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夜鐘
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#学園
大正
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裏五条
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翌日。
昼過ぎまでしっかりと睡眠をとった戦士たち。
睡眠欲が満たされたら食欲が「次は自分いいっすか?」と現れるのはもはや必定。
焼肉店『どすこい太郎』は本日、日本探索員協会の貸し切りとなっていた。
「それでは諸君。ささやかながら、慰労会の席を設けさせてもらった。費用は全額、五楼上級監察官が出して下さるので、しっかりと疲れを癒してほしい! えー。それから、今回の作戦に……。ねえ、山根くん。みんな聞いてるかな? 私の話」
「南雲さん、安心してください! 自分がいるっすよ!!」
「や、山根くん……!!」
「上カルビと上ロースと特上タン塩。それからハラミと厚切りステーキだそうっす!!」
「オーダーを私に言う理由を知りたい!! 店員さんに伝えなさいよ!! なにその2段階右折!! どこで覚えて来るの!?」
「南雲さん! 逆神家の皆さんが凄まじい勢いで食べてるっす!! 早く注文してください!!」
逆神六駆は中年男性の心を宿した高校生。
かつて監察官室対抗戦の時にも解説した覚えがあるが、胃のコンディションも10代のそれなので、彼は欲望のままに肉を食らう。
「はいっ! 六駆くん! わたしが育てたハラミだよぉー!」
「うわぁ! なんて素晴らしい焼き加減なんだろう!! じゃあ、莉子には僕の育てたホルモンをあげるね!!」
今回の作戦の功労者は間違いなく逆神家なので、少々の贅沢は黙認される。
「すんません! この店で1番高い酒を順番に持って来てもらえると嬉しいんすけど! あ、ボトルキープはいいんで! 持って帰りますんで!!」
なお、これまでも息子からひどい扱いを受けていた逆神大吾は、ついに今回木になった。
それなのに、一晩寝たら普通に回復して酒をぐびぐび飲んでいる。
「あらー! 大吾さん、良い飲みっぷり! この後、二次会行きます? おっぱい男爵が良い店知ってるんですよー!!」
「マジっすか、雨宮さん! オレ、ついて行きますわ!!」
ダメなおっさんだけどむちゃくちゃ強い雨宮順平上級監察官と、ダメなおっさん単品の逆神大吾が意気投合していた。
名前を呼ばれた男爵はと言えば。
「はい。3人です。えっ? ソフィーちゃんが出勤しているんですか? では、はい。とりあえず朝までコースでお願いします。えっ? シャーリーちゃんも? オプション全部乗せてお願いします。はい、現金で。はい。よろしくお願いいたします」
実に礼儀正しく、活きの良いおっぱいを出す店の予約を取っていた。
ちなみに、彼も前日足をぶった切られたのに元気そうである。
「四郎さんが協会に加わってくれるっちゅうのは助かるのぉ! 近頃は技術職がちぃと育っちょらんかったけぇのぉ! まあ、一献!」
「これは申し訳ありませんですじゃ。ワシの方が感謝せねばなりませんぞい。この年で、よもや仕事に就けるとは思いませんでしたわい」
逆神四郎は、久坂剣友監察官の強い推薦によって、来月より日本探索員協会の臨時顧問として逆神流で培ったその技術を提供する事が決まっている。
所属は久坂監察官室になる予定だとか。
「にゃははー。今回は報酬もいっぱいもらえたし、大学には行かなくて済んだしで良い事づくめだぞなー」
「クララさん……。大学には行かなくてはならないのですわよ……。ご両親と約束されたのでしょう? ちゃんと卒業すると」
チーム莉子と加賀美隊には特別賞与が給付される事になった。
今回の緊急任務に文句ひとつ言わず出動した彼らは、賞与を受ける正当な権利を持つ。
「みみみぃ! 福田さんがおじ様をブラジルのダンジョンに飛ばしてくれたおかげで、快適です! みみみみぃー!!」
「あははっ! よかったね、芽衣ちゃん! あ、ビビンバ来たよー」
