「よし、終わった」
言わずもがな仕事である。
「待たせたな、って、、、、、」
其処には疲れ果ててねている少女が一人。
「疲れちまったか、」
胸元に帽子を必死に抱え、小さな少女が其の躰には見合わないほどの大きなソファに身を縮めて寝ているのだ。
微笑ましい光景である。
「《重力操作》」
彼は異能力を使い疲れ果てて脱力し、眠っている少女をつい数時間前の様にお姫様だっこした。
そして、執務室を後にしようとした時、、、、不思議な事が起こったのだ。
扉は自動的に開き、彼が執務室から出ると物音一つ立てずに扉は閉まり、、、、
更に云うならば小さな、、、、意識していても聞き取れるかどうかというほどの金属の擦れる音を残し施錠された。
彼は暫く茫然としていたが、暫くし我に返ったのかありがとな、と一言残し帰宅したのだった。
問題は山積みだった。
彼が両手塞がっている状態等珍しかったし其れも、見たことのない部下を、、、、女性をお姫様抱っこしていたことは即座にありとあらゆるところで共有された。
居酒屋やカッフェ、
時に、人の想像力は恐ろしいことを生み出す。
彼は其の儘帰宅したからもしかしたら交際相手かもしれない。
、、、、、厳ついグラサンを掛けたおじさんが話す内容としてはかなり、その、、意外性に富んだ物だったが。
女性はそれからもちょくちょくとマフィアに顔を出した。
任務に云ったという話もなければ銃すらも持っていた場面を1度たりと見ていなかったのだ。
何千人もの構成員の誰一人たりと。
彼女はマフィアに来るたびに中也幹部の執務室に入り浸ったし、首領への報告の際も扉の前で待機しているという密着振り。
彼女が現れてから様々な噂が流れついに3ヶ月を過ぎたときには
七不思議よりも酷いものが、、、、、出来上がってしまっていた。
更に一人の構成員が面白がって手帳に書いたものがウケ、遂には「謎を極めし少女の影響と其の摩訶不思議な行動に付いて」書かれた通称「謎少女」がマフィア内で薄い雑誌のように成って出版されるように成ったのだ。
小説化までしたのだ。
其れには勿論理由がある、、、、
マフィアの傘下に入っている子会社。
出版社もある程度は或るのだ。
之又行動力のある一人のさる構成員が面白がって手帳にまとめたものを編集者に見せた所大変好評を得、雑誌を作り始め、、、、其れを元ネタにし小説を書き始めた小説化が居り、、、、、
結果、一躍時の人にまで上り詰めた小説家が居たとか。
小説の題名はこうだ、
「とある妖怪少女の怪奇譚」
もはや妖怪少女と呼ばれる様。
人間の想像力が七割、、、三割の事実を含んだ本が出版されたのだった。
惜しくも映画化はされなかったが今度漫画になる予定とのこと。
売上はかなり或ると見込まれ、ポートマフィアは其の利益の約壱割を受け取ることにしたのだが其処には過激な戦いがあった。
熱がこもりすぎた編集者と苦労人の帽子愛好家の途方のない大変な戦いが。
例えば此のような。
「壱割!?そんなわけにはいきません!元はと云えばそちらの構成員さんが持ち込んだ話なのですよ!?」
「いーや壱割だ!彼奴が面白おかしく膨らませたんじゃなくてあれは6割以上は事実だ!」
「そんな人間居るわけ無いじゃないですか!居るとしたらお目にかかりたいほどです!」
「だから実在するんだよ、!」
「そんな滅茶苦茶な、、、、人間じゃないですよ其れはもう!」
此の激しい討論を終わらせたのは本人だった。
「え?私人間じゃないの?」
さる帽子愛好家の隣で論争を聞いていた少女が驚いたように云う。
「いえ!貴方のことではなくて此の小説の元ネタですよ!」
「それ、私。」
「え?」
「だから其れ私だよ?」
「そ、そんな理由無いじゃないですか!確かに外見は似ているかもしれませんが素手で銃口を曲げたり銃弾を素手で止めたり、歩くだけで周りの建物にヒビが入ったり、、、、、そんなのは人間とは言いません!」
「、、、、ごめん、、、全部本当なんだ、、、」
「ほら、この間ニュースに成ってたヨコハマ山下公園の噴水が壊れたの、、、あれ私が向きを変えちゃって、、、、、」
水遊びをしようとした際に噴水が向きを変えればいいのに、と思い噴水の向きを変えようとした所折れ、ストッパーが壊れたせいで噴水が大暴走を起こしそこらじゅうを水浸しにした挙句の果てに勢いが良すぎて壊した当の本人さえも近づきたくないほどの大暴走を起こしたのだ。
「え、でもあれはマフィアの抗争が、、、、」
「嘘だよ、、、、」
すい、と目を反らしながらバツが悪そうに答える彼女に編集者は完全に黙ったとのことだった。
コメント
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もうwずっとw面白すぎてww息ができないw最高wです!!