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#禪院甚爾
欲 。
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さーもん
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とーにゃん
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コメント
1件
うわあああ……直哉の切なさが胸に刺さりすぎる…!😭💔 甚爾くんは記憶なくしてるのに、それでも「置いてかねぇよ」って頭撫でるところ、もう完全にあの夜の約束の答えになってる…! 記憶なんかなくても、魂が覚えてるって信じたくなるエピソードだった…。二人がただの隣人として歩いてる日常が、こんなにも尊くて泣ける。次も絶対読みたいです…!🌸✨
「甚爾くん、待ってや! 置いてかんで!」
夏の喧騒が響く昼下がりの商店街。高校の制服を着た直哉は、前を歩く大柄な背中を小走りで追いかけていた。前を歩く甚爾は、白いTシャツにジーンズという、どこにでもいるただの男の格好をしている。かつて世界を震撼させた「術師殺し」の気配などどこにもない。ただの、少し態度の悪い、けれど直哉にとってはかけがえのない一人の人間だった。「お前が歩くの遅ぇんだよ。そんなんでよく陸上部なんて入ったな」
「陸上部は関係ないやろ! 甚爾くんの歩幅が広すぎるんや!」
直哉が頬を膨らませて隣に並ぶと、甚爾はフッと呆れたように笑った。その笑顔を見るたびに、直哉の胸の奥がチクリと痛む。この世界には、呪いもなければ、歪んだ禪院家もない。直哉は普通の家庭に生まれ、普通の高校に通い、ただの「直哉」として生きている。甚爾もまた、呪力を持たないことで蔑まれることもなく、気ままに暮らしている。あの地獄のような現世の記憶を持っているのは、どうやら直哉だけのようだった。甚爾にとって、今の直哉は「たまたま近所に住んでいる、よく懐いてくる生意気な高校生」でしかない。あの満月の夜に交わした約束も、直哉が流した最期の涙も、甚爾は何も覚えていないのだ。
(それでええ。甚爾くんが、あんな痛い思いも悲しい思いもしなくて済む世界なら、これでええんや)
直哉は自分にそう言い聞かせ、寂しさを隠すように笑ってみせる。自分だけが覚えている切なさは、あの地獄を生き抜いた自分への、ささやかな罰のようなものだ。
「なぁ、甚爾くん。今日のご飯、何食べるん?」
「さぁな。お前が奢ってくれるなら、高い肉でもいいぞ」
「なんで俺が奢らなあかんのよ! 甚爾くん、いっつもそれやん!」
文句を言いながらも、直哉の心は満たされていた。たとえあの夜の約束を甚爾が忘れてしまっていても、運命は確かに二人を引き合わせた。呪いのない世界で、こうして隣に並んで歩けている。それだけで、あの凄惨な最期も、永すぎた孤独も、すべて報われたような気がした。「おい、直哉」不意に、甚爾が足を止めて直哉を見下ろした。
「……なんや?」
「いや……お前、たまに。酷く遠い目をして、今にも消えそうな顔すんだなと思ってな」
甚爾の言葉に、直哉は息を呑んだ。記憶はなくても、甚爾の魂は、直哉の心の揺らぎを敏感に感じ取っているのかもしれなかった。甚爾は大きな手を伸ばすと、生前と同じように、直哉の頭をポンと不器用になでた。
「安心しろ。置いてかねぇよ」
その手の温もりは、あの薄暗い裏庭で触れたものと、まったく同じだった。直哉の視界が、今度は嬉しさでじんわりと潤んでいく。「……うん。ずっと、一緒やで、甚爾くん」青空の下、二人の影がひとつに重なる。記憶の有無など、もうどうでもよかった。交わした約束は、形を変えて、今この瞬間に確かに叶っているのだから。