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言っていた喧嘩のお話です。
結構バチバチしています。暗い雰囲気とか苦手な方は見ないほうがいいですね。
ハッピーエンドしかかけない民からしたらハピエン一択なのでそこら辺はご安心を。
それではどうぞ !!
桃「…ってことで次の現場は25日の19時ね。」
「なにか意見ある人」と、周りの意見を取り入れようと問いかけられる。
俺は特になかったがほとけと初兎はなにかありそうな感じで顔が不満げだった。
案の定、ほとけが口を開く。
水「…最近実写多くない?」
水「申し訳ないけど、僕。こんな撮影が増えるんだったら続けてらんない」
本当に嫌だったのだろう、言い方が強く喧嘩腰でそう告げられる。
それにないこはカッとなって怒るわけでもなくまず先にどうしたらいいか考えているのだろう。
この問題はないことほとけだけの問題じゃない。
きっと初兎も同じことを思っていて、これは同じグループに居る俺とアニキ、りうらにも問われる問題だ。
桃「…それはごめん。でもさ…俺達バズれるように頑張ろうね。って話したばっかやん。」
桃「どれだけ頑張ったって去年のベルーナとかみた?全然ダメだったやん。」
自分の意見を貫き通すように伝えられる。
ないこの言いたいことをもほとけの言いたいこともよくわかる。
俺達は以前の会議でバズれるようにするにはどうしたらいいか。
という会議を行った。
その会議の結果バズれるようなオリ曲を作ろう。そのオリ曲を全力で広めよう。とのことだった。
そのためにないこは色々な企画案を出してくれて実際に行動にしてみたりもした。
撮影もしたし新たな編集方法にも試みたりもした。
…しかしその企画案というのは実写企画のものが多すぎた。
元々俺らは顔出しをしたくないから歌い手をという道を選んできているのに、お面グッズを販売してからはほぼモザイク無しで撮影して世に出していることが多かった。
それにほとけも文句を言いたくなるのもよく分かる。
白「ごめんけど僕もいむくんと同じ意見。」
白「もっと2.5次元の僕達で人気になる方法はないんかもう一回考え直してみん?」
先程からずっとなにか言いたげだった初兎がようやく口を開く。
初兎らしい言い方と言ったらいいか…優しく考え直してもらえるよう説得する。
ないこは考えるがやっぱりダメなようで「でも…!」なんて口を開く。
あぁ、アカン。このままやと喧嘩になってまう。
青「…ないこ、実写以外にも需要があるのはあると思うで。」
青「でもこの企画案はええと思うな、どうやいむしょー。もう少しだけ頑張ってみんか?」
以前にもこういう風にバチバチすることはあった。
その度に仲介役として俺が入っていた。
…流石に学んでほしい頃だがないこもほとけもしょうがない。
社会人として過ごしてきてる歴としてもまだまだ幼い。
それなのにないこは社長という荷を背負ったりほとけは100万人のリスナーを背負っているグループの1人のメンバーとして活躍してきている。
桃「…そうだよ、もう少しだけ一緒に頑張ってくれない?」
水「なに、これ頑張ったら僕達は脱退してもいいってわけ?」
水「そんなことないちゃんができるわけないでしょ?だったら他の改善策見つけてよ。」
随分と刺々しい言葉が発される。
それにないこも少しだけ頭にきたのか普段しないはずの貧乏揺すりされているのがわかる。
微かに隣が震え緊迫とした空気が流れる。
桃「なんでそんな考えにどうしてなるの?」
桃「もっと視野を広めて考えないとダメっしょ。」
水「っ…なにその言い方…!!」
水「そもそもこのやり方が気に食わないって僕は言ってるじゃん…!!」
2人の言い争いはヒートアップするばかりで間に入って仲介するということもできないくらいピリピリとしている。
アニキもりうらも初兎もなんでそんなに黙るん…?
