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彼女side 3
小さな部屋の奥の扉が開く音がする。それと同時に、小さく大好きな彼のただいまの声が聞こえる。もう何時間たったのか、と言うくらい待っていた気がしたけど、時計を見てみると30分しか経っていなかった。
そのまま部屋に来るかと思ったけど、すちくんは部屋の窓を通り過ぎて、しばらくしてから部屋に来た。付けてくれていなかった照明をパチっという音と共につけて、
「何泣いてんの」
と、困り顔をしながら呆れたように微笑して言った。そのまま俺の元まで来て優しく抱きしめてくれるから、その優しさに涙が溢れて、更に泣いてしまう。
泣いているせいで震えている声で、必死に「ごめんなさい」と、すちくんに言う。自分のしたことの何が悪いかなんて、分からない。でも、謝らないといけない気がして仕方がなかった。側からいなくなる気がした。手放されてしまう気がした。俺のそばから居なくなって、消えてしまって、もう二度と会えなくなるんじゃないか、って思って、それが怖くて嫌だった。いつもなら、そうなってもすちくんを留められる気がしていたのに、今はどうにも留められる気がしなくて、だから「ごめんなさい」としか言えなかった。すちくんは、そんな俺を無言で
「大丈夫、離さないから」
とでも言うように強く抱きしめてくれて、その包容感と安心感に更に涙が溢れた。
「ね、みこちゃん」
しばらく経って俺の涙が落ち着いてきた頃、すちくんがそう口を開いた。
「俺、やりたいことあるんだ」
「へ、?」
俺がこうやって泣いている時とか凹んでいる時とか、絶対に何もせずにそばにいてくれるすちくんだったから、俺が泣いたすぐ後にそんなことを言ったことに驚いた。
すちくんは、俺が返事をするよりも先に、俺と壁を繋いでいた鎖付きの手枷を外し始めた。そのまま俺はベッドに連れて行かれて、頭の上で手枷をつけられた。
「ぇっ、すちくん足は…?」
思わず出た声に、すちくんは嬉しそうに笑った。
「足、してほしいの?」
その返事に、俺は少し困ってしまった。付けられると動きにくいけど、付けられてる方が安心すると言うか、。
「でも今はなし、付けてたらやりたい事やりにくくなっちゃうからね」
そう言いながら少し離れたところでビニール袋を漁り始めるすちくん。一、二個物を取り出して、ビニール袋ごと、ベッドの頭側の小物台に置く。ちょうど俺からは見えなくて、なんとなく少しもやっとする。
ビニール袋から何か取り出すのかと思いきや、すちくんは俺にキスをしてきた。なんの予兆もなくしてきたものだから、びっくりしてその拍子に口を開けた。その口からすちくんの舌が入ってきて、熱く甘くじっくりと、口内を荒らされる。さっきすちくんが帰ってきた時とは違って、悔しいも苦しいも悲しいも何にもなくて、ただ気持ちいいだけ。触れているのは口だけなのに、じわじわと身体全体が熱くなってゆく。
「んはっ、はっ、はあっ、♡////」
口は離れてもなかなか熱が取れなくて、それが更に脳を刺激する。
「ねっ、すちくんもしかしてやりたい事って、っ///」
「そ、えっち♡」
少しそんな気がして聞いてみると、妖艶な笑顔でそう返すすちくん。もうさっきまで泣いてたことなんてお互いに忘れちゃったみたいに身体が熱くて仕方ない。俺がすちくんを求めるように首に手を回すと、すちくんも俺を求めるようにキスをしてきた。こうやって、お互いに求め合ってする事が一番気持ちよくて好き。なんて思っていた時、自身の右の二の腕に、痛みを感じた。
「んっ”!?」
唇で塞がれた口では「痛い」と言えなくて、咄嗟に出たその声は、全くもってすちくんに届いていない様だった。二の腕に走った痛みは、刃物で切られた様な痛みで、一瞬だけ痛みが引いて熱を帯びる。その後すぐに、傷口が空気に触れてひりひりとした痛みが襲う。傷口の近くは何か水滴の様な何かが伝う感覚がする。それが血だという事を理解するのに、少し時間がかかった。理解している間にすちくんの唇が離れ、すちくんの顔が逆光で見える。その顔は、まるで俺の腕が傷ついているのを知っている様な顔で、不気味で、でも優しくて、不穏で、甘美で妖艶な、紅い目をしていた。
「ふふっ、みこちゃん、痛い?♡」
その一言で、推理が確信に変わった。
「ぇ、っ…」
俺から出た声は震えていて、その声にすちくんは嬉しそうに反応した。
「俺がね、今日やりたかった事。」
いやだ。
「ただのえっちだと思った?♡」
違う。
「ちゃ~んと付き合ってね?♡♡♡」
こんなの、
俺が知ってるすちくんじゃない¿¿♡♡♡////
「あ”っ♡ぁあん”♡♡////」
俺の頭の上で縛られた腕からは、血がたらたらと流れている。時折、その切り口を開けたりつまんだり押したり、傷を増やしたり流れた血を伸ばしたり…、痛いのに、熱のこもったモノで丁寧にナカを荒らされるから、気持ち良いと痛いが混合して、脳の処理が追いつかない。
「い”たいっ、いた”、あぁッッ”♡♡♡/////」
接合部の水音と、肌がぶつかる破裂音の様な音。ナカの丸く飛び出た部分を確実に潰して、奥まで突き上げられる。その快楽に耐えられず、露出した俺のモノから愛液が溢れ出す。勢いが良いと、愛液が腕に付けられた傷口にかかり、腕の中まで染みて行く感覚が、また痛い。
「みこちゃん、痛いの、気持ち良いの、どっち?♡♡♡」
激しくナカを荒らす動きを辞めず、また傷口を弄りながらそう問うすちくん。でも俺は喘ぐことしか出来なくて、答えられない。それを見越したのか、今まで達したことのない奥を突き、それと同時に今までで一番深い傷をつけた。
「ぃあ”ッッッ‼︎?‼︎♡♡♡♡///////」
急な快楽に耐えられなかった俺の身体は、アナから潮を噴き出す。痛みも快楽も最高域に達した俺は、意識が飛びかけていた。意識を保つのに必死だったから、すちくんの腰の動きが止まってることに気がついたのはそれから少し後だった。やっとまともに呼吸ができるようになって、本能的に必死に息をする。でもその間には、さっきすちくんに聞かれたことばかりを考えていた。息ができないから死ぬかもしれないのに、息をすることよりすちくんの問いの答えばかりを考えていた。
痛いも気持ちいいも、どっちも、すちくんから貰ったもの。ちゃんと痛くて、ちゃんと気持ちいい。どっち、って聞かれてるから、どっちかを選ばなきゃいけない。でも、どっちの方が、なんて、決められない。
「どっ、ッちもっ…♡♡♡//////」
ぐるぐる考えているうちに、俺の口はそう言っていた。それを聞いたすちくんは目を見開いてから、嬉しそうに目を細めた。
「みこちゃん、最高♡♡♡♡♡//」
ちゃんと俺のものに育ったね、と言い、頭を撫でてくれるすちくん。すちくんのもの?と聞くと、うん、そうだよ、と言ってからキスをしてくれた。
その後も、時々記憶がなくなるくらいに、
すちくんに愛され続けた。