コメント
2件
多分、初めての百合、皆んな考察とかしてみてね~
『ちょっと踊らない?』
⚠️翠×赫 桃×赫(百合)
赫「先輩…私、先輩のこと…好きです」
放課後の部室で先輩に告白した。
夕焼けの色が綺麗だった。
今にも飲み込まれそうな綺麗なオレンジ色。
そして、先輩の瞳に、今にも飲み込まされそうだった。
翠「……そっか」
先輩は微笑んだ。
その微笑みが怖かった。
なんの微笑みなのだろうかなと。
とても、怖かった。
赫「先輩…返事って…」
翠「…少し、考えさせて」
赫「分かり…ました。」
なんとなく、察してしまった…。
勘の鋭い自分が嫌いだ。
赫「はぁ…絶対振られたよこれ…」
桃「どんまい…笑」
赫「笑い事じゃないし!私本当に、先輩のこと好きなんだよ?」
桃「まあゞ、失恋祝いになんか奢ってあげよっか?」
赫「振られる前提にすんな!」
彼女は私の友達、桃。現在、推しがリスナーと繋がってることを知って多分病んでる。
桃「何、食べたい…?」
赫「ぇ~?…クレープ」
桃「りょ~か~い♡」
赫「はぁ…紫先輩に変えようかなぁ~」
桃「赫ってそういう系すきだよね~」
赫「ど~ぃう系…?」
桃がお汁粉の缶を一口飲み、ニヤリとする
桃「ギャップ系 笑」
赫「…めっちゃ好き///」
桃「本当、好きだね~ あ、私も意外とギャップ系だよ?こっちに変わったら?」
赫「絶対無い…」
桃「めっちゃ、嫌な顔するじゃん……」
そう言いながら、私たちは影を並べて、夕焼けの道を歩く。
※桃視点
今、赫ちゃんにクレープを奢ってる。
失恋祝い(仮)。
ちなみに、私はいちごミルク。
しばらく雑談していると。
赫ちゃんが通知が鳴ったスマホを確認する。
私はそれを見て察してしまう。自分の勘の鋭さに呆れしまう。しばらくすると、赫は頬をほんの少し赤くする。
赫「…桃、やばいかも」
言わなくてもいい。なんとなく分かるから。
桃「…何ぃ~?」
聞きたくないなに聞いてしまう。
赫「翠先輩からね、…LINEのメッセきちゃったぁ~!」
桃「…時間返して?」
赫「私からすると最高なの~!」
桃「……そっか」
精一杯の苦笑い。演技上手いのに、なんでこんな馬鹿なことするんだろな…私。
赫「…明日の放課後、美術室来てだって~♡」
桃「…よかったね」
なんで、言えないんだろう。
たったの2文字なのに。なんでいつも…。
ここで詰まるんだろう。
桃「…好き」
赫「え?どうしたの?」
桃「……いや、このいちごミルク、好きだな~ってさ…、」
赫「私にも飲まして~?」
桃「ぅ…うん」
照れてるのは私だけ、君はきっと普通の友達としての飲み回しとしか思っていない。
やっぱり、失恋はつらいな…。
※赫視点
赫「先輩っ…」
翠「…この前の返事しにきたよ」
先輩がいつもより、かっこよく見えた。いつもより可愛く見えた。いつもより、美しく見えた。本当に私は先輩のことが好きなんだろう。
愛しているんだろう。でも…先輩はきっと、
翠「……付き合えないや、君とは」
赫「ッッ……」
察していた。分かっていた。覚悟していた。
先輩が自分のことを好きじゃないってずっと前から気づいていたんだ。なのに、なのに、なのには私は…。
赫「ぅ…ぁ”ぁ…」
目から涙を流した。
翠「……ごめんね、」
ほら、好きなら普通、謝罪の前にハンカチとか渡したり大丈夫?って心配するじゃんか。だけど先輩はそんなことしない。私のことは好きじゃないんだ。それなのに、私は少し期待をしてしまった。馬鹿だった。
赫「すみませんっ…泣いちゃって…ごめんなさいッ…」
涙が抑えられない。必死に止めようとしても。無理だ。私には、無理なんだ。今は。
翠「…ねぇ…、赫ちゃん…少し、踊らない?」
赫「ぇ…?」
当然の誘い。何で急に?
