鬼ごっこなんて何年ぶりにやるのだろうか。そんなくだらないことを考えながら外に出た。
第六話 空を超える勇気
水越「じゃあ最初は誰が鬼になる?」
成海「ジャンケンで決めようよ」
ーーー
水越「うわ、私が鬼か」
春風「じゃあ逃げろ〜!」
皆が笑顔になっていた。こんな楽しいことは久しぶりだ。
ーーー
この建物には屋上があったので僕はそこに逃げてきた。そしたら先に松平くんがいた。
成海「あ、松平くん」
松平「やっほ。」
明るく返事を返された
松平「成海ってさ、足速いんだっけ?」
成海「まあ、平均よりは少し速いくらい。」
成海「あとさ、最期くらい名前で呼んでほしいな」
松平「お前も俺のこと名前で呼ばねぇじゃん」
クスッと笑いながら松平くんは僕にそう言った。
確かにそうだった。ずっと「松平くん」と呼んでいたからそれに慣れてしまっていた。だが、松平くんは今まで僕を名前で呼んでいた。苗字で呼ぶのは少し違和感があった。
松平「洸太は寂しくない?」
僕の名前を呼ばれて、少しドキッとした。驚きと愛おしさが混ざって変な気持ちになった。
成海「寂しくないって?」
松平「友達が2人もいなくなって寂しくねぇの?」
成海「どうだろ、僕もすぐあっちに行くからなぁ…」
松平「そっか」
成海「叶翔くんは?」
松平「は?」
僕は焦った。しくじった。間違えて松平くんの弟の方の名前を出してしまった。
松平「なんでお前が俺の弟の名前知ってんの」
やばい。どうする。僕は本来なら知るはずのない松平くんの弟の名前。
松平「洸太さぁ、前から勘づいてたけど、もう言うわ」
松平「お前、俺のストーカーだろ」
またドキッとした。今度は不安と混乱が混ざり、とても気色悪かった。
松平「図星かぁ…」
松平「信じてたからちょっとショック」
なぜだ。なぜ知っている。いつから?分からない。まずどこまで知っているんだ。
成海「えっと…ごめん。」
松平「俺の弟を屋上から落としたの。お前でしょ」
松平「別に隠さなくていいよ。全部知ってるよ」
どうする。知られていた。松平くんは全部全部知っていた。
松平「あのさぁ、俺は洸太のこと許すつもりはない。」
松平「だから今度はちゃんと死のうな」
松平くんは微笑みながら屋上を出ていった。だが、松平くんの弟を殺したのは僕ではない。僕の友達のKだ。僕はKの手を離しただけだ。
ただ悪意があったのは認めよう。松平の弟、Mはいつも松平くんの近くにいた。それが許せなかった。例え兄弟だろうと関係なかった。
僕の計画が狂った。これは強行突破するしかないのか。
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