・
「はい!これ。」
ポストに入っていた封筒をおっちゃんに差し出す。
「どれどれ〜…..ん?なんだこれ」
おっちゃんが封筒を開けると中には一通の折りたたまれた手紙と、3枚の小さい紙が入っていた。小さい紙の方を見るとどうやら船のチケットのようだ。
「これ、船のチケットだ…」
コナンは思わず身を乗り出す。
「おじさん、手紙にはなんて書いてあったの?」
おっちゃんの方を向いて尋ねると「ん」と手紙を渡された。手紙に書かれている内容を読み上げる。
「えーと…?『拝啓 毛利小五郎様。突然お手紙を差し上げますこと失礼をお許しください。貴殿の活躍は耳にしています。是非とも一度お会いしたいと思い、鈴木財閥にご関係があると伺いましたので、僭越ながら今度の鈴木財閥が主催で行われるパーティーの招待状をお送りさせていただきました。もちろん無理のない範囲で構いませんのでご参加いただければ幸いです。本田菊。』」
手紙の内容を見るに先程のチケットは鈴木財閥が主催するパーティーのもののようだ。にしても随分と丁寧だな…。
「おじさんのファンの人…ってことだよね?どうするの?」
「あぁ?もちろん行くに決まってんだろ!愛しのレディが俺を待っているかもしれないんだぞ!?」
「え?でもまだ女性って決まったわけじゃあ…「おら!ボウズ、とっとと準備するぞ!!」
「え、えぇええ!?」
・・・・・・・
――次の日、阿笠博士の家にて
「ってな訳で……」
コナンは昨日の出来事を蘭たちに伝えた。
「あぁ…だからおじ様、あんなに嬉しそうに聞いてきたわけね?」
「もう、お父さんったら!」
園子がカウンターで頬杖をついている隣で蘭は小五郎に対して怒っているようだ。別居中ではあるが、妻がいるにも関わらず数々の女性に声をかけるのだから蘭が怒るのも仕方ないだろう。
「ねぇねぇ園子お姉ちゃん。」
「僕たちもそのパーティー」
「参加出来ねぇのか?」
阿笠博士の家に遊びに来ていた歩美、光彦、元太達がコナンの話を聞いていたようで、園子に尋ねる。
「あんた達も?うーん…まぁ参加できなくは無いけど……」
「けど?」
歯切れが悪そうな園子の言葉に疑問を浮かべる。
「今回は新しいプロジェクトとか、仕事の話をするから面白いことは無いわよ?まぁ…食事は提供されるけど…..鰻は無いしねぇ…」
園子の回答にコナンと灰原を除く子供たちは「ええぇ…!?」と、一斉にがっかりしたような顔を見せた。
「う、うなぎが無いなんてつまんねぇんだぞ!」
「そこですか?!」
元太の発言に光彦がツッコミを入れる。
テレビを見ていた歩美が「あ」と声をあげる。
「園子お姉ちゃん、新しいプロジェクトって今テレビでやってるやつ?」
「え?」
園子がテレビの方を見ると画面には『簡単に組み立てられる!簡易版シェルターとは?』とテロップが出ている下に鈴木財閥の相談役である鈴木次郎吉氏と、黒縁の眼鏡をかけた男性が映っていた。
「えぇ、そうよ。確か……国のお偉いさんも来るらしいわよ」
「ふぅーん、そうなんだ。」
子供たちは国の偉い人には興味がないようだ。
「でもでも!でーっかいお船でやるんでしょ?歩美乗りたーい!」
「僕も乗りたいです!」
「おれも!おれも!!」
子供たちがどうにか船に乗れないか園子を必死に説得する。
「園子、どうする?」
「うーん仕方ないわね…いいわよ、連れてってあげるわ!」
蘭が困った顔をするも、結局園子が根負けしたようで子供たちも船に乗船できることとなった。
・・・・・・・
――数日後のパーティー当日
コナン達一行は今回のパーティーの会場となるメガクルーズ船、『Thalassa Crown ship』(タラッサ・クラウン号)が入港する港へと到着した。
「で、でっけぇー!!?」
「うわ〜!すーっごい大きなお船〜!!」
「ほんとですね!」
子供たちは初めて見るメガクルーズ船の大きさに驚いたのかはしゃいでいる。そして、その様子を蘭や園子、コナンと灰原が微笑ましく見ている。
「たっく、あいつら…。」
「まぁ…こんな大きな船、そうそう見ることないものね。」
「そういえばお父さんは?」
小五郎の姿が見当たらないことに気がついた蘭が辺りを見渡すと、
「麗しいお嬢さん、宜しければ今夜美しい夕日を見ながらワインでも…」
と、女性にナンパしている小五郎の姿が見えた。
「相変わらずね…。」
