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8月という 、
夏の中でももっとも暑い日 。
セミが泣き止まない日 。
人によれば 、アイスがもっとも美味しい日 。
そんな8月後半の道路
「ゆあんくん 、またあの駄菓子屋からアイス盗んだでしょ 。」
そう呟くと 、彼は赤い瞳をガバッと開いた 。
「な 、なんで知ってんの”っ!?」
当たりだな 。
「はぁ…….いつものことじゃないですか」
「逆にお金を払ってアイス買ってる方が珍しいです 。」
彼 、ゆあんくん……僕の彼女はほぼ毎日のように近くの駄菓子屋からアイスを盗んでいる 。
たしかに 、こんなにも暑い日には
アイスなどの冷たいものを欲しがるのは当然だ
だからといってお金を払わずに盗む…….というのは許されない 。
「まー 、いいじゃん」
出た 。いつもの開き直り
「良くないです 。」
「盗み……って犯罪ですよ?捕まりますよ?」
「俺 、まだ学生だから捕まらないし〜」
そういい 、残りわずかのアイスが着いた棒を
ぺろっと舐める 。
「もう……知りませんからね 。」
毎回注意するのだが 、
毎回こうやってなだめられる 。
もうそろそろほんとうに辞めさせなければ……とは思うんだけどなあ 。
「誰だ最近うちのアイス盗んでるやつ”!!」
太陽の温もりが染みる電柱
助けを求めているかのように泣きわめくセミ
あまり人が通りかからない道路
そこに1つの声が響き渡る 。
「なんかめちゃくちゃ怒ってるんですけど……」
「あー、うん 。完全に気づいたらしい笑」
嘲笑いしながら棒アイスを加える君 。
「バレたらやばくないですか?」
「完全に人殺す顔してますけど」
駄菓子屋の店長
大体50歳ぐらいで 、大柄で
普段から少しバチバチしてる人だが 、
今回はそれの100倍 、いや1000倍はキレてる
いまなら何人でも己の感情に任せて人を殺せそう 。
「まー大丈夫でしょ」
「明日になったらコロッと元気になってるって 。」
「あ 、当たりだ!!」
急に大声を出す彼に
つい驚いて体を震わせる 。
反射的に彼の方を見ると 、
駄菓子屋の店長とは真逆の表情を浮かべていた
こんな彼になぜ惹かれたか 、何度も思ったことはあるが
やっぱり僕は 、この笑顔に惹かれたんだ 。
「見て見て!!あたりだよ!!」
子供みたいにはしゃぐ彼
それを見るとつい 、
幼稚園児を想像してしまう 。
高校生でこれなら 、幼稚園児のころはどれぐらい喜んでいたのだろうか 。
「お 、良かったじゃないですか」
「明日交換してもらお〜っ!!」
「あたりの棒無くした…….」
しょぼん…..とした顔を浮かべる君
これをなんと例えようか 、
強いて言うなら 、買って欲しいおもちゃを買って貰えなかった子供……だな 。
「残念ですね」
「せっかくアイスの気分だったのに…..」
「普通に買えばいいじゃないですか 。」
「やーだ!ただで食べるアイスに価値があるんじゃん」
馬鹿馬鹿しい 。
でもそんな馬鹿馬鹿しい彼に惹かれている僕も
相当馬鹿馬鹿しい 。
「今日も盗んでくる!」
「いやいや 、店長昨日あんな感じだったんですよ?さすがにやばいでしょ……」
そういいながら 、昨日の店長を思い浮かべる
改めてすごく怒っていたなあ……と 、微笑する
もし 、今日もあんな様子だったら
より怒っていたら……
「大丈夫大丈夫!俺 、この道のプロだから!」
だなんて適当な屁理屈で返される 。
そこに根拠なんて一切ないのに 、
どうしても君の言うことには説得させられる 。
その笑顔を見ていたら 、
きっと何事もなかったかのように
いつものように
僕のところに帰ってくるんだろうと勝手に思う
「は〜…….分かりましたよ 、くれぐれも注意するんですよ?」
「はーい」
相変わらず 、肌を突き抜けるような暑さで
鼓膜を突き抜けるようなセミの鳴き声で
その上人通りの少ない 、この路地で1人 。
退屈で苦痛だ 。
まあ 、いつも通り笑顔で帰ってくるゆあんくんを想像したら 、
苦痛じゃない気もするけどね 。
ゴツン”“っ 、!!
