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どうか間に合え、と願いながら走る続けていると半間と稀咲らしき人の後ろ姿が見えた。
どうやら2人は何かを話しているようなので隠れながら聞き耳を立てた。
「自分の手ぇ汚すなんてらしくねーじゃん」
「あぁ。これだけは人任せにはできねぇ」
所々聞こえない所はあったけれどこの言葉は聞き取れた。そして手元を見ればバットを握っていた。
バイクにバット…なるほど。これで誰かを…。
どうしよう、どうやって守ろうか。
…とりあえず先回りして、そこからバットを蹴り飛ばせばいけるか…?無理そうなら自分が庇おう。
あ、やばい。もうバイクは出発してしまった。
どうやっても徒歩じゃ間に合わない…
仕方ない、近くに置いてあるバイクをパクろう。運良く鍵かかってなかったし。
バイクを運転したことなんて1度もないけれど今はそんなこと言ってられない。
慣れないバイクだが全速力で走らせなんとか追いついた。
よし、バイクを早くおりて…。
きた!
「うおおおお」
「稀咲!?」
そう武道が叫んだ次の瞬間、カァァァンという音が辺りに響いた。
武道も、女の子も困惑しているようだ。…
よし、女の子から血はでてない。
「危なかった…」
バットを本気で蹴り飛ばしたのだ。一瞬のことだったので稀咲と半間は気づいていないはず。
だから女の子をやれたと勘違いしているはず。よし、上手くいった…。
何をしたかと言うと、武道が叫んだ瞬間私は跳び、バットを蹴りあげた。それでも強く蹴りあげた反動でまたこちらへ向かってきたり…なんてしたら元も子もないので片腕で庇った。
その片腕は少し当たってしまい動かせなくなっている。これは折れたな…。でも命と比べればこのくらい安いもんである。私の回復力は医者からも驚かれるくらいにすごいのできっとすぐに治る。
「あれ、ウチ生きてる…?」
女の子は今我に返ったようだ。
本当に守れてよかった。
「葵…さん?」
武道が私の名前を呟く。あ、名前覚えてたんだ。
「ほ、本当にありがとうございます…!」
女の子はまだ情況が理解できていないようだが直感的にわたしに守られたと思ったようでありがとう、と感謝の言葉をくれた。
いい子だなぁ…。
「ウチ葵さん?がいなかったら今頃…」
ひぐ、ひっぐ、と泣きだす。
「だだだ大丈夫…?どういたしまして。」
そう言うと今度は後ろの方から声がしてきた。
「……何があった?」
万次郎か。
「んー、んー…」
なんと言うのがいいのだろうか。この女の子が殺されそうになったのを助けた…?
「…エマ?」
「葵?」
「バイクが突っ込んできてエマちゃんがはねられそうになったんですけど…き、きさきに。」
そうすると武道が色々と説明してくれた。すると、また万次郎からもお礼を言われた。
「ありがとう…!」
それからしばらくし、みんなが落ち着いてきてそろそろ帰ろうか、というときに武道が話しかけてきた。
「あの…、少しお時間頂けませんか?」
「…?いいけど。」
近くにあった公園へと場所を移動すれば武道から話してきた。
「あの、エマちゃん助けてくれてありがとうございます。それで、あの…」
「どうして助けられたのかなって…」
「あ、あの!失礼なのは分かってるんですけど…。」
「どうして助けられたか…」
「あー、キミと似たような感じ?」
「お、俺と…ですか?」
「そうそう。私の憶測なんだけど、君って何かしら未来で知ってることがあるでしょ?」
「ななんでそれを……」
やっぱり図星だった。
あ、厨二病とか言わないでね、違うよ。直感と情報。
「直感と情報…?」
「そー。私勘が鋭いしこれかなーって思ったのは大体あたるんだよね。あとは、君についての情報を全て見た時に出来る疑問が多かったから。でも未来を知っているとしたなら全部繋がるしさ」
「すごいっすね…。」
「あは。今回のこれも勘。私勘がいいって言ったじゃんか。他にも夢を見るんだよね、身近で何かが起こる時。」
「夢…?」
「自分でもよくわかんないから詳しく言えないんだけどね。よくわかんない場所にいて、それでどこからか聞こえてくるんだよ。佐野エマさん、黒川イザナさん、鶴蝶さんが危険ですーって。」
「…!」
「佐野エマさんって人が誰かは分からなかったから直感で動いた。あの女の子が佐野エマさん?」
「そうっす…すげぇっすね!」
「えっと、俺は…」
「タイムリープ、してるんです。」
武道が今までの事を話終わるまで私は口を挟まずに聞いていた。
「…嘘みたいな話ですよね…。」
「まあそうやね。でもさっきも言ったけど私は直感と情報でキミがタイムリープしてるってことは疑ってないから、私はできる限り協力するね。」
「ありがとうございます…!!」
「これから何かあればお互いに情報共有しましょうね!」
「うん。君は抗争についてもってる情報ないの?」
「天竺との構想についての情報さ持ってないっすね…。」
「へぇ。じゃあいいや。とにかく今日は鶴蝶とイザナを守ろ。」
「はい!」
「またね。」
そうして武道との用を済ますと、半間の連絡先を開きメールを送る。
「今から会える?」
それから5分程するとおう、と返信が来た。
「じゃあ公園で。」