「お父さん!いい加減にして!!」
蘭の背後に鬼が見え始めたので、コナンたちは一足先に船に乗ることにした。
「さ、さぁガキンチョ共!船に乗るわよー!」
「「「はーい!!」」」
子供たちがキャッキャとしながら桟橋の上を渡って、船の中へと入っていく。
「さて、私達も行きましょうかね。」
「そうだな。」
・・・・・・・
乗船した瞬間、目の前に広がったのは天井まで吹き抜けのエントランス。足元から頭上まで広がるガラスの壁に、天井から吊り下げられた煌びやかなシャンデリアの光が、壁にきらきらと反射している。
「きれーい!」
「これ本当に船の中なのかよ!」
「屋上にはテーマパークもあるみたいよ?」
蘭が船内マップを指さしながら子供たちに見せる。マップにはテーマパークの他にもプールやショッピング施設があるようだ。
「テーマパーク!!?」
「すっげぇすっげぇ!!」
「パパの仕事相手の人もいるんだから、はしゃぎすぎないようにね!」
そんな会話をしていると遠くの方からスタッフが近寄ってきて、園子の前へと来ると深々とお辞儀した。
「園子お嬢様、お待ちしておりました。私、客室担当の水野と申します。園子お嬢様のお部屋へとご案内させていただきます。」
「ありがとう。」
スタッフに礼を言ってこちらに振り返る。
「それじゃああんた達、荷物が準備できたら会場の前に集合ね?」
「「「はーい!」」」
そうして俺たちは一度解散することになった。
・・・・・・・
――30分後
パーティ用の正装に着替えたコナンたちがパーティー会場の前へと到着する。開けっ放しになっているドアから中を除くとさすがはメガクルーズ船のパーティー会場、帝丹小学校の体育館が丸ごと入るのではないかと思うほどの広さだ。
(すげぇな…)
「流石、お金持ちは違うわね。」
「なんかおめぇの発言から棘を感じるんだが…」
「あらそう?気のせいなんじゃない?」
灰原とコナンが会話を交わしていると、
「うーん…パパどこにいるかな…。」
近くにいた園子がスマホを片手に辺りをキョロキョロと見渡し始めた。園子の父親である鈴木会長と待ち合わせをしていたようだ。
「あ!パパー!!」
「園子!!」
どうやら鈴木会長を見つけた様で側へと駆け寄っていく園子にコナンたちもついて行く。
「ご無沙汰しております」
「おぉ!毛利探偵もいらしていましたか!」
「「「こんにちは!」」」「「こんにちは」」
「少年探偵団の君たち、久しぶりだね。ようこそタラッサ・クラウン号へ、是非ともこの船のクルージングを楽しんでいってくれたまえ。」
小五郎に続き、子供たちも鈴木会長に挨拶をする。
「この船動くのか!?」
「今日の夕方には着く予定だけどね。それまでは自由にしてくれて構わないよ。屋上のテーマパークも遊べるようになっているからね。」
「「「ありがとうございます!」」」
今日のパーティーは新しいプロジェクトに関することだからなのかパーティー会場には子供の姿が無い。つまりは俺たちの為にわざわざテーマパークで遊べるようにしてくれたようだ。
「わざわざこいつらの為にすみません。」
「いやいや、いいんだよ。今日は楽しんでいってくれ。」
「ありがとうございます。じゃあみんな、食べ物取りに行こうね。」
「やったー!!」
蘭が鈴木会長に感謝を伝えると子供たちを連れ、バイキングエリアへ向かった。蘭たちを見送った後、そろ〜りと小五郎が会長の側へと近づく。
「あの〜それで菊さんはどちらに…?」
「菊?あぁ、本田さんの事かい?」
「え、えぇ。招待状をいただいたんですが、どんな方か分からなくて…」
「そうでしたか!本田さんならえぇと…」
キョロキョロと会場内を見渡す。
「あ!居られました、あの方ですよ。」
鈴木会長が視線を向けたその先には、どう見ても二十代前半ほどに見える黒髪・黒目の青年が立っていた。落ち着いた仕立てのスーツを身にまとい、隣にいる金髪碧眼の外国人男性と親しげに談笑している。
その姿を見た瞬間、小五郎の顔が一瞬で曇った。
「え…男性……?」
ショックを隠しきれず、ガックリと項垂れるその背中に、コナンは軽くため息をついた。
「まぁ…名前だけじゃ、性別は分からないものね」
「そうだな。」
灰原があっさりと告げると、コナンもうなずいた。
その時、鈴木会長が青年のもとへと歩み寄り、声をかける。
