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きっと今日はいい天気なのだろう
スリザリン寮は地下だから陽の光は見えないが水に反射した光は見える。そこから判断して今日はいい天気なのだろう
「んんー」
思いっきり身体を伸ばす。時計を見ると丁度いい時間だった。クラッブとゴイルの寝息が聞こえるがまだ寝かしていていいだろう
ドラコは寝ぼけながら洗面台を前にする
顔を洗って目がやっと覚める。ぼやけていた視界もはっきりとしてきた
「ん…?」
白い肌にとても目立つ赤い痕が首筋に一つだけできていた
「…なんだこれ…虫刺されか?」
虫刺されらしきものを触りながら呟く
地下のここに虫がくることはそうそうないがまぁたまたま入り込んだのだろう
ドラコは特に深く考えることはなかった
この日からあんなことになるだなんて知らずに
そろそろ朝食の時間だ
寝ぼけているクラッブとゴイルを連れながら席に着く。こいつらのことだから食べればすぐに目が覚めるだろう
「ドラコおはよ」
そう言ってパンジーはドラコの腕に抱きつく。相変わらずボディータッチが凄い
「おはよう、パンジー」
「あら、その首筋の痕どうしたの?」
パンジーが顔を顰めながら言う。ドラコなんだそんなことかと言うように説明する
「あぁこれか。気づいたらついてたんだ。昨日まではなかったから寝ている間に虫でも刺されたんだろう」
そこまで気にすることはないだろうと言いながら食事を進める。横を見るとさっきまで寝ぼけけていたクラッブとゴイルがバクバクと食べていた。そんな二人を見て胃が持たれそうになる
「…ほんとに虫刺されなの?」
パンジーが怪しむかのように目を細める
「なんだドラコ?女でもできたか?」
会話をずっと聞いていたのかはたまた首筋の痕を見つけたのかザビニも会話に参加する
「はぁ?二人とも勘違いしているようだがこれはただの虫刺されだ」
「んだよ、まぁそーだよな。箱入りお姫様が女なんてできるバズがないよな」
そうだよなそうだよなと納得するようにザビニは頷く。ドラコはイラッとはきたがいちいち気にしているようでは埒が明かないと思い無視することにした
「でも、これ…虫刺されにしては腫れてなくない?」
「そんなの分からないだろう。何回も言うが誰とも付き合ってなんかいないからな」
いないのも事実だがそもそも自分の好きな人とだなんて付き合うことなどできないのだろう。この学校を卒業するころには父上と母上が相手を見つけているはずだ。恋愛などするだけ無駄になってしまう。それにドラコはあまり興味なかった。明日になったらこの虫刺されも消えているはずだ。ドラコはそう思いながらゆっくりと食事を進める
そして時間が経った
「おいクラッブ、ゴイル授業遅れるから早く行くぞ」
ギリギリまで朝食を堪能しやがってと呟きながら廊下を歩く。するとグリフィンドールのあの3人にばったりと会う
「やぁポッター。相変わらずのボサボサ頭だな、小鳥にでも譲ったらどうだ?」
するとハーマイオニーとロンは分かりやすく顔を顰める。しかし今日はポッターのエメラルドの瞳がいつもと雰囲気が違う気がした
「うるさいぞマルフォイ!!お前のその髪型も何時間セットしてるんだよ」
「フッ残念だなこの髪質は生まれつきだ。セットにそこまで時間はかからないぞウィーズリー」
「ロンほっときましょっ授業に遅れるわ!!」
ハーマイオニーはいつもの喧嘩になりそうだったため止めに入る。バカにされるより授業に遅れることの方が怖かった。ただ言い返さず大人しいハリーには少し疑問を抱いていた。そんなハリーが機嫌が良さそうにドラコに話しかける
「マルフォイ、お前も早くしたほうがいいんじゃない?」
ハリーはじゃあ、ロン、ハーマイオニー行こうと声を掛けると先ほどのことも何も触れずそのまま廊下を歩き出す
「?…なんだあいつ」
ドラコは首を傾げ呆れもせず怒りもせずなんなら余裕を見せながら話すハリーに気色悪さを感じた。クラッブゴイルも互いに顔を見合わせる
次の日の朝も鏡で見ると2、3個増えていた。そんなに虫がいるのだろうかそう思いながらその痕を触る
「…結構目立つな」
目立つせいか案の定ザビニやパンジー、他のスリザリン生にも言われる。だが虫刺されだといい切る。実際にそんな事をしていないのだ。ホントのことを言えと言われてもこれが本当の事だから同じ事しか言えない。だが少ししたら収まるだろうしこの痕無くなるだろう。だからこそドラコはあまり気にしていなかった
次の日の朝もちろんあった。増えもした
「うわぁぁああ!!?!!?!!」
しかしこれは言い訳が難しくなってきた。
いや無理だろう確実に。数的にも…それにこれは痕だけでははない。もちろん痕もあるしそれも問題なのだが痕以外に違うものもできていた
「な、なんなんだ…これは」
ドラコは白い肌をさらに青白くしながら声を震わせ呟く。首筋にある痕、痕、痕、…そして
「なんなんだ…この歯型は」
ドラコの首筋にはハッキリと歯型があった
冷や汗がドラコの頬を伝う。バクバクとなる心臓がうるさい
いつだ、いつなんだ?夜か?なんでこんなにつけられてるんだ?
