舞台へ立つ為に
cino side
ci × shp
お嬢様上等!パロ
※ 捏造・謎設定
口調迷子です。台詞少なめ、情景や心情中心。
夜。真夜中と呼ぶには十分な空の下、満月が2つの影を照らし、自我を叫んでいるかのように輝いている。連日雨続きで曇っていた空は嘘のように晴れ晴れとして冬の星も月に負けじと輝いていた。
そんな夜に、私は明日最も欲しい名誉を掛けて戦う友、ショッピ嬢と共に夜道をバイクで駆け巡り、学園から少し遠くに位置するクレマチスが咲く小さな公園に辿り着き、美しい花達に囲まれながら彼女と会話を始める。
shp 「チーノお嬢様、お煙草吸います?少々おニコチンが欲しくなってしまいまして」
ci 「あら、私もおニコチンが足りなくなってた頃合いでしたわ。奇遇ですわね、私も失礼致しますわ」
ポケットから各々の銘柄の煙草を取り出し、火を付ける。一瞬だけ暖まった周りの空気が身体を包み込み、心地良い感覚が巡ったと思ったのも束の間、麻痺した様に冬の空気がすかさず身体の体温を奪ってたのを覚えた。本格的な冬の寒さを改めて感じる。火のついた煙草を一口深く吸い、口の中に溜めていた煙を一気に吐き出し、星が煌めく夜空を見上げて、彼女にまた語りかける。
ci 「明日、遂に次期生徒会長が決まりますわね。ショッピお嬢様はどなたがなられると思います?」
shp 「勿論私に決まってますわ。前回の喧嘩(バトル)はやらかしてしまいましたけれども、今回はどなたにも負けたりなんてしませんわよ!」
自信満々そうに答え、彼女特有の縦ロールと私の頬を夜風が撫でる。夜風は冬を感じさせる程冷たく、身震いを起こしてしまう位。
それでも彼女は寒さに負けない程元気な声を挙げ、そのエネルギーを利用して満月の下に立ち上がった。それと同時に何度か口に含んでいた煙草の火を荒めに消し、吸殻をどこかへ捨てた。少し雑な性格は幼少期から変わってないようだ。
shp 「私は常に一番を目指していますわ!誰よりも美しく、正しくいたい。明日はそれを皆様に証明する為のステップに過ぎませんわよ」
天高くまで手を伸ばす。彼女にならこの月が届いてしまうと思わせる程に。周りに咲き誇っている花々もその意見に賛同するかの様に揺れている。
嗚呼、私と貴女じゃ持っているモノがとてもじゃないが違う、そう前々から感じていた。だがこの背中に何度心を打たれ、感銘を受けたことか分からない。私の今迄積上げてきた努力を打ち砕く程に洗礼された彼女の全て。羨望、嫉妬、尊敬。自分の中に芽生える彼女に対しての感情は数え切れない。
けれどもそれらは彼女を傍で見続けている私だから分かること。そこらの一般人共は中身の無い嫉妬ばかり。私は先に進んでいる彼女を追いかけるしかない存在だけど、それでいい。それがいい。
傍で下らない話をして笑い合ったり、他の方々とお茶をして仲を深めたり、時にはぶつかって真面目にお話をする、素敵な関係図を広げたい。八方塞がりだった私を救ってくれた、一筋の光のような存在の貴女と。
shp 「勝つ為には、幾つかの犠牲も必要ですの。全て感情的に行動を移すのはよろしくないですし、私は苦手ですわ。物事を冷静かつ論理的に、時には思考を巡らせる必要もありますわ」
夜が彼女の淡い声を包んでいく。彼女の声が少し遠く感じた。ただ独り、街の暗さに飲み込まれる。
ci 「・・・そうですわね、まだまだ私も負けてられませんわ」
自らも立ち上がり、独り月の煌めきを浴びている彼女の隣に立ち、同じように手を天へ伸ばす。
ci 「私も貴女のように一番を追いかけてますの!足りない部分もありますが・・・あの舞台へ立つ為にお互い、良き戦友(とも)として頑張りましょうね、ショッピお嬢様!」
shp 「えぇ。当たり前のことですわ。良き親友(とも)として、共に戦い抜きましょう。チーノお嬢様」
お互い、顔を見合わせ笑い合う。
二人の影は満月に照らされ伸びていき、可愛らしい少女の笑い声が夜の街に静かに響く。
風が吹き、彼女達の頬と花々を優しく撫でて去って行った。今日もこの街は騒がしく生きている。
私はこの秩序と混沌が行き交う街と仲間が好きだ。
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