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偶然、色が同じだっただけ。
高校を入学してすぐの新入生オリエンテーションでのこと。
特に列を作るでもなく車座になって座った私たちと、乱雑に置かれた筆箱たち。
「あ、ごめん、それ俺の、」
「え?…あっ!本当だ、じゃあそっちが私の?」
「うん…ありがと。良かったぁ変なもん入れてなくて」
「大丈夫、中見てないから…」
「そっか、とりあえずありがと」
「こちらこそ…」
にかっと笑った彼は一瞬にして、私を虜にした。
「うわー…そんなこともあったねぇ」
隣には当の本人がグラスを傾けている。
なかみは若者らしくビール。
テーブルの上には有り合わせのものでこしらえたつまみもちょっと。
「そうだよー?私その時から大輝のこと好きだったもん」
「そうだったの?俺そん時マジでゴミ入れてなくて良かったしか考えてなかったわ」
「まぁ、その後汚い普段の中身知ったから別に関係ないけどねぇ?」
「んはっ、まあねー?てか、その後紗和ちょっと話題なってたの知ってた?」
「え?知らない、なにそれ」
「いや、雄大たちが可愛いって言っててさー?そん時は別にだったけど後々おれめっちゃ牽制してたから、奴らのこと」
「そんなことあったんだ〜」
思わず口角が緩む。
「ちょっと嬉しがってんじゃねぇよ」
「いやー、高校に戻れたらもっと誇らしくしてたなあって」
「そんなんなったら俺紗和守ためだけに過労死する」
「遠回しに褒めてくれてありがとっ」
「あー、このぉ!」
「わー!髪ぼさぼさになるー!」
今日のビールは、いつにも増して美味しい。