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これが他の奴らなら俺は迷わず物置部屋のバールで殴っていただろう。
でも副委員長は普段は優しいんだよな。
俺にめっちゃいい待遇だし。
ちゅしてくれたし。
ココ重要!!
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
「副委員長、あの、俺、ちょっとモリハンの最新作欲しいかもしれないだけど。買ってくれたりとかします?」
俺はうるうるの瞳で副委員長を見つめる。
俺の無邪気に見えるたかりスキルだ。
俺はこれを『無垢の瞳』と呼んでいる。
これで見つめられた相手は例外なく、俺の要求を飲む……ことが多い。
俺は副委員長のメイド服の端っこをさりげなくちょこんと掴む。
身体的接触で心理学のなんたら効果でさらに要望が通る確率が上がる。
上級者必須のテクニックである。
そして相手の黒色の丸っこい瞳をじぃーと見る。
たまに掴んだ服の端を揺らしてみるのも大切である。
これによって効果が増幅される。
副委員長は少し驚いて呆気にとられると俺の要望を呑んでくれた。
「わかりました。今買ってきますね。ちょっとだけ待っててくださいね!」
副委員長は俺を甘やかしてpcの前に諭して座らせると、忙しなく、服を着替えて外に出る。
ワンピか。
どうやら昨日の激しい悪天候は止んだらしい。晴れ晴れした太陽の光が眩しく窓から入ってくる。
俺は戸締りの音が聞こえてから、急いでバールとマイナスドライバーを調達してきて、換気口に向かう。
さあ。脱獄準備だ。
まるで映画の主人公になったかのような気分だ。
副委員長が俺の作業中に帰ってきたらまずいので今日は20分だけ作業して様子をみようと思う。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
「はぁー。はぁー。」
俺は額の汗を拭く。
「全然取れねーじゃん。このポンコツドライバー!!!」
かれこれ、20分ねじの穴にドライバーを突っ込んで回し続けたが、全く取れずむしろドライバーの先っぽが削れて丸こくなってきていた。
俺はイライラしていた。
時計を確認すると15分ほど経ったらしい。
怒りに任せてドライバーを地面になげる。ドライバーはたまたま跳ねて壁にブッ刺さって穴を作る。
「あ、やべっ。」
換気口より斜め数センチ上だ。
やらした。俺は急いで物置部屋から白の両面テープを持ってきて、壁に穴を塞ぐ。
これなら白い壁だし。穴はバレないだろう。
……….
ちょっと待てよ。穴って。俺はバールに目をやる。
いいこと思いついたぞ。
俺は姿勢を整えて
試しに力任せにバールの先っぽを通気口のすぐ隣に向けてフルスイングする。
バゴーン!
さっきのドライバーの穴より一回り大きい穴が出てきた。
思った通りになった俺は嬉しさから、調子に乗りそうになる。
そろそろ副委員長が帰ってくる時間だったことを思い出し。現場の飛び散った壁の屑を手に集め、寝室に持って帰った。
もちろんソファーは元通りにした。
ぱっと見はわからない。
はず。
俺は屑をティッシュに詰めて丸め込んで寝室のゴミ箱の中に突っ込んだ。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
「ありがとうございます。副委員長様!」
俺は副委員長の足に縋りついて舐める勢いで媚を売る。
副委員長は分かりやすく、めっちゃ恥ずかしがってワンピのドレスを押さえつける。
なんと前回ちらっと見えた、俺がカゴにさりげなく入れていたえっちそうなタイトルをしっかり覚えててくれていたらしく、モリハンに加えて続編を買ってくれたのだ。
なんという女の子だ。
一家に一台欲しい。
もう俺の嫁になれ。
てか同棲してるからほぼ嫁なのでは?
俺はぷにぷにの太ももをさりげなく撫で回す。
副委員長は目を逸らして。俺と目を合わせない。頬はめっちゃ赤い。何か背徳的なことをしている気分になる。
ご馳走様です。
俺は寝室に戻って、虹んちのと同じタイプのゲーム機にカセットをぶち込んだ。
勿論副委員長には部屋に数時間は入ってこないように言ってある。
ふははは。さあお楽しみの時間だ。
ゲーム画面のロードを俺は始めるのだった。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
彼のことが本当に好きだ。
最初はただのクラスメイトだと思っていた。
でもあの日、目があった瞬間に心臓を掴まれるような感覚を覚えた。
これが運命だと思った。
いつも大人しい彼はまるで人が変わったように。
自分の名前を間違え、授業でも奇声を上げていた。
しかし、そんなことはどうでもいい。
彼のまっすぐな瞳、飾らない態度に不思議ない魔力でもあるかのように惹かれたのだ。
…….
実は彼に惹かれる理由は一つではない。
眞子ちゃんが転生者に乗っ取られた時にも自分なりに助けてあげた。
それでも最後の『降臨』の攻略は叶わなかった。
自分のせいで攻略は失敗し、ソイツは虐殺を楽しんだ挙句、眞子ちゃんを殺し、目の前で自分の家族をも八つ裂きにした。
私はその日わかったのだ。この世界には自分のような矮小な存在では絶対に勝てないバケモノがいることを。
眞子や家族を見捨てて自分はその場から命からがら逃げ出した。
眞子ちゃんと力を合わせていたら、もっと策略を組んでいたら、はなから攻略をしなければ全員無事だったのではないかと毎日悩み苦しみ続けた。
さらに、家族と友達を見捨てた自分は本当に生きてていいのだろうか。
そんなに思いを抱えて生きていた。
彼に出会うまでは。
彼の行動は
眞子ちゃんが転生者になった日の挙動とあまりにも似ていて
とても分かりやすかった。
そう。
転生者だからこそ私は償いをしたかったのかもしれない。
そして眞子ちゃんや自分の家族の悲劇を二度と繰り返してはいけない。
今度こそは彼と二人きりで無事に暮らしていきたい。
そのために彼に攻略をさせてはならないのだ。
彼はあの化け物の恐ろしさをわかっていない。
私が彼を守らなければ。
彼に恨まれたとしても。
私は、彼が好きだと言ってくれたメイド服を中に着て、彼がリスクエストしてくれた親子丼を作る。
今はゲーム中だから後で渡しましょう。冷めたらまずいので、ラップを掛けて。
私は彼が初日来ていたジャージをリビングの隠しタンスから引き出して匂いを嗅ぐ。
「西宮君♡。大好きです。」
優しいお日様の匂いがした。
コメント
2件
# 感想 第25話、めっちゃ面白かった…!😭💕 前半の主人公の「無垢の瞳」で副委員長からゲームせしめる作戦、可愛すぎでしょ笑 でも裏で脱獄準備してるギャップがたまらん。壁に穴開けちゃうところ、ちょっとバレそうでヒヤヒヤしたけど…! そして後半の副委員長視点、マジで心臓ギュッてなったよ…。彼女が転生者に家族を♡♡♡れた過去があって、「今度こそ守る」って決意してるの、切なすぎる😭💔 メイド服着て親子丼作って、ジャージの匂い嗅ぐところ、歪だけど純粋な愛情が滲んでて最高だった…。 この2人の関係、どうなるんだろう。続きが気になりすぎる!