「本田さん、お話中のところすみません…本田さんに招待されたという毛利探偵をお連れました。」
鈴木会長の言葉に気づき、声をかけられた青年――本田菊は、はっとしたようにこちらを向いた。その瞬間、会場の空気が僅かに張り詰めたように感じるも、すぐに静かな笑みを浮かべて一歩前へ出る。
「あなたが……あの“眠りの小五郎”さんですね!? お噂はかねがね伺っておりました。まさか本当にお越しいただけるとは……光栄です!」
そう言って、小五郎の手をしっかりと握る。
「い、いや〜……こちらこそ、わざわざ招待してくださりありがとうございます。」
流石におっちゃんも目をキラキラと輝かせてくれる本田さんに素っ気ない態度は取れなかったようだ。
「本田さんは今回の新プロジェクトを日本に導入するために防衛省の代表として来られたんですよ。」
「え!?防衛省の代表ですか?!」
その場にいた本田さん、鈴木会長、そして本田さんの隣にいる男性以外の全員が驚きの声を上げる。無理もない、まるで学生のように若く見える本田さんの肩書きとしては、あまりに重すぎる。
「代理のようなものですからそんな大層なものでは無いですよ?」
(いやいや、その若さで代理は凄いだろ…)
「そうかい?相変わらず日本人は謙虚だと思うんだぞ。」
本田さんの主張を否定するように、それまで側で黙っていた外国人青年が口を開いた。
「あなたは…?」
「あ、紹介が遅れましたね。」
本田が一歩横に下がり、隣の青年を手で示す。
「この方はアルフレッド・F・ジョーンズさん、今回のプロジェクトに関わるアメリカ合衆国の代表として来られました。」
「ほーアメリカですか。」
(アメリカ合衆国の代表か…にしても若いな…。)
目の前に立つ彼も本田さんと同じくどう見ても20代前半にしか見えない。そして、彼もまた年齢に見合わない肩書きを持っている。
「俺も代理みたいなものだよ。上司に頼まれちゃってさ、全くあの人ったら人使い荒いんだぞ…。」
「アルフレッドさん、日本語上手だね!確か日本語って覚えるの難しいんでしょ?」
上司への愚痴をこぼすアルフレッドにコナンが猫を被ったような声で話しかける。
アルフレッドは、ぱっと明るい笑みを浮かべた。
「日本語は菊に教えてもらったんだ!菊が全く英語を話せるようにならないから俺が日本語を話せる様になったんだぞ。」
「申し訳ありません……語学は、どうも苦手でして」
本田さんは苦笑しながら頭を下げると、隣のアルフレッドさんが肩をすくめて笑った。
(国の代表っていう肩書きより、友人として一緒に来た――そんな感じだな)
そんな風に会話を弾ませていると、会場奥からスタッフが近づいてきた。
「本田様、アルフレッド様、そろそろステージ裏へのご移動、お願いいたします」
「はい、承知しました」
本田さんが静かにうなずく。その様子に、空気がふっと引き締まる。
「じゃ、あとでまた話そうな! 今夜は楽しい夜になるといいんだぞ!」
本田さんとアルフレッドさんを見送ると、鈴木会長もまた、
「さて、私もそろそろ出番があるので失礼しますね。」
と、ステージの方へと歩いていった。
・・・・・・・
鈴木会長達がステージ裏に行き、しばらくすると、ステージの照明が落ち、ざわついていた会場がすっと静まり返る。
ほどなくして、大型スクリーンに『Project AEGIS』の文字が浮かび上がった。鋼鉄のプレートのようなフォントが、どこか軍事的な印象を与える。
司会の男性が壇上に立ち、静かにマイクを握る。
「ただ今より、鈴木財閥による新防災プロジェト、“Project AEGIS(イージス)”の概要発表を開始いたします」
その名を聞いた瞬間、コナンの眉がわずかに動いた。
(イージス…盾か。)
スクリーンに『Project AEGIS』のロゴが浮かぶ中、ステージ中央に鈴木次郎吉会長が現れると、会場から自然と拍手が起こった。
「本日はお忙しい中、この『Project AEGIS』発表会にご出席いただき、誠にありがとうございます。」
「このプロジェクトは、かねてより私共が構想していた“次世代型防災インフラ”への取り組みです。自然災害の多い日本において、迅速かつ柔軟な対応が可能となるよう、民間と官公庁が連携し……」
プロジェクトの概要が端的に説明されていく。
(官公庁…だから防衛省の代表として本田さんが来たのか)
