注意
・誤字脱字
・語彙力は遥か彼方へ飛んでいきました。
・ご都合設定、捏造
・キャラ崩壊
・季節、時間軸は改変しました。
・原作ガン無視
それでも良い方はゆっくりしていってね
ーオトコー2005年11月1日
テレビを見ながら食パンに齧り付いているオトコが居た。トースターでこんがり焼いた食パンにバターを塗って、インスタントのコーヒーと共に朝食、では無く晩御飯を取っていた。オトコはいつもはしっかりとした料理を作るのだが、今日は変わった晩御飯を取っていた。テレビからはニュースが流れていた。飛び降り自殺があったらしい。15歳の少年が学校の屋上から。オトコは食べる手を止めた。ふと記憶がよぎった。自分の15の頃の記憶。
白色で統一された建物。同じ格好をした人間が右往左往する屋内。建物のガラス窓で囲まれた緑園。簡素に置かれたベンチが並んだ屋上。その屋上にオトコは居た。申し訳程度に立てられている柵は簡単に乗り越える事ができた。建物の縁ギリギリまで脚を動かす。実際の高さより倍になって見える下の景色は、恐怖からだろう。だが脚が竦む事は無かった。望んでココにいる。望んでこの世界から離れようとしている。あと一歩踏み出すだけだ。左脚を浮かせた。
そこまで記憶をなぞって止めた。今はそれよりやる事がある。手始めに目の前にあるトーストを平らげなくては。サクッと音のなっていたトーストは口の中で萎むだけだった。
黒いボールペンでノートにオトコは記していた。1文字、1文字と黒い罫線同士の間を埋めていた。毎日続けている事。この日課はかれこれ7年になるだろう。今、書いているのは遺す物で頭の中で言葉を練ってそれらくし見える文章にしている。オトコが望むモノが例え、どちらに転んでも手に入れられるように。1ページ全てに文字が埋まってノートを閉じた、が人差し指を切ってしまった。シュッと人差し指に赤い線が走った。ピリッとした紙独特の痛みを感じた。だが、オトコは痛みより赤い線に意識がいった。ふと記憶がよぎった。また、自分の15の頃の記憶。
マンションの1室。白を基調とした机。荒らした引き出し。普段、整理されていたとは思えない程、机は散らかっていた。机だけが散らかっていた。その机の下にオトコは座り込んでいた。右手にはカッターが握られていて、剥き出しなっている左腕には赤い線が何本も乱雑に迸っていた。目は焦点が合っておらず瞳孔が開いていた。そして、譫言のように何か呟いていた。呟いていた言葉は、
そこまで記憶をなぞって止めた。今はそれよりやる事がある。赤い線だったものは赤い雫になっていた。書く為だけの部屋にティッシュは無い為、リビングへとティッシュを求めて行った。
「生」への絶望と「死」への切望は交わる事は無い。15のオトコが気付なかった事だ。
アセビ…犠牲