「…どうしたんだドラコ?朝から叫んで」
ドラコ叫び声で起きたのがゴイルがのそのそとこっちに来る
まずい、見られる。なんとか隠そうとするももう隠せないほどあった
「あ…えーっと…ほどほどにね?」
ゴイルが驚いたように目を開きそして少し顔を赤らめながら言う。クソッこいつ無知じゃないのかよ!!!!とドラコは心のなかで叫ぶ。食欲にしか従わなそうだからてっきり性欲やそういうことには興味もないと思ったし知ってるとも思わなかった。ゴイルなら何とかなるかもと思った自分が馬鹿らしく感じる。こいつも一応年頃の男の子なのだと改めて実感させられた
「黙れゴイル!!お前が思ってことと違うからな!?あとこの事は誰にも喋るな!いいな?」
「別にそれはいいけど…いつからなんだ?」
「いつからもなにもないし始まってすらもない!!」
「どういうこと?じゃあなんで…」
「なんでって僕が聞きたい!!朝起きたら必ず増えてるんだ!!」
こうなったら仕方ない、そう思いドラコはゴイルに全てを話すことにした。もっともゴイルに相談したところで何の解決にもならないと思うが
「つまり、朝起きたら増えてるってこと?」
「だからそう言ってるだろう!?」
やはり駄目だ。分かっていたのに悲しくなる。少なからず無意識に期待してしまってきたのだろう
「だが、今日は酷い…一気に増えた」
「寝てる時に変な感じはしなかったのか?」
「全くだ。何も感じない」
最近は疲れているのかとても眠くなるためぐっすり眠ってしまっていた
「…スネイプに相談したらどうだ?」
「スネイプ先生にこんなこと言えない!!」
尊敬するスネイプ先生にこんな変なことで心配させてたくないという思いとこんな恥ずかしい姿を見せられないという思いが混ざり合い相談しずらかった
「おい、ゴイルこれを何とか隠せ、隠す方法を探せ」
「いやいやいやいや無理だろ、これは隠しきれないって」
「じゃあどうするんだよ!?ザビニやパンジーに目をつけられてるんだぞ!今まで何とか誤魔化せてたが今回は無理だ!」
なんでこいつに…ゴイルにこんなことを説明しなきゃいけないんだと思いながらドラコは言う
ゴイルはというとずっとオロオロしながら考えている
「首に包帯巻くとかは?」
「馬鹿か、そんなのすぐ怪しまれる」
「…えっと、じゃあ…あ!マフラーは?」
「…それいけるかもな」
まだマフラーをつけるには早い時期だがまぁまぁいいだろう。それにこれぐらいでしか隠せない
ゴイルにしてはいい提案だった
まぁ無理だろう。そりゃ怪しまれるのが当然だ
朝食の時間からずっとホントのことを言えと追いかけ回され他のスリザリン生にも怪しまれる始末だ
今日は疲れた、そう思いながら談話室に行くとあの二人がいた。
「いい加減言ったらどうなのドラコ!相手は誰なの!?」
「隠すのは無理なんじゃないかー?」
ゴイルは隣でオロオロしてる。クラッブも気になるようでドラコをじっと見つめる
ゴイルのこの反応で何かあったことは明確になってしまってる。こうなったら何回も本当に言ってるが説得するつもりで理由を言おう
「いい加減にしろ、そんなに僕のことが信じられないなら真実薬でも飲ませてみろ。絶対にさっきと同じ事を言う」
「そんなに言うなら…本当なのね。で?今回はどんな感じなの」
「いや、その…」
「まさか、ここまで言って見せないってことはないだろ?」
そう言いザビニはドラコのマフラーを軽々と奪う。ドラコは抵抗しようとしだがザビニの方が早かった
「…わーお凄いな」
「何これ…噛み痕まで…」
パンジーは顔を少し赤らめながら呟く。ゴイルは先程見せたから驚く反応はなかったが隣にいるクラッブは驚きが隠せないのか目のやり場に困っているのか目をキョロキョロとさせていた
「もしドラコが寝ている間にされてるとしたらスリザリン生の誰か?」
「マルフォイの者に手を出すスリザリン生なんて余程の命知らず以外はいないだろ」
ゴイルがそう言うとクラッブはうんうんと頷く
やはり他の寮の奴か
「あら、ザビニあんたなら手を出しそうじゃない」
「おいやめろよ、もしかして疑ってんのか?」
「いや、お前は違うだろう。こんな陰湿な真似をするはずがない。そうだろザビニ?」
このことに関してはザビニではない否定しておこうそう思いながらドラコはザビニを見る
「それはいいことなのか悪いことなのかよく分かんんねぇんだが」
「好きに捉えろ」
すぐに視線を外す。さてどうしたものかスリザリン生ではないのなら手がかりもなしに探しようがない。
「それじゃあ他の寮の奴らってこと?」
「それはありえないだろ、スリザリン寮に部外者が入ったことは700年以上ないんだぞ?」
それだけは違うだろうとドラコは確信していた
スリザリン生が他寮の生徒に合言葉を教えると思えない何よりこの長い歴史の中で他寮の者が入ったことはあまりない…といよりないのではないかと思う
「だけどそれ以外いなくないか?こんなことするやつ」
クラッブがポツリと呟く。それはそうだ。今の話し合いでは結局スリザリン生がこんなことできる人はいないと結論づけている
「他寮の女がお前のことなんか好きになるか?」
「ふんっいるとしたらそれはただの変態だな」
一応性格の悪さは自覚しているためドラコにとっては痛くも痒くもなかった。なんならいる方が怖い。
顔は美形の類に入るが性格のこともあってドラコはあまりモテない。そもそもドラコはあまりそういったことに興味はなかった。母ナルシッサと父ルシウスから生まれているのだから少なくとも普通の顔かそれより少し上だろうとドラコは判断していた。
もっとも周りからはよく〝黙っていれば美人〟と言われてることをドラコは知らないし本人が思ってるよりずっと美形であるのだがそのことに気づいていないのだ
「スリザリン生ならいそうだけど…まぁこんな事する子はいないか」
「そもそも女なのか?」
