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此のゆぅろぴあという場所に迷い込んで約5日が経ちました。



ダイゴロウさんが最初に脱落してから、ライムさんは|喪家之狗《そうかのいぬ》のように以前のような元気さを失ってしまいました。




「⋯みんな、ただいま。」



「⋯!岡田先生⋯。」



「⋯⋯ユズリハ⋯。」



「⋯ユズリハちゃんも脱落しちゃったですか⋯?」



嗚呼、ライムさんがこんなに悲しんでいるのに、私は何も出来ない。こんな事、許されるはずはない。言語道断だ。



…ライムさん。私はライムさんが憧れるとてもすごくてえらいひと…ですか?



⋯いいえ。おねえたまは違います。こんな弱々しいおねえたまなんて嫌いです 。


そんな自問自答を繰り返す。



「…私は、皆さんのお役に立てているのでしょうか…。」



私は少し外を散策することにしました。



「…もしかして、ライオンちゃん?」



「…!?誰です!?」



「私はマイ。ライオンちゃんにいいものを渡しに来たんだ♪」



「この黒い糸をライオンちゃんとライムちゃんの小指に結びつければ、ライムちゃんとはもう離れられなくなるよ!」



「…!ください…!」



マイさんから黒い糸を奪い取ると、みんな眠って静かになった休憩所で、ライムさんに糸を結び付けました。



糸を結びつけると、サラサラと糸は崩れてしまいました。



…今日は早く眠ることにしましょ う

──────────



ユズリハさんの脱落から2日が経ちました。



「おねえたまー!あたちもあとらくしょん?行きたいです」



「ダメですよ…。ライムさんが脱落してしまったら皆さん悲しみます…無茶はやめてください…。」


そんな1人の意見自分の感想を述べる。



「いやです!あたちもみんなの役に立つです!!」



「ライムさん…。」



そうです⋯。私が抑え込んでも、たとえ誰が止めようとも折れない心をライムさんが持っていたことをすっかり忘れていました。



「⋯それでは、私と一緒に挑戦できるアトラクションを岡田先生と探しに行きましょう。」



「⋯それじゃあ、このチームでシンゾウカンランシャに挑戦しよう。」



「デミデミ。ソレジャアトビラヲシメルデミ。アブナイカラ真ン中ヘヨルデミ。」



「ライムさん…’’油断禁物’’です。いつ何が起きてもいいように、心構えをしてください。」



「はいです!」



観覧車はぐんぐんと上へ上がっていく。



─その時、異変が起きた。



まるで何かに押さえつけられるように、観覧車の動きがぎこちなくなった。そして、風景もなぜだか歪んで見える。



『くすくす。またおねえたま?ライオンはこんなにも頑張っているのに、ライムは遊んでいてばっかり⋯!』



「ッ!?ライムさん!」



「や、やめてください⋯あたちは⋯おねえたまの⋯!」



「ライムさん!そんな幻に踊らされてはいけません⋯!」



『ライムさん、もう私を頼らないでください⋯!ずっとずっと苦しいことばっかりです⋯!!このまま私はライムさんのお世話をさせられるのですか…!?』



「⋯お、おねえたま⋯?嘘ですよね⋯!?」



「⋯ライムさん、私はここにいます!!こっちを向いてください!」



「⋯、おねえたま…!」



ガシャンガシャン!!



「⋯!?揺れてるです!」



「ライムさん、落ち着いてください!あまりドキドキしすぎてはゴンドラが落下してしまいます⋯!」



『ライオンは、結局みんなとライム、どっちが大事なの?嘘をつかないで答えてね。心臓の鼓動は正直だからね⋯。くすくす。』



「⋯私は、⋯私は⋯!」



「⋯おねえたま!!大丈夫です!!あたちはここにちゃんといます!!おねえたまがいま、たとえ悪い子でもあたちは大好きです!」



「⋯ライムさん⋯。⋯成長しましたね。」



──────────



「デミデミ。ミンナメダル3枚獲得デミ。」



「⋯⋯」



休憩所に戻っても、まだ何か心のもやもやは晴れませんでした。

 

今日も、早く寝ることにします。おやすみなさい。



「⋯ここがバイバイスロット⋯」



「なんか、アトラクションっていうよりゲームセンターみたい」



「この床のマークはなんですかー!?」



「⋯ばってんかなー?」



『定員を満たしました。』



ポンッ



「⋯!?ライムさん!」



「マリア!!」



「ハイハイ、騒ガナイデミ。バイバイスロット、始マルデミ。」



「…おい!急に始まるなんて聞いてないぞ!こんな理不尽に始められてやるわけないだろ!早くライムとマリアを解放しろ!」



「ルールはルールデミ。」



「⋯。やるしかないです、よね。」



「ソレジャア、バイバイスロット、開幕デミ!」




──────────




「⋯まずは俺がスロットを揃えないとな⋯」

⋯ガシャン。



「⋯揃わなかった。ヒカル、ライオン、難易度は上がるけど頼んだよ。」



「⋯私が助けるんです、絶対に⋯!」



「⋯うう、怖いですー!」



「あ、ライムさん⋯動かないで⋯!」



ポトッ



「⋯次はあたしの番⋯マリアを進めなきゃ!⋯あっ、外しちゃった⋯」



「⋯よいしょー。」



「マリア、ナイス!」



「⋯場が平ラニナッタノデ、ヌイグルミの追加デミ。」



「⋯そういえば、ぬいぐるみはあの山を崩せば大きく進むらしいよ?」



「⋯ダメだよー 。あの山が崩れたら⋯」


「⋯やるしかないです!!」



「あっ、ライオン!?」



バサバサバサッ!



「⋯ライムさんっ!?」


「⋯人の話は最後まで聞かなきゃダメだよ⋯。あの山、崩したらライムが下敷きになるって考えなかったの…?」



「ライムに覆いかぶさったぬいぐるみをどけて!そうすれば、また掴めるようになるよ!」



「…そうですね!」



急げ、急げ。ヒカルさんがマリアさんを助ける前に、私が助けなければ。



「アー⋯、言っとくデミが故意にゲームを引き伸ばす行為はユルサナイデミ。ソンナコトシタラライムもマリアもゲームオーバーにするデミ。」



「⋯ひーちゃん。マリアのこと、アームで掴んで。」



「…信じていいんだよね⋯?」



ガシッ⋯ウィーン⋯ゴトッ⋯



「…ッ!?」



「ここでマリアがゴールイン!!マサカの展開にオドロキヲカクセナイデミー。」



「⋯!?ヒカルさん、どうしてっ!?」



ポンッ



「マリア、会いたかったよ⋯!」



「⋯たんぽぽちゃん。ごめんね。」



「⋯酷い、酷いです。」



「お迎えが来なかった子はこっちデミ。」



「…!?」



気づいたら私はUFOキャッチャーの中に閉じ込められていました。



ああ、たとえ最後だとしてもライムさんと一緒にいられるのなら私は笑顔でゲームオーバーになりましょう。



─おやすみなさい。


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