「……..ビクッ」
ゆあんくんが向かった方向の遠くから
鈍い音がした 。
「……..?」
車が事故にでもあったのだろうか 。
何かが落ちてきたのだろうか 。
そんな事を考えるよりも先に 、僕の足が動いた
僕は 、とりあえずゆあんくんの無事を確認したかった 。
「はぁ”“っ 、はぁ……..“っ」
駄菓子屋から100mほど離れた 、ちょっとした大通りに出ると
僕はあるものに目が着いた 。
それは駄菓子屋の店長の姿だ 。
ただ立っているのではない
大柄で
普段からクール…….というかムスッとしてて
怖いイメージを持ったあの店長が
表情を思いきり崩して 、歪んでて
力が抜けたように地面に座り込んで
一点を震えながら見つめていた 。
視線を辿った先には
ゆあんくんがいた 。
道路で横になってるゆあんくんが 。
一体何してるんだ 。
アイスを普段から盗むような人がする行動は
読めないな 。
「ゆあんくん 、何してるんですか……..早く帰りま…….」
近づいてからようやく分かった 。
ゆあんくんの周りには赤い液体がどろっと流れていた 。
血 。血だ 。
ゆあんくんの頭から 、血が 。
「ゆ 、ゆあんく…….. 、っ」
自分でも何がしたいのか分からないし
頭で何をしたらいいのか分からなかったけど
ただ思うがままに頭を抑える 。
でもゆあんくんの頭からは血が止まらない 。
「ぁ”“……. 、」
苦しそうに1回1回 、呼吸するゆあんくんと目が合った 。
「ゆ 、ゆあんくん 、スマホ……..スマホ持ってますか 、救急車……呼ばないと 、」
「なおきりさん”“……..アイス 、食べ”“………」
僕の質問を全部無視して 、
1つの言葉を残して静かに目を閉じた 。
「………」
僕は悟った 。
あ 、これは助からない 。と
「…….ごめんなさい」
「ごめんなさい…….ごめ 、ごめんなさい」
涙と言葉が一気に溢れ出す 。
「ごめんなさい 、ゆあんくんの当たりの棒僕が持ってるんです 、ごめん……..ごめんなさい」
「こんなつもりじゃなかった 、こんっ…….こんなつもりじゃ 、」
次第に言葉は枯れ 、
涙だけがずっと止まらなかった 。
あとから聞いた話 。
ゆあんくんが駄菓子屋に入った時 、店に店長はいなかったらしい 。
そこでゆあんくんはチャンスだと思いいつも通りアイスを盗み 、いつも通り帰ろうとしたとき
機嫌の悪い店長が帰宅 。
狂い怒る店長
それから逃げるゆあんくん 。
だが逃げ切れる訳もなく捕まり 、殴られ
その衝撃で電柱に思い切り頭をぶつけたらしい 。
店長は殺害の容疑として捕まった 。
その日 、病院で泣いてる僕にある看護師さんが声をかけてくれた 。
ゆあんくんが…….盗んだアイス 、を届けに来てくれたらしい 。
珍しいな 。
いつもはチョコ味の棒アイスのくせに
抹茶味のパピッコ 。
もちろん中身はどろどろに溶けていた 。
僕が抹茶好きだっていつ言ったっけ 。
おまけ
「ほら 、心配する必要なかったでしょ?」
「はい 、」
「え…….はい 、って?」
「パピっコしらないの?シェアして食べるやつ……..」
「いや 、知ってますけど……..なんで?」
「もー 、いいから黙って食え!俺がなおきりさんにアイス上げてるんだぞー?」
「…….これって僕も犯罪犯してるのと一緒では?」
「…….」
「文句あるなら食べなくていいし 、」
「食べます 、笑」
「うぇ 、苦…….」
「抹茶嫌いなんですか?」
「…….. 、」
「なんでわざわざ抹茶にしたんですか…….笑」
「き 、気分”っ!抹茶が美味しそうに見えたのー”“っ!!」
「ふーん 、笑」
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やばい、最後尊すぎ♡ またこのような作品待ってます( ˙꒳˙ )ゞ!