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『茶原亮』
その名前に、青木も茶原もキョトンとした顔で見つめ合った。
「えっ」
「は?」
バンッ。
渇いた音がして、
ちょうど謎の声が響いてくる場所。
ICチップを埋め込まれた首元あたりが吹っ飛んだ。
「…………!」
飛び散った肉片が、ボトボトと踊り場の床に落ち、その上に首と後頭部の大部分を失った茶原の死体がどさっと倒れた。
茶原亮。
彼が人生で一番最後に見たものは、
自分が殺したくて殺したくてたまらなかった男の、
ポカンと口を開けたマヌケ面だった。
『えっとー。今回の実験の中で、ターゲットへの他人のアタックを妨害するような行為がみられましたー』
謎の声は、人一人が死んだことには何のコメントもせずに、間延びした声で続けた。
『まあルールに入れてなかったのも悪かったので、今回だけは見逃す。でも今度からはターゲットを前にした死刑囚同士の妨害行為は禁止とする』
謎の声はそう言うと、また下品な笑い声を出した。
『では、次はまた3日後。健闘を祈る!』
ブツン。
不快音を残して、通信は途切れた。
「茶原……?」
もうこと切れていることをわかりながらも話しかける。
勿論答えない。
「なんで……だって、あいつ……」
呆然と立ち尽くしていると、
「青木?そこにいるのか?」
階下から声がした。
「――白鳥」
青木が踊り場から覗き込むと、彼は気まずそうにこちらを見上げた。