ゴイルの何気なく言った一言がピシャリと空気を切り裂く。ドラコは頭の片隅にあった考えだがありえないだろうという思いと考えたくもないという思いから無視をしていたのだがこの瞬間無視ができなくなる
「なんだ、ゴイル…これが男の仕業だって言うのか?」
圧をかけるように問う。そのせいかゴイルはびくりと肩を震えあげしまったというように無言になる
まだ女ならまだしも男は受け入れられない。ドラコはマルフォイとしてのプライドが許さないのだ
「いやその可能性は否定できないだろ、全然ありえるぞ」
ささっとこの話からずらそうと思っていたところをザビニが予想外の言葉を投げ出したため思わず反応してしまう
「は?」
「いやお前は知らねぇかもしれないが…あー言っていいのかね〜これは」
「なんだハッキリ言え」
「お前の名誉の為に言わない方がいいと思うんだが…」
「じゃあここまで言うなよ…」
ここまで言われると気になってしまう。それが人間の本能というものだろう。そう思ってるとザビニがドラコの耳元に近づいて囁いた
「お前の写真は妙に男ウケがいいらしい」
ザビニはよく色々な写真を売っている生徒と話したことがあったその時にドラコのことを聞いたのだ
というか無断であるため普通に盗撮である。
「?…どういう…!?」
一瞬どういう意味か分からなかったがすぐに理解する。その瞬間ドラコの顔が真っ赤になる
「んなわけないだろ!どこ情報だよそれ!」
「それ言ったらお前そいつ消しに行くだろ…」
呆れたようにザビニが言う
「当たり前だろ!!」
「可哀想にドラコ…こうなるとほんとに男かもしれないわね」
このことを知ってるパンジーは同情しつつ犯人の可能性が男でもおかしくないことを確信する
知らなかったクラッブとゴイルも会話からなんとなく察しドラコに同情の目を向ける
「もういい!!寝る!!」
そう言ってドラコは寝室に行こうとするも後ろから止められる
「なんだ、まだ僕を侮辱足りないのか?」
「「「「「何で普通に寝ようとするんだよ(のよ)!?」」」」」
「は?駄目なのか?」
「ドラコ、あんたねぇ…いつも朝起きたら増えてるってことはいつされてると思う?」
「…夜…だな」
「なのに何で疑いもなく寝ようとしちゃいますかね〜危機感のない坊ちゃまよぉ…」
「……寝るなって言いたいのか?」
同室にはクラッブとゴイルもいる
起きない二人とは言え人が何かしていたら気づきそうなもののバレないのだからもう人数を増やしたところで意味がないだろう
「まぁ、そうしたほうがいいかもしれないわね」
「…結構眠いんだが……」
呆れたように4人はドラコを見る。いつもは従うクラッブとゴイルも2人と同じように呆れている
「お前…襲われるかもしんねぇだぞ…」
「分かった分かった!!だからその目をやめろ!起きてるから!!」
「……」
やばい、眠い。ドラコは寝ないように本を読んだり明日の授業の予習をしたり色々してみたがもう限界だ眠い
「……もう寝てもいいんじゃないか?」
いや駄目だと頭を振る。それで明日色々言われるのは自分だし何よりこれ以上痕をつけられたくない
あと4時間…ここを踏ん張ればなんとかなるそう思いなんとかドラコは起きようとした。そして残り3時間、残り2時間と…あとなんとか眠らずに次の日を迎えそうだった
「───きろ…──起き…起きろ、ドラコ!!」
「…んっ……?何だようるさいな…」
机に伏せて寝てしまっていたらしい。…寝てしまったらしい。
「もしかして僕寝てたか!?」
眠気が一瞬にして飛ぶ。寝てしまっていたようだ
つまり
「ぐっすりと寝てたぞ…」
そしてすぐにゴイルが早口で言う
「それより!!鏡で後ろ見てみろ!昨日より増えてるぞ!」
「はぁ!?」
すぐにドラコは洗面台に向かう
「…ほんとに誰だよ!?…」
なんともご丁寧にしっかりと後ろのうなじに噛み痕やらなんやらつけられていた
最初は起きていたのだ。つまり寝た後に来られたということだ。きっと見計らったのだろう
「パンジーとか呼んでくるぞ…?」
そう言ってとりあえずゴイルは部屋を出た
朝食の時間までかなり時間があるため作戦会議をすることになった
「やっぱり寝たのね」
「普通眠くなるだろ!」
そうねと言いながらパンジーはなんとか考える。そんな中クラッブが珍しくは発言する
「交代交代に見張ったりすればいいんじゃないか?」
「どういうことだ?」
「ドラコが起きてる時には来なかったんだろ?交代交代に皆で順番に見張れば睡眠は確保できるし」
「クラッブ、お前にしてはいいアイディアだな…」
ザビニが感心したように呟く。他の皆もそれに頷く
「時間の振り分けはどうするんだ?1人2、3時間か?」
「ちょっ…皆は1時間ずつ…いや30分でもいい!」
流石に皆のそんなに睡眠時間を削ることはできないと感じ思わず身を乗り出す
「じゃあ1時間な、パンジーは女子だから流石にこれには参加するなよ?」
パンジーいなくならノットを無理やり参加させるかとついでにザビニは呟く
「えーっやっぱりだめかしら?」
「駄目だな、男子寮に流石に入れるわけにいかないし」
「そうよね…近くでドラコを守れないなんて…悔しいわ」
「わっっ…おい!」
パンジーが残念そうに呟きそのままドラコに抱きつく
「ドラコ、最近態度が変わった男や女はいないのか?」
「態度?んー…??いないと思うが」
悩んだが頭に浮かぶやつはいなかった
ただ態度というより視線が変わったような感じがするやつは一人いた気がするが気の所為だろう。あいつがこんなことをするはずがない。想像するだけで吐き気がしてしまう
「そうか、なら様子見かー」
「…珍しく僕の手助けをするんだな」
「気になるじゃん?スリザリン寮に入って〝マルフォイ〟を敵に回そうとする命知らず、一体どんな奴なんだろうな」
あとは単純にドラコが怯えてるのが面白いと感じていたからなのだがこれは言ったらバレそうなのでザビニは心の中でとどめとくことにした。ドラコはとても嫌そうな顔をす?
