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「彼女はその美しい容姿端麗な姿と中身は正反対でしてね、なんでも1回目も2回目も婚約破棄の理由は、「自分と合わない」の一言でいとも無下に男を袖にしたらしいですよ」
それを聞いた北斗は目を丸くした
「ほぉ・・・・ 」
さらに鬼龍院から話を聞くと、令嬢の元婚約者はメビウスホールディングスの、有名な「松下竜馬」CEOでこれまた北斗のカントリークラブのお得意様だった。その松下様を(ITOMOTO)の令嬢は「堅ブツ」だと言って、あっさり袖にしたそうだ
窓の外では自分の我が子のような美しい馬が、鬣をなびかせて放牧場を走り回っている
「なんとまぁ・・・とんでもなく我儘な令嬢ではないか・・・そんな理由で解消されたらたまったもんじゃないな、その令嬢にはどんな相手なら合うというんだ?」
「私のような? 」
鬼龍院が両手で自分のジャケットの襟をつまんで得意げに言った、それがいけ好かなかったので北斗は言った
「全部合わせて1500万だな 」
鬼龍院はまさかっという顔をして北斗の入れたウイスキーを全部飲み干し、バンッとテーブルに置いた
「成宮君~~・・・それはないでしょう?それならば私どもの商売はあがったりですよ、あの馬たちは超一級品ですよ?ここに運んでくるまでどんなに大変だったか。最低でも2000万は頂かないと、せめてもう少し上乗せしてくれてもいいはずですよ、そうだ!良かったら今度SM館で― 」
「SMには興味がない 」
かぶせるように北斗が鼻を鳴らして言った
「そうですか・・・それでしたら良いイベントがございますよ、今週の阪神競馬場のG1レースには成宮君は、主賓でご出席なさるとか?」
「ああ・・うちの競走馬達の、デビュー戦が多数控えているので馬主様と一緒に出席させてもらうよ」
鬼龍院の顎がこわばったのを北斗は見逃さなかった
そしてすぐに彼はいかにも魅力的な提案をするとばかりに話だした
「それではその日の夜のお楽しみはぜひこのわたくしめにお任せください。道頓堀の松竹座の歌舞伎観劇にご招待しましょう。そこで私の婚約者をご紹介させて下さい。私がいかに馬だけではなく、女性も上手く乗りこなせているかがお分かりと思いますよ」
北斗はしばし考えてからうなずいた
「1600だな 」
さらに鬼龍院が焦る
「観覧特等席を取って置きましょう!ええ・・!皇后陛下などが観覧する席ですよ、ぜひあなた様のお抱えの馬主様もご一緒にお連れ下さって、どうかこのわたくしにご接待させてくださいませ」
どうだとばかりに、鬼龍院は目鼻立ちが整った顔を輝かせ北斗に言った
「考えておくよ 」
コイツ顔だけはいいな…
北斗はそう言って乾杯をしようとグラスを近づけた
「では1600で! 」
鬼龍院の苛ついた顔を無視してウィスキーを一気に煽った