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若井もシャワーを浴びバスルームから出ると、室内の空気がほんの少しひんやりしていて、心地よかった
バスタオルを腰に巻いて、濡れた髪を軽く拭きながら、若井はリビングのソファに腰を下ろす
「お前、ドライヤー使うの遅くない?」
「……自分でやるからいい」
「いや、いい。俺がやる。貸せ」
言うが早いか、若井は元貴の背後に座り込み、タオルで髪を優しく挟み込むように拭きはじめる。
「……」
「なに、黙るなよ」
「……なんか、変な感じ」
「何が?」
「こうしてんの、彼氏っぽくて……」
一瞬だけ手が止まった。
すぐに、再び優しい指先が髪を撫でる。
「……彼氏だけど?」
耳の奥がキュッと熱くなる。
うまく言葉が返せないまま、黙ってドライヤーの風に任せた。
「ほら、首んとこ濡れてる。風邪ひく」
低い声がすぐ近くで響く
まるで、ひとつの空気の中にふたりだけが存在しているようだった
「……なぁ」
「ん?」
「もうちょっと、こっち来て」
呼ばれるまま振り返ると、すぐ目の前に若井の顔があった
湯上がりの肌が薄く赤みを帯びていて、少しだけ照れてるようにも見える
「お前のそういう顔……まじで反則」
そう言って、頬にそっと触れてくる
指先が、首筋から鎖骨まで滑り落ちる
「ちょ、また始まんの……?」
「始まるよ。だってお前、まだ俺のこと、欲しがってる顔してる」
「してねぇ……!」
「してる。てか、もうバレてる」
あっという間にバスタオルがはだけて、濡れたキスが首筋に落ちる。
「や、元貴……ベッド行けよ、せめて……っ」
「間に合わない。今日くらい、俺のわがまま聞け」
息がかかる距離、湯上がりの体温がまた別の熱に塗り替えられていく
柔らかいソファの上で、ふたりはまた静かに溶けていった。
fin
やっと書き終わった〜