「ふーん、まぁいいが…あ、そろそろ時間だな。広間に向かうか」
「そうね」
ドラコは首にマフラーを巻く。流石に周りに見せるわけにはいかない
そして談話室から5人は出ていった
やはりいつもと同じ普通の光景だ。特に変わったことはない
ドラコはいつものようにグリフィンドールを嘲笑いハリー達を馬鹿にする。授業でもいつもと同じように受ける。他の人からの視線も何も変わらない
だが
今日の最後の授業である魔法薬学の授業
昨夜寝なかったから睡魔が襲ってきた。やばい、凄く眠い。でもこれはスネイプの授業、寝たら減点されるだろう。昨夜と同じようにドラコはなんとか起きようとしていた
「……マルフォイ、起きろ」
「…!?」
しまった、寝てしまうっていたらしい
流石にスリザリン贔屓のスネイプも怒るだろう。次に来る言葉にドラコは怯える
「…しっかりと睡眠を取るように」
しっかりと許す。流石スリザリン贔屓のスネイプ
スネイプはそう言うとそのまま素通りする
グリフィンドールのヒソヒソ声が聞こえる。大方自分たちなら減点されてるところをドラコには減点しないことに嫌味を言っているのだろう。
「流石スリザリン贔屓…というよりドラコに甘いだけだな」
ヒソヒソと喋るグリフィンドールに紛れてザビニがドラコに耳打ちする。父ルシウスの友人であるスネイプがその息子に甘くなってしまうのは無理もない
「静かにしろ授業中だぞ、グリフィンドールから10点減点」
流石、グリフィンドールには容赦がない
寝ていたドラコのほうが明らかに悪いというようにまぁ今回はしっかりとした理由があるのだが。今の出来事で目が覚めたからドラコとしてはよかったのだが。ドラコは怒られてさらに不満を隠さないグリフィンドールに目を向ける。その瞬間ハリーと目が合う
いつものように馬鹿にしたような笑みを浮かべようとしたがその前にハリーが微笑んだ
ドラコはゾッとして後ろを向く。スリザリン生の誰かにあんな笑みを送る相手がいるのだろうか
そう思い探すも特にその場所に女子はいなかった
気でも狂ったのだろうか、と思うも自分には関係ないと思いそのまま黒板に目を向ける
授業が終わりドラコは身体を伸ばす
寮に戻ろうと教科書などの片付けをする。その時ドラコに影がかかる
「マルフォイ…」
「…スネイプ先生、その…先程は居眠りをしてしまいすみませんでした」
後ろを振り向くとスネイプがいた。きっと先程のことだろうと思いすぐにドラコは謝罪する
「…少しだけ居残れ」
やはり皆の前では説教はしなかったものの流石に罰則はあるのだろう。仕方ないと思い素直に受け入れる
「分かりました」
そう言うとスネイプは奥の個室に向かう
「流石に罰則か」
ザビニが馬鹿にするように笑う
「まぁ仕方ないわよ、昨夜寝てなかったんだから」
パンジーの言葉にクラッブとゴイルが頷く
「お前らは先戻っていいぞ」
そう言ってスネイプの元に行こうと思ったとき
「あれ?もしかしてマルフォイ罰則?」
ハリーに突然声をかけられる。いつもからかいに行くのはドラコからでハリーからドラコにからいかいに行くことは珍しかった。ハーマイオニーもロンもハリーからからかいに行くことにびっくりしているのかオロオロとしていた
「珍しいなポッター、馬鹿にしに来たのか?」
「ハリー!急にどうしたの?早く行きましょ!!」
「そうだよハリー、こんな奴に話しかけるなんて!!」
ハーマイオニーもロンもおかしいことなど言ってない。なんなら普通のことを言ってる。ハリーがおかしいのだ
「だっていつもはしっかり授業を受けてるマルフォイが居眠りだよ?しかもスネイプの授業で」
気になるじゃん?と言うようにハリーは2人を見る
「きっと寝れない理由があったんでしょ?そのマフラー何のために巻いてるの?」
笑顔を崩さずにハリーはドラコに詰め寄る。その笑顔が少し怖かった。ドラコの後ろにいる4人はなんとなく…いや確信した。
((((絶ッッッ対にこいつが犯人だ))))
今までの詮索は何だったのだろうと思ってしまうほど分かりやすかった
「まだ寒くないのに何でマフラーなんて巻いてるの?何か別の理由があるんでしょ見せてよ」
そう言ってハリーはのマフラーを掴み解こうとするもドラコがすぐに抵抗しハリーから離れるようとする
「そんなのどうでもいいでしょ?もう行きましょうよハリー」
「ハリー、マフラーがそんなに気になるのか?」
こいつだったら別にありえなくないだろ…っとロンはげんなりと言う
「グレンジャーやウィーズリーの言う通りだぞポッター、そんなに気になるか?」
さり気なくドラコを守るようにザビニとクラッブ、ゴイルは立つ
「純血でもない奴がドラコに話しかけないでくれるかしら?」
「パーキンソン。君こそマルフォイに話しかけないほうがいいんじゃないか?君みたいな顔も頭も悪い子がマルフォイとなんて釣り合わないよ」
「なんですって!?」
パンジーの顔が真っ赤になる。そのままハリーに飛びかかりそうな勢いで近づく
「落ち着けパンジー」
ドラコとザビニがなんとかパンジーを止める
暴れながらも少しずつ冷静を取り戻しておく
「さぁマルフォイ理由を教えてよ」
気づかれたのか、いつ見られた、ドラコはそんな事で頭がいっぱいでどう返答しようか迷っていた時
「何の騒ぎだ…おやおや英雄殿こんなところで何をしておられるのだ?」
「いえ、ドラコに用があっただけです」
「…記憶がおかしくなければポッターとマルフォイ…二人は犬猿の仲なはずそんなマルフォイに用ができたとでも?」
早く口で声を低く句読点のつかない言葉でハリーにスネイプは話しかける
「…別にいいですよ、もう用は終わったので。行こうロン、ハーマイオニー」
ハリーがそう言うとハーマイオニーとロンは顔を見合わせハリーについて行く
遠くから二人の声が聞こえそれが遠のいて行く
「……ドラコ、手を出せ」
ドラコはその通りにするとスネイプはその白い手に薬が2錠入った小瓶を置いた
「これは…?」
「睡眠薬だ、しっかり睡眠は取れ」
どうやらスネイプはドラコが眠れていないと思っていたらしい