鈴木会長の挨拶が一段落すると、会場の照明が少し落とされ、彼の隣に立つ黒髪の青年――本田 菊が、落ち着いた歩みでステージ中央に進み出る。
「皆さま、こんばんは」
柔らかくも芯のある声がマイクを通して響いた瞬間、会場がしんと静まり返った。
「この度、日本政府の防衛省より、本プロジェクトにおける技術評価と実用性検証の任を受け、こちらへ参りました本田 菊と申します」
そう述べながら、本田さんは深く一礼する。
「“Project AEGIS”は、ただの避難設備にとどまらず、有事の際における国民の“生命線”となることを目指しています。皆さまの信頼に応えられるよう、誠心誠意取り組んでまいります。」
その言葉に、自然と拍手が巻き起こる。コナンも無意識に拍手を贈っていた。
続いて、本田の隣に立っていた金髪碧眼の青年――アルフレッド・F・ジョーンズが一歩前に出た。
「あーあー、うん大丈夫そうだね!」
マイクの音量を確認したアルフレッドさんが話し始める。
「俺はこの“AEGISプロジェクト”に国際的技術支援を提供する立場で参加している、アメリカ合衆国国防総省のアルフレッド・F・ジョーンズだ。」
アメリカ合衆国国防総省という言葉に一同がどよめく。
「知っていたかい?簡易式シェルターの構造は、米軍が使用する移動型防衛ユニットをベースにしているんだ。」
思わぬ軍事的背景に、更に会場が小さくざわつく。
「でも安心してほしい。これは武器じゃなくて、“命を守る盾”、それが僕たちの目的さ。アメリカとして皆の安全のために、最先端の技術を惜しみなく提供するよ。」
そう言って親指を立てるアルフレッドさんに、場内からはまた拍手が起こった。
その様子を見ながら、コナンも手を叩いたが――ふと、ある言葉に引っかかる。
(“アメリカ”として……?)
ただの比喩にしては、妙に重みのある言い方だった。国の代表としての発言にしてはどこか違っているような…
(いや、考えすぎだな。)
拍手がしばらく続いた後、照明がゆっくりと戻り、壇上には再び司会者が現れた。
「続きまして、本プロジェクトの技術開発を担う各企業より、代表者を紹介させていただきます。」
会場の空気が改めて引き締まる。
そのタイミングで、コナンがそっと蘭の袖を引いた。
「蘭ねーちゃん、僕ちょっとトイレに行ってくる。」
「大丈夫?迷わない?」
「うん、大丈夫。すぐそこだし。」
そう言って、コナンは人の波をすり抜けるように会場を出ていった。
・・・・・・・
会場を出た廊下は、静かで照明もほんのりと落ち着いた色合いに抑えられている。クルーズ船らしい豪華な絨毯が足元に敷かれていて、歩く音も立たない。
(それにしても…アルフレッドさんのあの言葉、気になるな…)
頭の中で先ほどの発表内容を思い返しながら、船内の案内表示に従って男子トイレへと向かう。
曲がり角をいくつか進んだ先で、男子トイレの出入口にスーツ姿の男性がひとり、携帯を耳に当て、低い声で何かを話している姿が見えた。
(あれ、あの後ろ姿って…)
横顔がわずかに見えた瞬間、コナンの足が自然と前へ動く。
「本田さん!」
確信を持って声をかけると、男性はぴたりと動きを止めてこちらを向いた。
「おや、君は…毛利探偵とご一緒にいらした少年ですね?」
「僕、江戸川コナンっていうんだ!よろしくね、本田さん。」
少年らしい笑顔で近づき、自己紹介をする。
「…コナンくんですね?よろしくお願いします。」
一瞬、表情が曇ったようにも見えたが、本田さんはすぐに挨拶を返してくれた。
「本田さん、誰かと電話してたの?」
「見られていましたか…少し、知り合いと話をしていただけですよ。」
「へぇ〜、そうなんだ。」
コナンが興味ありげに相づちを打つ。
「それで、コナンくんはなぜここに――
パンッ――!!
本田さんがコナンに問いかけようとした瞬間、鋭い破裂音が船内に響き渡る。
「っ!?」
反射的に地面へ身を伏せたコナン。そのわずか横で、本田さんも素早くしゃがみ込み、鋭く周囲を見渡す。
耳がまだキーンと鳴っている中で、わずかに震える床と、船内に走る悲鳴がコナンの五感を刺激した。
(今のは……銃声。それも……)
「パーティー会場……!」
コナンと本田さんの声が、ほぼ同時に重なった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!