赫「どういう…」
翠「ほら、文化祭の後でさ…キャンプファイヤーでのホークダンスあったじゃん?赫ちゃんが羨ましそうに見てたから…」
余計な気遣い。そう思うだろうな、失恋した人は、でも私は……出されたその綺麗な先輩の手を受け取った。
踊っている時の先輩の姿はとても、綺麗だった。どこから見ても、綺麗だった…。赤い瞳がキラキラと光る。緑色の髪がサラサラと動く。本当に美しい人だ。
踊り終わると、先輩は言った。
「頑張ってね」
その一言だけを言い、長いスカート叩いて、先輩は2人きりだった美術室を出て行った。
※翠視点
分かってたんだ。君がどれだけ私のこと好きだったのか。だって顔にも行動にもすごく出てたんだよ。全部可愛い反応してた。大好きだった。告白すれば君はOKを出す。そうだと分かっていたのに、私は察してしまったんだ。
桃「~~、」
赫「~~~?」
翠「………」
桃ちゃんが、赫ちゃんのことを好きって事。
本当に勘のいい自分が嫌いだ。
桃ちゃんの恋を応援したかった。赫ちゃんが私と付き合うより、彼女と付き合った方がきっと…幸せなんだろう。私はそう、思ってしまった。
赫「先輩…私、先輩のこと…好きです」
翠「……」
嬉しかった。ものすごく。嬉しくて嬉しくて…今にも君に抱きつきたかった。なのに私は
翠「少し…考えさせて…」
本当に、私は馬鹿だった。
泣いた君を見て、ハンカチを渡したかった。きみに昔プレゼントされたハンカチを渡したかった。手をポケットに入れるまではできた。でも、…そのポケットから出てきたのは、私の手だけだった。口から出てきた言葉は「好き」じゃない。「少し、踊らない?」なんで、これなんだろう、たったの2文字の方がすぐ言えんのに…。簡単なのに…。
でも、君と踊れて嬉しかったよ。赫ちゃん。
※赫視点
振られた。先輩に。
悲しかった。涙が出た。なのに、嬉しかった。先輩と踊れて…、とっても嬉しかった。
あんな、綺麗な顔もう二度とあんな近くで見れないんだろう。
赫「ぁ~、いっぱい泣いた……家帰ろうかな!」
無理矢理元気なふりをする。誰もいないのに。なんでこんな、馬鹿なんだろう。
桃「赫ちゃん…」
赫「…桃」
桃だ。桃の顔はどこか哀しげな顔。哀しいのはこっちなんだよ。そう言いたいけど、桃は何も悪くない。
桃「…あのさ、ごめんね…私見ちゃったんだ、2人がその…」
赫「…謝んなくてもいいよ、…私もう切り替えたし!」
桃「…そっか」
なんでそんなに…辛い顔すんの?なんで、この話には関係ないアンタが……涙を流すの。
赫「…桃、」
私はすぐ、ポケットからハンカチを出した。桃から貰った桃色のハンカチだ。
桃「ありがとう……赫ちゃん、」
赫「…いいよ、」
桃の顔を見てこっちも泣きそうだ。
涙が出そうだ。
だから、その顔…やめてよ。
桃「ねぇ…赫ちゃん、」
赫「…何?」
桃「ちょっと踊らない?」
赫「……いいよ」
翠先輩の時とはちがって、すぐ答えた。
そして、私と桃は水溜まりのある屋上で
2人でホークダンスを踊った。
桃の顔はなぜか綺麗に見えた。前から整っているなと思っていたが、ここまでとは…改めて今気づいた。桃の桃色の目が綺麗に輝いた。
ダンスを踊りえると…桃は微笑んだ。
かっこよく見えた。
これが、きっと桃の言っていたギャップなんだ。少し、惚れ直した。
「…やっぱり、そこはお似合いだね」
私は、あの子に渡されたお汁粉の缶を一口飲んで息を吐いた。
おしまい。