「あ、ありがとうございます…気持ちは嬉しいんですが…」
ドラコは寝れないんじゃない寝たくないのだ。だがそんなことを言ったらスネイプに理由を伝えなくてはいけなくなる
「?…どうした」
「いや、その」
「もう言っちゃいなさいよドラコ、スネイプ先生なら聞いてくれるわ!」
「そうだドラコ、こんなんじゃ解決しないだろ」
「ドラコのためになるならそうした方がいい」
「…何かあるなら話せ、ドラコ」
ここまで言われたら言うしかなくなる。諦めてドラコはスネイプに全てを話すことにした。
「お前たちは出ていけ。そんなに居られても邪魔になるだけだ」
そう言ってスネイプは他の4人を追い出す。残された4人ははぁと溜め息をつく
「こりゃ、あの反応はドラコ気づいてないな…」
「そうね、気づいたらきっぱり言うものね…あんなに分かりやすいのに」
「多分言っても信じないだろーな…」
クラッブが呟き3人はうんうんと頷く
「…見せてみろ…」
全てを聞き終えたスネイプは今どんな状況かを知るためにドラコの首を見ようとする
「…分かりました」
ここまできたら恥ずかしさもクソもない。そう思い素直にマフラーを外す
「…………夜、痛みは感じないのか?」
見た瞬間スネイプは顔を顰め無言になるも質問を繰り出した
「いえ、ぐっすり眠ってしまって全く気づけないんです」
「そうか…」
そして色々説明してこれからの対策方法など言ってスネイプを納得させる
「ドラコ、これからは食べる席をバラバラにしてみろ。いつもと同じ席ではなく、バラバラにだ。2日連続で同じ席に座らないようにしろ」
「え、はい…分かりました」
「…そして、君はもう少し危機感を持て」
態度の割に隙が多すぎる、そう呟いスネイプは少し微笑む。
その後ドラコは気を付けて寮に戻れと言われてそのまま戻る。その時ドラコはスネイプに言われた危機感を持てという言葉に引っかかっていた
「……自分ではそのつもりでも案外緩くなってしまうのだろうか…」
一人そう呟き寮に戻っていった
「貴様らそこで何してる…」
ずっと物影に隠れていたスリザリンの4人を指摘する。もう隠れ切れないと思ったのか4人は大人しく姿を現す
「いやー、一体何の話してたのかなー?って思って」
「貴様とマルフォイはそこまでの仲ではないだろう」
きっぱりと言われたザビニはスネイプには勝てないと肩を落とす。まぁ嘘も分かり易すぎるが
「私たちはドラコのこと知ってるんです、それに犯人もなんとなく分かっています」
パンジーがスネイプの目をしっかり見て話す
「…あぁ、犯人はポッターだろうな」
「先生も分かってたのか!」
ザビニがそれなら話が早いと目を輝かせる
「いや多分普通なら気づくわよ、普通なら」
パンジーが呆れたように呟く。はぁ~と溜め息つきまたスネイプに目を向ける
「とりあえず犯人が誰かを教えようと思っただけなので…ここで失礼します」
パンジーがそう言って4人は部屋から出ていく
この対策は上手く行ったのか、あれから痕が増えることはなかった。ノットも嫌々言いながらなんやかんやで協力してくれた為人数に困ることはなかった
4人は1時間ずつ見張り残りの時間はドラコ自身が起きていることにした。ドラコにとっては早く起きるようになったぐらいなので起きたあとも眠くなることはなくずっと起きていられた
それから2週間クラッブの見張り時間が終わった為ドラコは起きて本を読んでいた
だが、いつもと違って少し眠気が急に襲ってきた。
(…何でだ?)
睡魔に勝てなくドラコはそのまま眠りについてしまった。
チクリと首元に痛みを感じた。その痛みに薄っすらと目を開く
そこにはぼんやりとだがモサモサとした髪型に丸い眼鏡、そしてその中にある驚いたように目を開くエメラルド色の瞳。薄っすらと見える額の傷。この特徴でハッと目が覚める。ハリー・ポッターだ。あのハリー・ポッターだ。犬猿の仲で憎き相手であるハリー・ポッターだ。
その瞬間考えるより先に手が動き眠ってしまった時に手元に持っていた本で力一杯思いっきりハリーを叩く
ドンッと音が響く。ハリーはその衝撃で後ろに倒れその音でクラッブとゴイルが起きた
未だに状況を理解できていないドラコは取り敢えずハリーに杖を向ける
「ポッタぁぁぁああ!?!!何でお前がここに!?」
「痛ったいなぁ…マルフォイ」
そう言ってハリーは手を伸ばすもののそれは叶わなかった
「インカーセラス」
ゴイルが拘束魔法を放ちハリーを縛る
「わー、捕まっちゃった♪」
「ドラコに触れるな…!」
「喜ぶな!!気持ち悪い!!」
ゴイルも杖を構え助けを待つ。クラッブが伝えに行ったのだった
「な、な、な何でお前が!?」
「気づいてなかったの?ドラコ」
「ファーストネームで呼ばれる筋合いはない!というか気持ち悪いからやめろ!」
するとドンっと扉が開く
「大丈夫か!?ドラコ!!」
スネイプは杖を構えたまま寝室に入る。後ろにはサビニとノットもいた
「ポッター!!やはり貴様か!!」
「思ったより来るのが早いですね。もっとドラコと話したかったのに」
とても爽やかな笑みを浮かべて喋るハリーはとてもだけどドラコにとっては恐怖の笑みでしかなかった
「マジでやべぇなアイツ」
「ドラコもあんな奴に目をつけられて可哀想に」
ハリーにドン引きしながらドラコに同情の目を向けた。
取り敢えず朝になるまでハリーはマクゴナガルに監視されることになった。もちろんスネイプはグリフィンドールを減点した
「Mr.ポッター…これはどういうことか説明してもらいましょうか…」
「まず、理由を教えてもらおうか…」
「ドラコを愛するのに理由が要りますか?」
「殺すぞポッター、ささっと言え!!」
杖を構えいつでも攻撃できるように準備をする。それをスネイプが制したが内心こいつに杖を向けるならいっか、という思考になりつつある。
「簡単に言えばドラコが僕のものだと証明するためですかね」
3人が凍りついたように動きが止まる
「何を言うかと思えば、…ポッター、お前狂ってるんじゃないか?」
心から思った事を伝える。こいつ狂ってるんじゃないか?
