探偵社の仮拠点へ戻ると既に誰もいなくなっていた。…社長とルーシーちゃんを残して。多分マフィアと戦っているのだろう。
「ええっと…ウイルスの異能を持つ犯罪者は……プシュキン・Aね。今は日本にいる…ん?この騒動が起こったあたりから経歴が消えてる…ああ、フェージャが拾ったんだ。」
名前と顔が分かり、警察のネットワークを(勝手に)借りてヨコハマ一帯の監視カメラをしらみ潰しに見ると、ある森へ入った所で行方が分からなくなった。
その森の先には炭鉱がある…そこがアタリか。
「…………………あ、治ー?犯人と居場所分かったんだけど…ああ、そうもう向かってるのね。……どうせそこに敦少年と芥川くんもいるんでしょ。……うん、うん、はいはい、痛いねー。…じゃあ頑張っ……?芥川くんが?良いよ。」
治に直ぐに連絡し、犯人とその居場所が分かったことを連絡するともう分かっていたようだった。…私が動き回った意味は……?
取り敢えず、芥川くんが私に代わりたいらしい。一瞬治の声が遠のくと、敦少年と治、芥川くんが口論みたいになっているのが聞こえた。…いやどう言う状況?
「…もしもしっっ!!羅紫さんっ!芥川です!!」
「うおん、芥川くん。久しぶり…でもないか。どうやら敦少年と乗り込むみたいだね?」
「…はい。何故僕が人虎などとっ…!然し太宰さんの命とあらば、遂行せざるを得ません…!」
予想外の大きい声に変な声が出た死ぬ。というか敦少年と芥川くんの協力、治の手前出来るとお互い言ってるんだろうけど相性最悪だろうなぁ…ここは先輩としてのアドバイスが必要なのか?
「そっか。まあ根を詰めすぎないでね。敦少年は猫だと思って!」
「ちょ、羅紫さん!僕虎((口を慎め!人虎!!……分かりました。猫ですね。」
「ん?なんか聞こえたけど…まいいや。あ、無花果貰ったからこの戦い終わったら一緒に食べよ〜!」
「い、良いのです((えー!!私も羅紫と一緒に無花果食べたーい!!((太宰さん……」
「いやいや、芥川くんが好きだって言ってたから無花果貰ったんだよ。治には今度蟹のフルコース奢ってあげるから。((なら良いよっ!私頑張るー♡((太宰さんっ……」
「じ、じゃあ3人とも頑張ってねー!あ、地面操る系の異能力者もいるみたいだから気をつけてね。切るよ、治。……………大丈夫かな……」
なんか緊張感無いなあ。…あ、プシュキンの顔伝え忘れた。まあ良いか。
通話が終わり、携帯を閉じようとすると乱歩さんからメールで炭鉱の出口に来るように、と通知が来た。多分プシュキンを待ち伏せるのだろう。彼はどのくらい先の未来を見通せるのやら。
まあ向かうか。
森さんと社長から絶対一発は喰らわされるだろう、楽しみだなあ。
敦side
怒涛の通話が終わり車内は静まり帰る。けどそれは異様な静けさだった。
「……(羅紫さんと無花果を一緒に食べる…✨嬉しい…!)」
「……(羅紫と蟹パーティ♡自殺はその日まで取っておこうっと♡)」
「……(食べ物で釣られる羅紫さんガチ勢と猫呼ばわりされた僕……)」
二人とも電話が来る前とは打って変わってやる気に満ち溢れている。というか僕は突っ込みをしたほうが良いのか?もう放置でいいかな?
…まあでも羅紫さんなら猫扱いされても良いかな。あの人ならきっと幸せにしてくれそうだ。うん。
よく分からない現実逃避とほんの少しの妄想をしていると現地へ着いた。
…うわあ芥川の目が今までに無い位輝いてる…
「……(帰りたい)」
帰ったら羅紫さんに茶漬けを奢ってもらおうか。その位なら許されるだろう。
警備を猛スピードでくぐり抜けていく芥川をそれに負けない速さで追って行った。
羅紫side
「あ、乱歩さん!久しぶりですねー!」
「羅紫!遅い!」
叱られながらも出口へ到着。周りには両組織の面子が勢揃いしていた。
バッチバチだねえ…。立原くんとか谷崎くんへガン飛ばしまくってるけど谷崎くん本人はナオミちゃんといちゃついてて気付いてないし。銀ちゃんもなんかその二人見て照れてる。ウブだなあ。可愛い。
閑話休題。
そろそろプシュキンが出てもおかしく無い時間だ。ここずっと炭鉱の中から轟音が響いているがアイツちゃんと人間の姿で出てこれるのだろうか。(
「………ハアッ、ハアッ……?!」
お、出てきた。プシュキン唖然。まあそりゃそうか。勢揃いだもん。
二大トップダブルパンチ。ふはは。ざまあだ。
私はまだこの件はもう終わりだと思っていた。
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