テラーノベル
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食事はちゃんとしている。
グループの仕事では大笑いすることもある。
でも、目黒のいない穴を埋めることは出来ない。
寂しいからあんな夢に怯えているんだ。
会いたい。
まだ、数日は帰って来ない。
寂しくて、会いたくて。
楽しいことを考えよう。
笑えることを考えよう。
撮影現場でも、笑っていよう。
でも、家に帰るとダメ。
1人でいると思い出す。
こんな自分が嫌になる。
阿部の言う通り夢なんだから。
でも、あの女の人は誰だろう?
会ったことある。
遠い昔にまだグループがデビューする前、いやもっと前。
渡辺は携帯の写真フォルダを開いた。
どんどん消していってるが、残っている気がする。
あった。
彼女は、目黒と一緒に写ってる。
誰だっけ?
思い出せないけど、目黒の知り合いだろう。
若いなぁ、目黒も彼女も。
もう見るのはやめた。
何も気にしない。
明るい渡辺でいいじゃないか。
楽しい渡辺でいいじゃないか。
夢のことは忘れて笑っていよう。
こんなウジウジしてるの疲れた。
今日はサウナ行って、焼き鳥食べよう。
ちょっと長く留守にするから、部屋の掃除をしにきた。
基本、そんなに汚れて無いけど、掃除機かけて、拭けるところは拭き掃除。
誰かが来た、インターホンがなる。
オートロックを解除する。
女ーあの、ここ目黒さんの家ですよね?
渡辺ーちょっと長く留守にするから、掃除を頼まれてるんです。
女ーどこに行きました?
渡辺ーイタリアです。
女ーじゃあ、これ、ここの鍵、返してください。
渡辺ーこの家の鍵?
女ーそう、私の家の鍵は捨ててください、引越しするんで、伝えてもらえません?
渡辺ー分かりました。
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