なんて考えるも、2人は互いに睨んでいるのがよくわかる。
白「…な、なぁ…?」
白「さっきまろちゃんも言っとったけど…この企画だけやったら…?」
桃「それ、さっきも思ったけどその後バズるためにはどうしたらいいわけ?」
桃「てか…企画の案を出し合っているときに案出しているの俺だけだよね?」
桃「もっと案出してくれてんならもっと言ってきてもいいけど全然言わんやん。」
「文句だけ言うって何様なわけ?」なんて付け加えてこちらにも矢を向けられる。
…そりゃあそうだ、ないこがイライラする理由もわかる。
でも案を出すのが難しい人だっている。今回のほとけの意見はもしかしたらめちゃくちゃ頑張って出した意見なのかもしれない。
あああああ、あかん。
もうなにも考えられない。
新しいことを考えると頭がこんがらがる。
それに頭から煙が出てきそうになる……
桃「マジで、案出さないで文句ばっかとか話にならんから。」
なんて冷たく発したきり、立ち上がりドアがバタン!!って強く閉められる。
気まずい沈黙がこのいつも使っている会議室に流れる。
辺りを見ると俺達のグッズで埋め尽くされているその会議室に、絶賛喧嘩中のないむの2人のぬいぐるみが並んで置かれていたが目に入る。
そのぬいぐるみの表情は心做しか悲しそうな表情をしているように見えた。
あの盛大な言い合いをした会議から4日後。
いれいすには変わらずギスギスした空気が流れている。
うちのグループのムードメーカーとリーダーが喧嘩してるわけだから場を盛り上げようにも上手く行かないことばかり。
そんな毎日を過ごしていた。
ある日、喧嘩してない他4人がアニキによって招集される。
白「ほいほーい」
2人が喧嘩しているときも結構普段と変わらずに過ごしている初兎が1番に口を開く。
りうらはギャーギャーしているオタク2人が静かになったからどこか寂しそうな表情をここ4日間ずっとしている。
黒「…どないする?アイツら。」
なにを。なんて言われていないのに何の話をしているのかパッと頭に浮かぶ。
それはきっと俺だけじゃない。他の2人もそうだったみたいで真剣な表情にまた1段となってしまう。
…それだけアイツらの喧嘩を収めたいんだよな、俺だって毎日どうすりゃいいか考えている。
なんせ俺の両相方が喧嘩しているもんだから関わりにくい空気感が漂っているのも事実。
青「ホンマに…青組もないふもできんのこっちとしてはすげぇ痛いんやけど…」
白「そっか、両相方やもんな…」
「災難やったな」なんて苦笑気味に言われる。
もし仮にギスギスしている2人に歌ってみたコラボしようなんて言ったとする。
OKは降りるかもしれないが普通にその話し合いは盛り上がらないだろう。
そんな中で歌ってみた誘うなんて最難関だろ…
赤「ないむが静かになるといれいすってあんなに暗くなるんだなってわかったわ。」
ずっと黙っていたりうらが口を開けばこんなことを呟くから思わずふっ…と吹き出してしまう。
それにりうらは反応して「なに?」なんて軽く睨まれるようにこちらを見られるから「なんでもない」って言って誤魔化しておいた。
赤「…あと、りうらがなにかしてもあの2人が湧かないからつまんない。」
子供らしく言われるその口の主は相変わらず変わんねぇなぁ。なんて頭を撫でたくなる母性本能に駆られる。
それをグッと堪えて笑うだけで済ましておいた。
赤「さっきからまろがニヤニヤしている……。」
赤「なに、まろもないむと一緒にりうっこになったの?」
ニヤッと口角を上げてこちらに問いかけてくるその姿はとても画になるから思わず見惚れる。
…今の発言、ないこが聞いたら「俺はりうっこじゃねぇ!!りうらの兄だ!!!」なんて言いそうだな…
黒「で、どうしたらええと思う??」
青「……俺達でなにかする…??」
白「いやそれはそうやろ…」
青「あそっか。」
…とんでもなく馬鹿みたいな発言した…
えぐい、顔あっつ…
赤「んー、ないむ企画作ったら?」
赤「ほら、今年のアルバムないむがペアだし。」
最年少が案を出す。
