jkside
泣いている理由は言われなくてもよくわかった。
捨てられたくないと怖がる彼の気持ちを、αの僕がなにを言っても抑えることは出来ないのも分かっていた
“ずっと待つ”という僕の言葉もΩとαの関係では、とてもではないが信じることはできない言葉だと自覚していた。
だからもう抱きしめることしかできなかった。
彼が泣いてる理由こそが、僕が、自らがαであることを忌み嫌う最大の理由でもあったから。
僕の周りにはαが多い。
そしてαはプライドが高く、他の性を見下す奴がほとんどだ。
同じ人間なのに自分の思うがままにΩを手当り次第襲い、誘惑して、項を噛み、最終的に使い捨てのように捨てる最低な奴ら。
それが1人ではないのだ。
当たり前のように行われている。
自分のせいでΩが1人死んだと面白おかしい話題にされる。
僕は狂ってると思っていた
人殺しと大差ない。こんなことだからこの世界で自ら命を絶つ人はΩばかりなんだ。
できることなら、そんな世界からこの腕の中のジミンさんだけは救ってあげたかった
生まれて初めて、αの僕を好きだと言ってくれた、この愛する人だけには、もう怖い思いをして欲しくなかった
でも、僕を信じていいと証明できる方法はどこにある?
事実、僕はまさに数分前まで、半分本能で彼を抱いていたのだから。
自分ですら、彼を傷つけない自信が無い。
これならやっぱり彼の言うとおり、βの恋愛だったらどれだけ楽だったか。
すすり泣く彼の顔をそっと覗く
涙の雫が頬をつーっと伝ったのを、落ちてしまわないように指で拭った
🐰「泣かせちゃってごめんなさい。ゆっくりでいいんですよ。
僕、断られても諦められません。ジミンさん、まずは僕とお付き合いしてくれませんか?」
驚き、怪訝な顔をして顔を上げた彼の潤んだ目と、僕はしっかりと目を合わせた
jmside
付き、、会う、、?
αとΩでそんなことが成立すると思ってるの?
グクくんはどこかおかしい。
普通だったら、体を重ねて、それでも番を断ってしまった僕とグクの関係は終わりだ。
だからこそ僕は、こんなに彼が好きなのに、
それでも勇気が出ない自分が情けなくて、
グクくんが離れてしまうのが辛くて、
今の今まで泣いていたのに。
仮に彼の言うとおりにして付き合ったからと言って、
僕がどんなαも誘惑してしまうフェロモンを、出し続けるのは変わらなくて、
αのグクくんは、その事に我慢できなくて噛んでしまうか、
受け入れてくれない僕に呆れて離れていってしまうかどちらかなんだ。
そもそもこの2つの性の本能的な関係には付き合うという概念がない。
番になるか、ならないか、それだけ。
🐣「ど、、どうゆうこと?」
🐰「まずは信用してもらわなきゃと思って。
あと、ほら、ジミンさんのこと、ジミニヒョンって呼びたい、、、とかそーゆーちょっとした事も、、、」
恥ずかしくなったのか、言い切るまでにどんどん小さくなる声に笑ってしまった
🐣「ん、、でも僕、、」
🐰「なんにも気にしないで、普通にしてくれればいいんですよ。
でもどんな時も僕をジミンさんのこと守れる位置にいさせてください。
フェロモン出して僕を誘惑してくれたっていいんです。大量に浴びせて僕が理性を飛ばしたらどうなるのか試したっていい。
もしあなたが僕のせいで危険になったら、その時は躊躇わずに僕を捨ててください。この世から消してくれてもいい。」
🐰「僕にもどうなるか分からないけれど、僕はあなたに信じてもらってから平等に寄り添いたい。ダメですか?」
彼は僕を傷つけたら死ぬと言っている。
全てをさらけ出そうとしてくれている彼に、また涙が出た
優しく笑ったグクくんが、頬を包んで涙を拭ってくれた
🐣「ぼく、、僕が、、こんなにグクくんは優しいのに信用できなくて、、
いいよってすぐ言えなくてごめん、、、泣」
🐰「謝らないで。
ジミンさんの言葉は当たり前です。そんな簡単にここは渡すものじゃない。
それでも僕はジミンさんがどうしても欲しいんです。
まあ悲しいことに、むしろ1度拒否されたからもっと好きになったみたいですけどね、僕はㅎ」
とんっとまた項をつつかれながら自嘲気味に言われて、ぴくりと少し跳ねた
🐰「付き合ってくれますか?」
🐣「ん、、お願い、しま、す、?」
🐰「よかったㅎㅎ
じゃあヒョン、僕のことグクって呼んで?」
呼び方が変わってドキドキする
🐣「ん、、グク、、?」
頷いて、嬉しそうに笑ったグクが僕を強く引き寄せて頬にキスをしてくれた
🐰「ヒョン、僕さっきアイス買ってきたんです。ふたりで食べたくて、、それだけ食べて寝ませんか?」
🐣「うん、食べたいっ」
こうして、第二の性によって生きる世界が隔てられた2人の、純粋なような、高度な駆け引きのような、不思議な関係が始まった。
コメント
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やったー٩(๑>▽<๑)۶付き合った!最高すぎ...ദ്ദി˶ー̀֊ー́ )✧