「まっさかぁ〜ドラコを愛してるだけだよ!」
「まず、僕は貴様のものになったつもりはない!ポッター!」
「ハリーって呼んでもいいんだよ?」
「黙れ!!」
もうドラコは泣きそうだった。当たり前だ。いつも嫌われていると思っていた相手にこんなことをされていたのだから。当たり前だ。
「貴様とドラ…マルフォイは犬猿の仲であったはずだが?」
「スネイプ先生そんなに気になるんですか?僕とドラコの関係…」
「おい!!間際らしい言い方をするな!先生、僕はこんなヤツと…」
「大丈夫だ、マルフォイ…分かっている」
スネイプはいちいちハリーの発言に突っかかっては時間の無駄だと感じそしてここまで至った経緯を知りたかったため全てを一回無にすることにしたのだ
「大した理由じゃないですよ、別に」
「ほう?仲が悪いどころかいがみ合う仲だったというのに?」
「いや、ふとドラコを見たら髪が綺麗に見えて」
「は?」
「そしたら急にドラコの潤ってる唇とか白い肌とか仕草とか色々目に入るようになってしまったんですよ」
ウキウキと話しているハリーとは対照的にハリーから言葉が発せられるたびにドラコは顔を顰めていく
だが、ドラコはこれだけは分かった
(こいつやばい)
「何より僕には絶対見せないのにスネイプ先生やスリザリン同級生、上級生には見せる色々な表情に惚れてしまったんです」
「何言ってんだお前」
ほんとに何を言っているのか。隣のスネイプをドラコは見る。そしてその表情を見てドラコは安心する
よかった、同じ気持ちだと
ついでにドラコはマクゴナガルの表情を見るが見てすぐに目を逸らす。多分自分より酷い表情をしてる。
「スリザリン生には見せて僕には見せない表情があるって分かってモヤモヤしたんです」
「いや、意味が分からない…同じ寮のやつに心許すのは当たり前だろ」
「きっとスリザリンの人たちには無防備なところも見せてるんだろーないいなーと思って」
ほんとに意味が分からないと呟くドラコを無視してハリーは話す。しかしドラコはそれどころではなかった。
(というか、この続きの言葉聞きたくない)
「無防備なところを見ようと思ってドラコの寝室にお邪魔してたんです」
ハリーはてへっと舌を出しウィンクしながらドラコを見る。どうしたらその思考に辿り着く。
ドラコは目の前にある本でハリーを殴ろうとするもスネイプに止められる。代わりにマクゴナガルがポッター…と冷たく呼んでいる。
「先生…今なら多分闇の魔術余裕でぶっ放せます」
「こんな奴のために犯罪を犯すな…」
するとスネイプはハッと思い出したようにハリーに問いかける
「…まさかだとは思うが…マルフォイがいつも座る席の水が入ったグラスに薬を混ぜていたのはポッター貴様か?」
「は?」
今日だけでこの「は?」という言葉を何回使ったのだろう。だがドラコは一体何を飲まされていたのか不安な気持ちで一杯でそんな事を気にしていられなかった
「あ、スネイプ先生は気づいてたんですね」
「ハァ!?何を入れてたんだポッター!!」
「落ち着け、マルフォイ…多分だが睡眠薬…とは少し違うが似たいような薬を入れられてた…貴様すぐ眠くなると言っていただろう?」
ドラコはスネイプが席を変えろと言っていたことを思い出す
「何で言ってくれなかったんですか…!?」
「言ったらお前は騒ぐであろう…」
その通り過ぎてドラコは次の言葉が出ない
取り敢えずハリーが悪いのでハリーを睨んでおく
「いつバレるかとヒヤヒヤしたよほんとに…」
ハリーは溜め息をつく
そう。ハリーは魔法で隠れて薬を入れていた。それも朝昼晩の食事の時、少量の薬を少しずつ入れていた
「そんな薬、授業で教えた覚えはないが…」
スネイプの目が険しくなる。
ハリーの余裕の笑みが少し、いや結構崩れる
「………やりましたよ…」
「いや、嘘つけ!!!」
逆に何でこれで逃れられると思ったのだろうか。いやダメ元で言ったのだろう
「はぁ、…ハーマイオニー教えてもらったんです」
「あのマグル女か!!」
するとドアの外、廊下から物音がする
皆一斉にドアを見るが気の所為だとまた話に戻る
「Ms.グレンジャーを連れてこ…」
「待ってください!!ハーマイオニーは無関係ですよ!!僕がこのやり方知らないかって聞いただけです!!」
いや、じゃあ名前言うなよとその場にいた3人は思う。あっさり言われるハーマイオニーを哀れに思った
「教えるのも駄目だろ…!?」
だが一番おかしいのはグレンジャーではポッターだ。だから許そう。ドラコはそう自分に言い聞かせ無理やり解決させる
「ところでポッター、あなたはどうやってスリザリン寮に入ることができたのです?」
なんとか耐えたマクゴナガルがハリーに質問する。マクゴナガルもスネイプも一番聞きたかったことだ
ただでさえスリザリン寮は警備が厳しいというのに
「あーそれですか一スリザリンの下級生を脅して聞きました」
今でのも結構ヤバくはあったがまさかの今回は他人にも被害が及んでいた
「ポッター貴様!!」
「していいことと悪いことがありますよ!!」
もはやここまで来るとドラコは反応しなくなった。許したわけではない。許したわけでは無いし心配をしているわけではない。だがこいつは一度病院に行ったほうがいいと思った
「大丈夫です。しっかりとオブリエイトしましたから」
「「「そういう問題じゃない!!」」」