普段の会議では案をあまり出さない俺達。
もちろんリスナーも大事だけどやっぱり1番は俺達いれいすメンバーの誰かが優先度も高い。
…しかし、いつもないこが会議で案を出してくれてるから…って頼りすぎていたな。
そこら辺はあの2人の喧嘩で反省できた。
青「ないむのどっちかと俺が喧嘩するか。」
青「ないふで、とか。」
黒「あり、それでやってみるか?」
青「おっけー」
赤「りうらとー???」
ドッキリを仕掛ける、ほとけを除いた5人が自己紹介をする。
ないこには事前にドッキリの内容を5人で打ち合わせしたときに伝えて、収録当日にはもう完璧な状態。
ある程度の台本ではないが軽い流れみたいな紙を読み上げながら企画を進めていく。
青「ってことで、まぁ…慣れない俺とないこの喧嘩。頑張っていきます。」
白「行ってみよっ!」
お決まりの掛け声をして、録画を止める。
ほとけをそのないこと喧嘩したあの会議室に呼び出す。
ほとけ自身もそのことを思い出したようで、いつもみたいに元気な声じゃなく低く元気のない声で「うっす…」なんて呟く。
目線も心做しか下を向いているような気がした。
桃「……」
ないこが黙ってこちらを見てくる。
俺もそれに目を合わせるとドッキリ開始の合図だ。
他のメンバーも見ていたようでごくり…と唾が喉を辿るのが見えた。
青「お前、ないこな……」
青「嫌やゆーとるのになんで辞められないん?」
青「つか、俺の話ちゃんと聞いてるん?」
最初っからエンジン全開でぶっ放していく。
生憎にも彼が遅刻して入ってきてくれたおかげで喧嘩の途中だったという流れで始めることができた。
ないこも反論せずに黙ってこちらの話を聞いている辺りマジの喧嘩っぽくなる。
青「…なぁ、お前なんか言えや」
桃「いやなんで俺が責められないといけないの?」
桃「俺だけじゃないっしょ、つかまろにも責任あるのわかってる?」
あの時の喧嘩を思い出すようなピリピリとした空気が漂う。
ほとけはなにも言わず他のメンバーも打ち合わせ通りなにも口出さず。
あの時の喧嘩を見て、よりリアルっぽくできるよう、たっくさん打ち合わせしたからこそのこの空気感は動画に上げられないくらいピリピリしている。
青「そうやってすぐ逃げるやん。お前の話しとるのそろそろ分かれや」
桃「逃げてない。俺だけ責められるのはおかしいでしょ。つってんの。」
青「それを逃げてるゆーとんねん。」
青「お前の話をしているのに「俺だけ責められてる」は当たり前の話やねん。」
心ん中でずっと謝りながらもないこを責め立てる。
大丈夫、お前はなんも悪くないし、なんも責められることしとらんで。
なんて今すぐに抱きついて頭撫でながら言いたい。
桃「はぁ…何が嫌だったわけ?ちゃんと教えてくれない?」
桃「こっちは色んなことを同時進行で進めてるわけなのよ。」
桃「理解してあげられないの申し訳ないけどさ、もっとわかりやすく言ってくれる?」
青「……ライブしているときに俺に絡みつくのやめてってこと。」
適当に理由を考えてそれを言いつける。
…別に思ってない、本当に思ってないってことだけは目で訴えておこう。
桃「…で、それをなんで俺だけ責められないといけないの?」
桃「アニキとかいむとかも絡みつくやん。」
なんて発されるとぎりっ…とないこは舌を噛む。
それに黙っていたほとけが口を開く。
水「僕はなんで呼び出されたの?」
水「…喧嘩を聞かされるために呼び出された感じ?」
水「え?しかもライブの話なんて今やんなくてもよくね?」
思春期男子のように口が悪くなる。
普段可愛らしいショタキャラを偽っている彼だって中身は立派な男だ。
口が悪くなったりするし、黒い一面だってあるわけだ。
桃「急に口を開いたと思ったら何?」
桃「元々こういう話をしようとして集めたわけじゃないけどまろがふっかけてきたの。」
青「また俺のせいにして…!」
俺が反論してまた企画を進めようとしたとき。
ほとけが口を開く
水「何その言い方。感じ悪…」
喧嘩していた相手だからこそ憎く感じるのだろう。
