テラーノベル
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平仮名多めで見にくいので空白ありです
苦手な人ごめんなさい
赤水
ご本人様とは関係ありません
ぼくの おうちには おおきいピアノは ないの。
でもね、ちいさな トイピアノ、?が あるの。
あかいろで、
あしが ちょこんってしてて、
ひくと 「ぽろんぽろん」って なるんだよ。
ねえ、しってる?
ピアノって、ひとりでも おともだちに なってくれるんだよ。
きょう、パパとママが いなくなった。
なんでかは わかんないけど、いなくなったの。
きのうまで いたのにね。
きょうは いないの。
おへやは しずかで、
ぼくのこえだけが ひびいてる。
「ママ……」
って よんでも、
「パパ……」
って さけんでも、
だれも 「どうしたの?」って
いってくれない。
だから トイピアノの まえにすわって、
ぽろんぽろんって ひいてみたの。
おとが ふるえてた。
ぼくのてが ふるえてた。
でもね、トイピアノは ないても おこらない。
うたっても しずかに きいててくれる。
「ひとりは さみしいよ
でも ぼく ないちゃ だめだね
だって ママが いったもん
“つよいこに なってね”って」
ぽろんぽろん、って
ゆびが おとを つくるたび、
なんだか だれかと おはなししてるみたいで、
すこしだけ こわくなくなったの。
カーテンが ゆらゆらしてて、
そとのおそらに おほしさまが ひとつ ぴかってしてた。
「ねえ、おほしさま。
ママとパパ、どこいったの?」
こたえは かえってこなかったけど、
おほしさまは ずっと そこに いてくれた。
トイピアノも おほしさまも
いまは ぼくの いちばんの おともだち。
だから、もうすこしだけ
このうた うたってても いいよね?
「ぽろんぽろん
こころが なみだになっても
ぼくのうたは とまらない
ぽろんぽろん
ひとりでいても
だれかが きいてくれるまで」
つづくような、つづかないような、
でも、どこかでちゃんと「きいてるよ」って こえが とどくような、
そんな ちいさなおとこのこの おはなし。
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