【おいおい、んだこりゃ…?!】
「私達の家さ?」
我が見たのはも家じゃねぇ!
あんなん屋敷だろ!屋敷!いや館か?!
どっちでもいい!なんだこりゃ…?!
ギィィィィィ……
『お待ちしておりました……』
重い扉が開くとそこには片眼鏡をした老人が立っていた
『お荷物お預かりします』
すると横から顔の隠れたメイドが上着やらなんやらを取ってきた
「君は?」
アヤトが口を開く
『わたくし、天界ヴァルハラから貴方様方の専属執事を任命されました。クルトと申します。』
天界?!ヴァルハラ?!なんでそんなトコから?!
「そう。クルト、よろしくね、じゃあまず1つ頼んでも良い?」
適応早すぎるだろ
『なんなりと』
「この子は私の弟、まだ9つだ。少し色々とあってね……汚れてしまった。」
「風呂に入れてやってくれ」
『分かりました、お任せください。メイドや執事に指名はありますでしょうか?』
「何も無い、ただ1つ」
『はい?』
「弟の事は蝶よりも花よりも丁重に扱え」
目がガチだっつの……大丈夫かよ…
『分かりました、お預かり致します』
クルトがアキトを抱き上げた。顔に反して力あるもんだな……
「頼んだ。」
【はぁ……良かったのかよ】
「何が?」
【……いや、なんでも】
ここは我が出る幕じゃねぇな
【ところでよ、この屋敷の造り知ってんのか?】
【我らずっと立ちっぱなしなのか?】
〚こちらでございます…〛
どこからか声が聞こえ、我らは振り返った
そこにはまたもや顔の隠れたメイドが5人ほど並んでいた
〚アヤト様とクーリー様ですね〛
〚お着替えがあるのでお部屋へ案内致します。〛
我らは案内される方向へ歩いて行った
にしても広いなぁ、…
そうしているとデカい部屋の前に来た
〚お入り下さい〛
「あぁ、」
入ると中はとても綺麗で煌びやかで華やかでとても部屋とは思えなかった……我の知ってる部屋じゃねぇ…、
【ちょ、ちょっと待て……我ら今日からここ住むのか…?】
ペコリとメイドが頭を下げた
多分これは肯定、マジかよ…
「言ったじゃないか、私達の家と」
【そうだけどよ…】
〚お荷物ここへ置いておきます。お着替えもご用意しておりますのでその前にお風呂へ入って頂きます〛
【我の服人間の大きさの服じゃねぇか…】
〚執事長のクルト様からは人間の大きさになれるとお聞きしておりましたので……〛
【なんでそんな事知ってんだよ……】
ボンッと音を立ててクーリーが人間の大きさになった。
【チッ…これでいいかよ…】
思いの外大きい、私と同じくらいだろうか
しかし……
「良いと思うけど、真っ裸は止めて欲しいね」
【ぅぐ……分ーったよ】
ポンッと音を立ててクーリーが元の大きさに戻った
〚シャワールームへご案内致します。こちらへ、〛
「あぁ、」
また長い廊下を歩いていく
行く途中に何個もの部屋があり、何人もの執事やメイドに会った
歩きにくそうな長いクラシックメイド服と7:3で分けられた前髪、後ろで一纏めにした大きなお団子、靴は茶色いローファー。
オールバックの髪型とブラックのフロックコート、グレーのストライプ入りのパンツ、胸元には白い蝶ネクタイ、靴はブーツタイプ。
典型的なメイドと執事や達が私達と会う度にお辞儀をする。
堅苦しい人達だ。
〚着きました〛
服を脱がすのも洗うのもマッサージも着せるのも全部人がやってくれた
何だコレ……
アヤト着せてくれた服はボリュームのある白のクラシックフリルシャツと黒のスキニーとハイヒールブーツ
我が着せてくれた服は黒のクラシックフリルシャツと赤茶色のスキニーと黒のハイヒール
仕上げに2人共赤い紐でリボンを作ったら
〚終わりましたよ〛
【ッス……】
「お馬鹿さん」
【ンだと?!】
「なんでも?(笑)」
そんなこんなで喋ってると
ギィィィィィ…
「?」
【ぁ?】
『失礼致します。アキト様のご入浴とお着替えが完了いたしました』
クルトが車椅子を押しながら部屋に入ってきた
アキトはアヤトと同じ服装して車椅子に眠っていた
「っ!アキト!」
急な笑顔、こえぇ…
【お、できたみてぇだな】
『アキト様の入浴中に左腕以外の四肢が生えてきまして……』
「あぁ、アキト良かったじゃないか!」
【へ〜良かったじゃん】
『アキト様、アキト様、お着きになりました』
「ん……、」
クルトがアキトを起こす
「アキト、アキト」
アヤトがアキトの両頬に手を添える
「?」
キョトンとした顔でアキトがアヤトを見る
「ふふっ…ただいま、兄さん」
兄を安心させようとしたのかアキトが微笑んで言った。
アヤトの目に涙が浮かぶ
「へへっ……私、お前に2度と会えないかと思った…(笑)」
「……兄さんはバカだなぁ…僕らは死なないのに(笑)」
「そうだね(笑)」
【良かったな、我も結構心配したんだぜ?】
「ありがとうクーリー……って、誰…?」
【お前の言うクーリーだけど?】
「え、でも…あの、兄さんみたいな、アレ…」
【元の姿こんなんなんだよ】
「か、か、か、かっこいい〜……」
【そうか?ありがとよ】
「ちょっと、私を置いて話さないでくれない?」
【お前毎回2人で話してんじゃねーか……】
「はぁ?」
【んだよ】
「ま、待って待って。あの、あのね…えと、」
「……兄さんも、クーリーも、カッコ良くて僕幸せ…って思ってさ (笑)」
「へぁ?!え、あ?!あ、うん、ん”っん”ん…」
「ありがとう」
急なキメ顔
無理だろあんな慌て方して今更キメても
【チッ、…そうかよ…// 】
「照れてる」
「照れてるね兄さん」
【だー!もう良いだろ!寝る!!!】
〚ではベッドメイキング致しますね〛
【え、あ、頼んます…】
「クスクス…」
「クスクス…」
【んだよ!!!!】
不思議だな
ついさっきまで悲しみと憎しみと怒りに暮れていたのに……
今じゃもう幸せに感じてしまった
その理由は多分……新しい家族とクーリーとアキト、そして私が揃ったからだろうな
もう手放なさい、離さない、傷つけない
皆、私の宝物
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