冷たく冷えきったその言葉は俺だったら思わず泣き出してしまっただろうな。
ないこもよう耐えられるわ…
桃「急に入ってきたかと思ったらまた俺が1人ですか。」
桃「あー、はいはいそうですよ…」
桃「…だる…」
なんて言ったらあの日みたいに立ち上がって会議室から出ていく。
白「…ないちゃん…!!」
予想外の行動に初兎はびっくりしたのだろう。
急いで追いかける。
そのままずっと沈黙が続いた。
動画化は無理だな…なんて諦めながらどうやってほとけの機嫌を取り戻そうか考える。
水「なんなの?あの態度…」
水「てかさ、いふくん。八つ当たりされたっしょ?あれ。」
水「可哀想…」
やっぱり覚えていたのだろう。
それにないこが仕掛人皮になるとなると、やはりその考えにたどり着くのも共感できる。
刺々しいその言葉はないこの鋼なメンタルもボロボロに砕いてしまうだろう。
赤「ま、まぁまぁ…ライブくっつくのとかはリスナーさんにとっても需要あるだろうし…ね?」
青「…せやな……」
また沈黙が続いたあと、その沈黙を壊すようにドアが大きくバン!!音を立てる。
息遣いを荒くした初兎が立っていてすごい顔をしていた。
白「あかん…っ」
白「ないちゃん泣いてしもうた…」
青「え」
本当に文字1つだけ呟いて思考が停止してしまう。
…ないこが泣いた…?
そのたった1言が処理できず、ずっと固まっているとほとけが1番に体を動かす。
水「ないちゃん、どこ?」
白「…え?……資料室…」
水「ありがと」
って言って、走り出した。
なんも話していなかったアニキが少しだけ笑ってぽつりと呟く
黒「やっぱ大好きやん…ほとけ…」
青「せやな、後で謝ろ。」
その場にいた俺を除く全員がうんって小さく低い声で頷いた。
泣くつもりなんてなかった。
そもそも初兎ちゃんが追っかけてくるとも思っていなかった。
きっと他メンバーにも伝えられてしまうのだろう。
…どうなんだろう、いむとかにグチグチ言われてるんかな
桃「俺だっさ……」
ぐす…と詰まったその鼻水をすすりながら目を擦る。
何を言うわけでもないのに声を出そうと喉をしめる。
おえ…ってなるのに声を出そうとする。
そんな俺の嗚咽だけが流れる沈黙にがらがら…と優しく扉が開かれる音がした。
なんやかんやで俺のことが大好きなりうら?
それとも心配して追ってきてくれた初兎ちゃん?一緒の仕掛け人として企画をやったまろ?
誰よりもおかんでメンバーのことが大好きなアニキ?
桃「……ぃ、む…?」
水「ないちゃん…」
黙ってこちらを見つめてくる彼。
何を言おうとしても声が出ず、手術前の声の出しづらさを感じた。
桃「なんで…」
水「謝りたくて…、僕が完全に悪かったし…」
桃「なにいって…っ、俺のほうが悪いに決まってんじゃん…!!」
そんな事を言って彼に抱きつく。
とにかくぎゅーっ、って抱きしめたくてしょうがなかった。
俺が悪かった。大切なメンバーを失うかと思った。
なんて思うと胸が締め付けられる。また涙が出てきそうになる。
水「ないちゃんと一緒にいれいすやれてよかったぁ…っ」
泣き虫な彼はぼろぼろと大粒の涙を俺の方に流す。
それに俺は黙って彼の背中を擦る。
桃「ごめんね、いむ。」
水「僕こそ……ごめ…っ…」
うっうっ、言いながら謝る彼の姿に思わず笑いが溢れる。
ちなみに、あの後仲直りしたことをアイツらに言うとめちゃくちゃ怒られたし、ないふの喧嘩はドッキリだったということいむに告げるとめちゃくちゃ怒られた。
end
コメント
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いや、🍣くんは🐤くんの兄じゃなくてこいびt 喧嘩中に喧嘩ドッキリはあかんぜ.....🙄 5周年で🍣💎のグッツが出てたの納得してしまった、...
いやんすごく好きなんですけど…!! リアルでありそうだななんて思っちゃったり… 桃さんが泣いてしまった時、水さんが一番に会いに行くのに愛を感じます… 「あい」だけn 今回もめっっちゃ神作でしたっ!!!