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これは遥か昔の物語。
二人の研究者は【ある小国同士の戦争】にいた。
「なあ。お前だけでも逃げるべきだ」
「そんな事できる筈が無いだろ! それに、逃げるなら君がだ」
「それは駄目だ。世界に必要なのはお前の技術だ」
「いいや、違う。君の技術だ」
「僕の技術なんて、世界のためにならないよ。ほら、あれを見ろ。私たちの国を蹂躙しているものを」
「またアイツか。国際法ではAI搭載型兵器は禁止されてるんじゃ無いのか、、、?」
「そうだな、国際法では禁止だ」
「ならどうして、、、?」
「この資源不足の世の中で、他国の小さい争いに肩を入れるのは簡単じゃ無いんだよ」
「そんな、、、」
「僕の技術はああいう兵器を作るものだ。世界からしたら邪魔なものだろうよ。それに比べてお前の技術は誇るべきものだ。だから、お前が逃げろ」
「それは駄目だ。私の技術が何の役に立つ、、、? ただ物質【X】を利用するだけの技術だぞ」
「あのな。その技術を持っているのは、世界でお前だけなんだからな。その事わかってんの?」
「わかってるよ。だからこそだ。これは危険な力だ。世界も簡単に壊せてしまうかもしれない」
「確かその物質【X】は地下に大量に眠ってるから、採掘場を作ってたよな? 逃げてそこをシェルター代わりに使えば、お前は生き延びれるだろ」
「そう。だから、一緒に行こう?」
「一緒には無理だ」
「どうして!?」
「この子がいる」
「、、、私たちで作った失敗作の兵器じゃないか」
「そうだ。この子は僕の全ての研究を、人生を詰め込んだ存在だ。手放したくない」
「諦めて捨てろ。逃げて二人で別の兵器でも作ろう」
「駄目だ。この子は特別なんだ」
「でもその子は失敗作だ。私が未熟だったがためにエネルギーの補給と心の理解に問題がある」
「僕はこの国の研究者だ。この国で死にたい。頼む、、、」
「駄目だ」
「頼む、、、」
「駄目なものは駄目だ! 君を失えば私はどうやって生きたら良い?」
「すまない、、、」
それが彼との最後の会話だった。
このあと空襲に巻き込まれ、彼は死んだ。
私も一緒に死にたかった。
でも、彼が最期にあの子を起動した。
あの子が私を守ってしまった。
私は思ったの、世界のためとかどうでも良いやって。
世界は私たちを見捨てた。
だったら、私は世界を壊すだけ。
私は創る。
誰も死なない。平和な不変の世界。
永遠の王国を。
『私が【皇帝】になってやる。』
***
「何でお前がここにいるんだ、、、【皇帝様】」
パリパリッ
「何でか、、、? そうかあなたは知らないのね。ここがどこかを」
パリパリッ
「ここは未来よ。あなたは瞬間的に未来へ移動したの」
パリパリッ
「未来、、、?」
パリパリッ
「そうよ。ここは未来。物質【X】は怒りなどの感情から発生する。イライラすると時間がゆっくりに思えるでしょ、それの応用みたいなものよ」
パリパリッ
「アイは、彼女は何なんだ、、、?」
パリパリッ
「彼女は私が作った機械よ。物質【X】から感情を学習させたから、人みたいだったでしょ?」
パリパリッ
「何故、殺した?」
パリパリッ
「失敗作を処分するのは、そんなに悪い事?」
パリパリッ
「失敗作、、、?」
パリパリッ
「そうよ。私の洗脳が効かない失敗作。」
パリパリパリッ
「洗脳?じゃあシェルターで俺だけ孤独だったのは、、、」
パリパリパリッ
「あなたに偶然、洗脳の電磁波が効かなかったからよ」
パリパリパリッ
「でもまあ良かったんじゃない? おかげでアイちゃんと仲良しできたでしょ?」
バキッ
ガシャンッ
俺の中の何かが、
何かの殻が割れた。
そんな気がした。
それと同時に俺の身体は、更に強烈に光を発した。
「人間終了おめでとう。番号5555君。これであなたは部品として完成したわ」
「俺に何をした、、、?」
「あら、私を疑っているの? 私は直接的には何もしてないわ。壊れたのはあなた自身の手によってよ」
「何が起こってるんだ、、、」
「少し話をしましょうか。だいたいの人間は物質【X】を上手く制御出来ないの。この星の地下には今までの人類の恨みや憎しみが【X】という強力なエネルギーとして眠っているの。でもね、それを制御できるほどの機械は作れない。だったら制御できる人間を部品にすれば良い。そう思わない?」
「同情できねぇよ、、、」
「番号5555君。あなたはね、制御できる筈よ。だって私の【X】を操作することによる洗脳を無効化できるほどの操作性を持っているのだから。でもね、そのままじゃ部品としては使えなかったの。人間には【X】の周りに殻があって、体内での最大量が決まっている。でも、その殻が壊れるほど何度も辛い思いをさせれば、最大量など消える」
「まさか、、、」
「そうよ。あなたが幸せになれたのも、アイちゃんが死んだのも、選別なんてあるのも、番号5521ーあなたの父が死んだのも全部あなたのため。あなたのせいよ」
俺の不幸も幸せも全部、作られたものだった。
その事実は俺を更に苦しめた。
父さん、、、ごめん
自由にはなれないかもしれない、、、
「【皇帝様】お前は、大量のエネルギーを手に入れて何をしたいんだ、、、?」
「私はね。平穏が欲しいの。あれほどのエネルギーなら永遠に無くなる事は無いし、人じゃなく機械が暮せば寿命も無い。不変の王国。それを作り、私はその【皇帝】になるの!」
「そうか、、、」
俺は拳を握り、【皇帝様】を睨みつけた。
「無駄よ。その足じゃ戦えないでしょ?」
「そうだな。なあ、アンタは変化が嫌いなんだろ?」
「ええ、そうよ」
「なら可哀想だ。そろそろ、この状況が大きく変わるぞ」
「何を言って、、、 まさか! いや、そんな事が可能なの? この場所、時刻を読んで事前に設定するなんて、、、!」
空間に亀裂が入った。
亀裂から彼女は、番号5512は出てきた。
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