一斉にツッコむ。巻き込まれた下級生に可哀想とドラコは静かに呟く。ドラコはもはやどうでもよくなった。結局話したところで解決することでもない、問題はこいつの処罰.この後どうするかだった
「Mr.ポッター…あなたがやっていたことは軽く犯罪ですよ…」
「罰則どころの騒ぎでは無さそうですな…」
スネイプは青筋を立てハリーを見る
スネイプが次の言葉を言おうと口を開いた瞬間ドアの方からガタガタと音がする。スネイプはドアへ向かい素早くドアを開ける
「さっきからそこで何をしている!!」
ハリー、ドラコ、マクゴナガルが覗き見る
そこにはグリフィンドールの二人、スリザリン生の四人がいた
あはは…と苦笑い気味な表情でいるがそんなで説教を免れるはずがない
「貴方達は…何をしているのです…」
次から次へと…というようにマクゴナガルが見つめる
「貴様ら…今まで盗み聞きしていたのか!?」
「いや~その…たまたま?」
ロンが明後日の方向を見ながら言う
「嘘をつけ…」
「そんなことよりドラコ!!大丈夫!?ポッターに何かされてない!?」
「大丈夫だ…一応大丈夫だ」
精神は結構やられているが一応無事だ
「ハリー、貴方何してるのよ…」
「マルフォイなんて…ハリーも趣味が悪いな」
ハーマイオニーは先ほどのことがあるのか少し苛つきを隠しながら言いロンは少し引き気味に言う。一応親友だから傷つけないようにと気を遣っているのだ
「このことお前の親父さんに言えばいいんじゃないか?」
ザビニがそう提案するとスリザリン生は確かに!!と相槌を打つ
「…ちょ、それは流石に…」
「そうだよ!退学はやりすぎだって!」
いや確かに結構やらかしてるがとハーマイオニーとロンは思うがそれでも親友が退学してしまうのは嫌だった。だがドラコの父親、ルシウスにこの事を伝えられてしまえばハリーなんて退学させることは造作もないことだろう
ドラコは考える。
(確かに父上に言えばハリーなんてすぐに退学にさせられるだろう…)
だけどそれじゃあ───
「これからの生活が面白くなくなってしまうだろ」
「え?」
パンジーが思わず声が出てしまう
「ポッターが退学したら僕の都合のいいからかい相手がいなくなるだろ?学校生活に面白みが無くなるじゃないか」
一瞬で周りの空気が凍る。いや1人だけ動きは止まっているが他の人と違う雰囲気を出している
ドラコはいきなり空気がおかしくなったことに気づき周りを見渡す
(…僕そんな変なこと言ったか…?)
マクゴナガルとスネイプは石化する魔法であるペトリフィカス・トータラスをかけられたかのように固まっている。頬はピクピクと痙攣しているが
「え、…なに?皆どうしたんだ…?」
「…今日飯いらないかも」
「それな…」
「あー、うん…もういいわ勝手にしなさいよ…はぁ…」
パンジーはこれだから鈍感は…とぼそりと呟くがドラコには聞こえていた
「え、待て待て!!お願いだ!!そんな顔しないでくれ!!」
ドラコは今にでも泣きそうな顔でパンジーにしがみつく。何で皆にこんな言葉にできないような表情で目を向けられているのか理解できていないドラコは皆に見捨てられそうなことだけは分かったためなんとか抗議しようとする。何でこんなに焦るか。それは確かに今までのこともあるが何より後ろの気配がヤバいからだ。多分捕まったら喰われる、そうドラコの本能が告げていた。そんな事を考えていると今指していた後ろから声がかけられる
「…ドラコ……そんなに僕のことが好きだったの?」
「なんでそうなるんだ!?今の話から何でそうなるんだ!?好きだなんて…いやそもそも愛の言葉なんてお前に伝えた覚えはない!」
ハリーはドラコが一生懸命否定する言葉を一切耳に傾けず目に追えないほどの早さでドラコの手を握る。痛いくらいに握りしめるためドラコが顔を顰める
「好きならもっと早く伝えてくれればよかったのに…でもそうだよね…ドラコは恥ずかしがり屋だもんね。今思い返せばあの嫌がらせ、からかいも全部僕のことが好きででも素直になれなくてやってた行動なのか…めちゃくちゃ可愛いね。大丈夫僕はそんな素直になれないドラコ、君のことが好きだから。他にも君の可愛いところ知ってるよ??それにこれから色々知る予定だしね!でもホントに嬉しいよ!今日は素直になれないドラコが自ら告白してくれたんだもんね…もう僕君に痕残すだけじゃ我慢出来ないよ…ね、ね、だからさ?こんなところじゃなくてもっと2人きりになれる他の場所行こう!!ね?早く!」
「ちょ……待っ……え、……すま、…ない」
決して口を挟む隙を与えない早さでペラペラと喋るハリー。それに対し当たり前だがドラコは恐怖で顔をが歪む
恐怖で今このことを断ろうとすることと今までのことを謝ろうとすることと色々なことが混ざってしった。なんとか伝えようとするも声が震えて相手にもしっかりと聞こえていないだろう
ドラコは助けを求めるように周りをの人を見る
「あー、終わったな…ドラコ」
自分の言ったことに気づいていないんだろうなとザビニは思いながらこの光景を見ているのか目が死んでいた
「…マルフォイのことは嫌いだけどこれは同情するわ…」
「てか、何でマルフォイなんか好きなんだよ…」
ハーマイオニーもドラコに憐れみの目を向ける。ロンは愚痴を言いつつハリーから逃げたほうがいいよと心の中で思っていた
「無自覚とはいえ、…今のドラコが…悪い気がするが…いやまぁ頑張れ」
「セオドール!!お前はハリーの味方するのか!?」
「いや、一緒にするな。味方ではない」
