「もつれる糸」
花音(かのん)は俺に言った通り、午後9時過ぎにバイトを終えた。
先に店の外に出て待っていれば、私服に着替えた花音が駆け寄ってくる。
「お帰り、花音」
手を差し伸べると、花音は嬉しそうに俺の手を握った。
「ほんと毎日暑いねー、バイトしてるほうが涼しいよ」
自然に指を絡める花音の手は、俺の手より冷たく華奢で、女であることを充分感じる。
花音は名古屋から上京してきて2年目の大学生だ。
ここから歩いて20分ほどのアパートに住み、仕送りとアルバイトで生活を立てている。
藤木(ふじき)が店長になった頃、店に通ってやるうちに雑談をするようになり、やがて告白された時は驚いた。
見た目が好みだったのと、素直そうなところが気に入ったものの、俺には千尋がいるし、それでもよければと始めたのが花音との関係だった。
すぐに終わると思っていたのに、予想に反して一年以上も続いているの**********
************************
********************
****************************
*************************
**********
**********************
*****************
コメント
1件