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大学二年生、春。四月。
キャンパスには桜の雨が降り、辺りは華やかな明るい空気に包まれている。
そんな中、俺は大学で出来た新たな友人と共に中庭のベンチに座って桜を見ていた。
「…そんな事があったんやな」
「愛されてたんだね、すごく」
「俺も会いたかったなぁ…」
俺の話を受け止めて、その上でまだ離れないでいてくれるみんなを見て、小さく笑みをこぼす。
そんな俺を見た一人が、手を上げた。
「その人が言っていた好きなことって、もう見つかったの?」
その言葉に静かに首を振る。
まだ見つかっていないけど、興味のあるものや、他と比べていいなと思えるものはいくつかある。
「それにしたって、桜は今年も綺麗だなぁ…」
誰かの声に、思考の海から浮き上がって、また大きな桜の木を見上げる。
桜を見ると、どれだけ立っても消えない。
生きてくれないかと言われて、その言葉に頷いて息を続けている今でも。
「…あぁ」
君の愛を知った後で、残り続けている。
君の愛を知った後だから、残っている。
「…春が来る前に、君と死んでいたかった」