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「母さん。。。 遅えよ、、、」
「いや、ここがベストタイミングよ。だってあなたが、出てきてるんだからね」
番号5512は【皇帝様】を指さして言った。
「やめろ。君だけは壊したくない、、、」
「【皇帝様】? 【マスター】? どちらの名で呼ぶべきかしら?」
「好きに呼べ。こんな攻めたタイミングで出てきたっていう事は、どうせもう時間がないんだろ、、、」
「そうね【皇帝様】。私はもうエネルギーがほとんど無いわ」
「何故私を殺す? 私は君の幸せを願っていたんだが、、、」
「ごめんなさい。でもこれが、、、 あなたが皇帝様だから【女帝様】と呼ぶべきかしら、でもそれじゃあ性別が逆ね。まあ、とにかくそのお方の最期の命令だからよ。あなたが世界の敵となった時は殺せと」
「そう、」
ワイヤーが番号5512を襲う。
しかし、それらは全て彼女に捌かれる。
番号5512は距離を詰め、殴った。
五メートルはある巨大な金属の塊は、その攻撃で形が歪んだ。
番号5512は更に三発、金属に当てた。
その攻撃は全て胸部に当てられ、その部位のみ信じられないほど凹んでいる。
「私が君に勝てない事ぐらいわかってた。でも、あの人の人生を肌で感じてみたかった、、、」
「肌じゃなくて、鎧甲ですけどね」
「ふふっ、冗談が上手いじゃない。やっと人の心を理解できない不具合が直った?」
【皇帝様】は笑いながらも、まったく動かない。
わかっているのだ。
動けばすぐに壊れるほどの攻撃を食らった事を。
「じゃあ、ありがとうございました。終わらせますね【マスター】」
番号5512は【皇帝様】。いや、番号5512の【マスター】の胸を殴った。
【皇帝様】は確実に死んだ。
「母さん。母さんってやっぱり、人じゃなかったんだな」
「気付いていたの、、、?」
「家族だからな。なんとなく気付いてたよ。なあ、もうエネルギーが無いのか?」
「ええ、私はもうすぐシャットダウンするわ」
「そうか、、、」
特に母さんらしい存在でも無かった。
接点もそこまで無かった。
それでも、全てを失った俺にとって、母さんだけが残ったものだったんだ。
それすらも、なくなってしまうなんて。
喪失感というやつなんだろうか。
色々ともうどうでも良くなってきた。
「メグル、、、、、」
「アイ、、、、、 アイ、、、!」
アイはもうダメになる寸前だというのに、俺の名前を読んだ。
そして、完全に壊れた。
そういえば、メグルという名はアイがつけたんだったか、、、
「メグル、、、?」
「ああ、母さん。アイがね、俺に名前をつけてくれたんだ。母さん、、、?」
母さんはアイに近づいてしゃがんだ。
そしてアイの胸元で泣いた。
「母さん、、、!?」
「あなた、、、 あなた、、、」
「どうしたんだよ、母さん」
「父さんがね、死ぬ前に私に言ったの、『俺たちの息子の名はメグルにしよう』って」
「へー。そんな偶然あるんだね、、、」
「偶然じゃないわ。アイさんの中に父さんがいる。【マスター】はきっとシェルター内で作られた物質【X】をこの子たちの動力源としてそのまま使っていたんだわ」
「それってつまり、、、」
「ええ、、、 この子の中には父さんの想いが生きてる。メグル、これで思い付いた事があるの。母さんは再び皆んなを、人類を生き返らせたい。町の中心部。そこにシェルターへの入り口がある。地下に眠っている大量の想いを蘇らせて、、、!」
「母さん、、、?」
エネルギーが尽きたのか、母さんは動かなくなってしまった。
町の中心部、、、
俺はそこに向かわなくちゃいけない。
だが、足が潰れていて上手く動けない。
「メグル君。大丈夫かい?」
グアニルさんが駆けつけてきて言った。
「何で、死んだんじゃ、、、」
「すまない。俺たちは【皇帝様】の洗脳を受けていた。皆んなもそうだったみたいで、あの後は何もされなかったよ」
「そうだったんですね」
俺が思っていたよりも、【皇帝様】は悪では無かったのかもしれない。
母さんも知り合いだったそうだし。
きっと、どこかで道を踏み外してしまったのだろう。
「メグル君。俺たちは何をしたら良い?」
「お願いがあるんです。俺をシェルターの最深部まで運んでください」
***
「ごめんな。時間が掛かってしまって、、、」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
俺は最深部まで辿り着いた。
そこには、信じられないほど綺麗で醜い光があった。
あれが、地下に眠る物質【X】、、、
俺はその光に入った。
母さんはこのエネルギーを解放するように言った。
だが、そんな事よりももっと出来ることがある。
これほどのエネルギーがあればできる筈、、、
後は俺が上手く制御できかだな、、、
物質【X】には時間を遅くする特性がある。その応用で俺のいた空間だけにそれを適応して、俺は未来へ移動した。
あれは時間が止まった状態だ。
でも、更にその向こうがあるんじゃないか。
もっと、莫大なエネルギーがあれば時間だって戻せるんじゃないか。
できるかわからない。
だが、するしか無いんだ。
「うおおおおお!!!!」
俺は、世界は、光に包まれた。。。