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#木兎光太郎
유리
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名前 ⇨ 〇〇
『』 〇〇
「」 宮 侑
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『なぁ、侑』
放課後の部室棟の裏。オレンジ色の夕陽が、長く伸びた影をアスファルトに焼き付けている。私は目の前で、ジャージの首元を緩めながら不敵に笑う宮侑を見つめていた。
今日は四月一日。エイプリルフールだ。
「なんや、改まって。俺の顔に、なんかカッコええもんでも付いとる?」
『ううん。……私、好きな人できたんだ』
わざと視線を逸らし、少しだけ切なげな声を出す。心臓がうるさいのは、嘘をついている緊張のせいか、それともこの後彼がどんな反応をするか期待してしまっているせいか。
侑の動きが、ぴたりと止まった。
いつもなら「誰やそれ! 俺よりええ男なん?」と茶化してくるはずなのに、返ってきたのは、鼓膜を低く震わせるような静寂だった。
「……へぇ。誰なん、その運命の相手ってのは」
声のトーンが一段階、低くなる。
恐る恐る彼の顔を覗き込むと、そこには笑っているようで、その実、瞳の奥が全く笑っていない「最強のセッター」の顔があった。
『それは……言えないよ。でも、すごくバレーが上手くて、ちょっと性格が悪くて、でも誰よりも努力家で……』
私が挙げた特徴は、すべて目の前の男を指している。
けれど、侑はそれを自分だとは認めない。認めないどころか、じり、と一歩、私との距離を詰めてきた。
「ふぅん。それ、北さんか? それとも、角名?……まさか、治やないやろな」
一歩、また一歩。
侑が近づくたびに、彼が纏う熱と、汗の混じった石鹸のような匂いが鼻腔をくすぐる。背中が壁に当たった。逃げ場はない。
『誰でもいいでしょ。とにかく、その人に告白しようと思って……』
「アカン」
遮るように、私の耳元の壁に手が叩きつけられた。ドサッ、という鈍い音が響き、視界が彼の広い肩と、端正な顔立ちで埋め尽くされる。いわゆる「壁ドン」の形だけれど、少女漫画のような甘さは微塵もない。そこにあるのは、獲物を逃さない捕食者の気配だ。
「アカンって言うたやろ。誰にも行かせへん。告白なんて、許さへんからな」
侑の瞳が、獲物を狙う猛禽類のように鋭く細められた。いつもコートで見せる、相手を絶望させる時のあの冷徹な眼差し。でも、その奥には、焦燥感のような熱が確かに混じっている。
『……なんで? 侑には関係ないじゃない』
「関係あるわ。俺が、お前のこと……」
言葉が途切れる。彼は苦しそうに顔を歪め、私の首筋に顔を近づけた。
触れてはいない。けれど、熱い吐息が直接肌に当たって、背筋にゾクりと震えが走る。
「……嘘や。……嘘やんな? 今日が何の日か、俺が知らんと思ってんのか」
耳元で低く囁かれた掠れた声。私の心臓が、自分でも驚くほど大きく跳ね上がる。
バレた? そう思って体を離そうとした瞬間、空いていた方の手が私の腰をぐいと引き寄せた。
「嘘やって言うてや。今すぐ、『全部嘘です、私が好きなのは侑だけです』って、泣きながら縋ってみせぇや」
命令するような口調。けれど、私の服の裾を掴む彼の指先は、微かに、でも確かに震えていた。
この男は、自信家の皮を被りながら、私に関することだけはこんなにも脆い。
『……もし、嘘じゃなかったら?』
私が挑発するように笑うと、侑の瞳の中に暗い火が灯った。
彼はゆっくりと顔を近づけ、鼻先が触れ合うほどの距離で止まる。睫毛の一本一本まで見えるほどの至近距離。彼の瞳に映る自分の顔が、ひどく熱く上気しているのがわかった。
『……嘘じゃなかったら、どうするつもりやったん?』
侑の手が私の頬を包み込み、親指で下唇をゆっくりとなぞった。その指先は驚くほど熱く、奪われるような錯覚に陥る。
「その『好きな奴』のところに走っていくお前の足、俺が動けんようにしたろか。それとも、他の誰の男の言葉も聞こえんように、俺が一生耳元で愛しとるって囁き続けたろか」
その言葉は冗談には聞こえなかった。
侑は私の唇をじっと見つめたまま、あと数ミリで触れそうな距離まで顔を寄せる。呼吸を共有するような、濃密な沈黙。
「……言えや。今の、嘘やって」
懇願するような、それでいて絶対的な支配を感じさせる声。
私はもう、この至近距離から逃げ出すことなんて考えられなくなっていた。
『……嘘だよ。……エイプリルフール、大成功、だね』
震える声でそう告げると、侑はふっと、憑き物が落ちたように表情を緩めた。
でも、離してはくれない。逆に、より強く、壊れ物を扱うように私を抱きしめた。
「……最悪や。心臓止まるかと思ったわ」
私の肩に顔を埋めた侑が、深く、長く安堵の息をつく。
その体温を感じながら、私は気づいてしまった。嘘を吐いたのは私の方なのに、結局、彼の底知れない執着に捕まってしまったのは私なのだと。
「……お返し、覚悟しとけよ?」
腕の中で、彼が不敵に笑う。
エイプリルフールの悪戯は終わったけれど、彼との「本当」の物語は、ここから逃げ場のないほど甘く、激しく始まっていく。
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関西弁むずすぎ‼️
書いてる自分がはず😵💫
今度漢検受けようとしてる👊🏻
漢字好き💗
いいね増えて嬉しい‼︎
2026 3月27日