木原久光監察官は腕の怪我のリハビリのため、南米のダンジョンを3つほどはしごする事になっている。
リハビリでモンスターを狩ると言う発想を理解できる者は少ない。
加賀美隊は山嵐助三郎Bランク探索員が『白い魔法の粉』の副作用により苦しんでいるため、今回の慰労会出席は見送る事になった。
義理と人情に厚い加賀美政宗Sランク探索員らしい判断である。
山嵐隊員が復帰してから、改めて加賀美隊だけで一席設ける予定だとか。
◆◇◆◇◆◇◆◇
監獄ダンジョン・カルケルでは、司令官のズケッチョ・ズッケローニ氏が入院したため、副指令のトーマス・メケメケマルが臨時指令を務めている。
もちろん、彼だけでは手が足りないので川端一真監察官も引き続き臨時副指令としての職責を果たす予定になっている。
「もしもし。川端です。ああ、『OPPAI日本支店』さんですか。どうしました? えっ? ナンバーワンのキャサリンちゃんも出勤しているんですか? 指名の予約をお願いします。はい。はい。もちろん、一括現金で支払います。お金ならあるんです。はい。よろしくお願いいたします」
繰り返すが、職責を果たす予定になっている。
流れで協力者になった阿久津浄汰は、現在国際探索員協会の病院で治療を受けている。
命に別状はなく、順調にいけば3週間ほどで退院できる見通し。
今回の働きが評価され、また彼は日本所属のAランク探索員であった過去も鑑みて、特例の措置が取られる事となった。
『臨時探索員協力者』と言う彼のためだけのポストを作り、「監察官の指揮下でのみ」と言う条件が付くものの、必要に応じて探索員協会の作戦に参加できる権利を獲得した。
「結果を出せばその分刑期を短縮する」と言う取り決めらしく、もしかすると再びあっくんの活躍を見られる日が来るかもしれない。
「南雲さん、南雲さん! いつ行きます? 僕はいつでも良いですよ!!」
「5月の土日にしよう。逆神くんは新学年になって学校に通ってないでしょうが。これ以上休んだらダメだよ」
南雲修一監察官は、近いうちに六駆と共にスカレグラーナの地を訪れる事になった。
スカレグラーナと言えば、元古龍の竜人たちがいる。
察しの良い諸君ならば既にお気付きだろうか。
南雲修一は古龍の力を自分でコントロールできるようになるべく、修行のために彼の地へ赴く決断を下した。
理由はいくつかあり、「最近、チーム莉子の上官としての力不足を感じる」ことや、「筆頭監察官として武官の能力も底上げすべき」であるとも彼は語る。
が、1番の理由はもちろんアレである。
もう『古龍上々』を喰らいたくない。これに尽きる。
古龍属性に適正がある事はこれまでの古龍の戦士の歴史で明らかなため、南雲修一が強くなって帰って来る日は近いかと思われる。
「グランドマスター。ワタシは協会本部に残っても良いのですか?」
「もちろんですよ! 一緒に戦った仲じゃないですか! 次の作戦でも、01番さんは必要なピースですからね! 普段の面倒は山根さんが見てくれるらしいですよ!」
「うーっす! 自分で良ければいくらでもご奉仕するっすよ! よろしくっす!」
「指揮官を上書き。マスタークララと同列にマスター山根を登録。よろしくお願いします。マスター山根」
こののち、01番は山根に恋心を抱くのだが、その話が必要なのか判断に困っている。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「いやー! 今回も稼いだぞー!! できれば、次の作戦でがっぽり稼いで隠居したいな!! 探索員になって、本当に良かったー!!」
こうして、監獄ダンジョン・カルケルにおける全作戦は美味しいお肉と共に幕を下ろす。
新しい戦場が六駆たちを待っているが、しばしの休息くらいは許されるだろう。
当分は久方ぶりに味わう自分の布団で安眠ができそうな逆神六駆なのであった。
——第6章、完。
コメント
1件
第417話、お疲れ様でした&完結おめでとうございます🎉✨ 焼肉回でしっとり締めるの、めちゃくちゃこの作品らしくて最高でした…!笑 みんなでワイワイやってる姿にこっちまでほっこり🥺💕 特に「古龍上々」を避けたい修一さんの切実さに笑ったし、山根くんと01番さんの関係性がこの後どう転ぶのか気になりすぎます…!! 次の章も楽しみにしてます🔥