断じてと言うようにノットはドラコを見る。他の皆も分かっているがここで下手に助ければ消されることになることはすぐに感じ取れた
しかし教師達はこんな子供の圧でやられるわけにいかない
「ポッター貴様…いつもの生ぬるい、ただの罰則で済むと思わぬように…マルフォイ貴様は状況を判断して発言しろ」
「はぁ………セブルスと私で罰則内容は決めます。Mr.マルフォイ…発言に気をつけるように……」
だがなんとまとめればいいか、なんと言え4ばいいか分からなく曖昧に伝える
「だから、僕なんか変なこと言いましたか!?」
「お黙りなさい…!」/「黙れ、マルフォイ」
とりあえず二人の教師はドラコを黙らせておく。これ以上失言されたらたまったもんではない
「それからMr.ポッター…合意のない行動を取らないように…そして校内では不順異性交遊は規則で禁止されています、分かっていますね?」
「はい!!もちろんです!!」
いや、なにも分かっていないだろう!!と周りは全員心の中で叫ぶ
「貴様分かってると思うが何の関係も結んでおらぬからな???」
「…え?さっきドラコから愛の告白貰いましたが?」
「愛の告白なんて言った覚え…」
「黙れと言っているだろう、マルフォイ!…ポッター、さっきのは愛の告白でも何でもない、そして今までのマルフォイの行動は決してお前への好意ではない!!つまり貴様はまだ片想いのままだということだ、いいか?この先マルフォイに触れればただでは済まない…このことを頭に叩き込んでおけ」
スネイプはすぐにドラコにシレンシオをかける。そして先ほどのハリーの様にスネイプは一切の反論を受け付けないと言うように早口でハリーに伝える。
「………………………ドラコが同意すればいいんですよね?」
「ふっ…まぁ、マルフォイが貴様の気持ちに答えることはこれから先ないと思うがな」
にやにやと教師が生徒に向けるとは思えない顔でスネイプがハリーを見ながら言う
ハリーはそれに対しキッと効果音が聞こえるような目でスネイプを睨む
「…それはいいってことですよね?それに心配しないでください、マルフォイが振り向くまで諦めるつもりはないので」
「…ンーーー」
スネイプにシレンシオを書けられたため喋ることができないドラコは反論しても意味はないと分かっているため大人しくなっている
スネイプはドラコの方を見て魔法を掛けたことを思い出しすぐに解呪する
「…ぷはぁ……」
「てことで、ドラコ」
やっと喋れたことへの解放感で声を掛けられるまで前にいるハリーに気づかなかった。許可もしてないファーストネームで呼ばれドラコはサァッと身体が冷えるのを感じた
「これからもよろしくね」
ニコニコと表面上はとても明るく感じるのにその笑顔を向けられるとどうにも黒く感じてしまう。ハリーはドラコに手を差し出すがドラコは手を取ることはせずふいっと顔を逸らす。
「……ドラコ…逃げるのは別に構わないけど僕から逃げ切れると思わないでね?」
後ろを向いたためハリーの表情は分からないが今振り返ったらよくない感じがし振り返ることも答えることもしなかった
周りはこれ以上関わらないほうがいいと感じたのかドラコを哀れんだ目で見つめていた。
やはり退学させるべきだったかもしれない
ドラコはなぜあの時あんなことを言ってしまんだ…と今さっきの自分を呪った
数週間後
「助けてくれ!!ほんとに!!!ポッターに殺される!!!」
と、ドラコはプライドを捨て同級生に泣きつく
「もういっそのことあいつに愛されたほうがマシだと思うわ」
「早めに諦めたほうがいいと思うぞ」
「なんかもう頑張れ…」
「うん、頑張れ…」
「はぁ〜〜〜…まだやってるのか…」
ドラコが諦めるまでそう時間はかからないだろう
ハリーはそんなドラコを親友二人に呆れられながらニヤニヤと見つめるのだった
〜END〜
話し合いの裏側
「なんですって!?!?私のせい!?!」
スリザリン生とグリフィンドール生が一つのドアの前で集まっている。他の人から見たらこの光景は異様である。しかしどちらの寮もこんなことしたくてしてるわけではない
「うるさいわよガリ勉女、頭いいだけでマナーは守れないのね」
「ハァ?あなたのそのキンキンとした声もうるさいわよ?その頭、中身は知識が入ってない空っぽの頭の形をしてるだけのものなのかしら?」
「何よ!?このブス!出っ歯女!」
「二人とも黙れ!バレるぞ!」
ザビニが小声で言う
「はぁ…ハリーも何やってんだよ……マルフォイに薬でも盛られてたんじゃないか?」
ロンはまだハリーがこんな事をしたことが信じられないのか疑いはマルフォイに向く
「あんなことわざわざドラコがやると思うか…?……というかこんなにうるさいとバレるのも時間の問題かもな」
ノットが呆れたように呟くがその数分後にバレるためその予想は運悪くも当たってしまう
「あ、でも一応ハーマイオニーを庇ってるぞ」
「よかったわね、捨てられなくて」
「まさか、こんなことに使うなんて…」
はぁ、と溜め息をつきこれからはしっかり理由を聞き出してから教えようとハーマイオニーは決意するのだった
「というか、これ以上話を聞きたくないんだけど…」
誰にも聞こえないように嫌そうな顔をしてロンは小さく呟く
そしてここにいるのがバレるのもあと数分───
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