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【半創作】然り

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【半創作】然り

1 - 第1話 相談

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2023年06月25日

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『いなくなろうと思うの』

『あとはよろしくね。』

長女の私に投げかけた言葉。


朝、そうお母さんが言った。

土曜日だった。

これ以上一緒にいても辛くなるだけだろうと思ったから、お父さんについて行った。

お父さんが”お母さん”という度、ひるんだ。


お母さんが黙々と準備をしている。

心做しか明るくて、本当なんだなって。

それで、いよいよ車で走り出した。

見送りができなかった。

少し前に進んだ車を見つめた。

私は泣いた。大粒の涙だった。


携帯の制限が解除されていた。

もう、ほんと、ほんとにって。

そしたら着信があった。

弟は寝たか、離婚を考えてる、って。

…巻き込まないで欲しかった。

もう6年生だけど、まだ6年生なんだから。

まだ目を瞑っていられる歳なのに。

でも、お母さんがいなくなっても何とかなるんじゃないかなって思った。

設計図無しにその場で何とかした図工の作品がいっぱいあるから。

でもそう簡単じゃないんだろうな。

また着信があった。

みんなに迷惑かけたくないから帰るね、と。


元を辿ればお父さんが悪い。

自由すぎる、身勝手すぎる。

やっていいか聞く前にはもうやってる。

家にはぜんぜんいない。

いびきはうるさいし、言動もうるさいし。

家事もしない。

でも、弟達を連れてくれてるから、孤独をたしなめたのはいい点かもしれない。

お母さんは自由になりたかった。

1人、静かに、自由を。


もういやだぁ…。

私にできること精一杯やりたいけど無理だ。


お母さんは帰ってくる。

私はそれを拒んだ。

心のどこかでお母さんを拒否してたのかも。

気付かぬ思いやりだったかもしれない。

いずれにしろお母さんは帰ってきた。


もういい。もう決めた。

これから、またこうなったら。

がむしゃらに生きるか。

変わらず生きるか。

死ぬか。

希望に溺れた死欲。

もう二度と出てくるな。

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