【注意】
・このお話はフィクションです。実在する団体・人物には一切関係がございません。
・剣持刀也の一人称視点で描かれております。書いてる途中に思っていましたが、剣持刀也の性格が中々悪くなってますので、剣持刀也推しの方は回れ右を推奨いたします。
以上の注意点を踏まえて、ごゆっくり作品をお楽しみいただけたら幸いです。
「明那…。」
「もちさん。」
僕たちは見つめあっていた。
夏の暑い日。俺たちは一線を超えた。
…きっと、あの日は暑かったから。
暑かっ…たから、僕と明那は…………
───────チリーン…チリン
「だーれだ!!」
僕が事務所の玄関付近で壁にもたれかかっていると、そんな元気な声が聞こえてきて、目に冷たい手が触れられた。今日は暑いこともあり、その手が心地よかった。いや、きっと理由はそれだけではないが。
「えー。誰でしょうね。」
と言って、照れ隠しのために手を引き剥がした。
「明那だよ!もちさんはつれないなあ。」
と不貞腐れる明那を横目に僕の顔周りは、暑くなっていた。だから、それをごまかすように、全てを暑さのせいにするために、明那に今朝見たニュースの質問をした。
「くっつかないでください。今日は暑いんですから。最高気温が何℃か知ってるんですか。」
「えー。知らない。35℃とか?笑」
と言って、無邪気に笑う彼の顔が恋しくてずっとずっと眩しい。いつか、彼のその笑顔を食べてしまたい。ゆっくり、ゆっくり、噛み締めるように。僕だけの笑顔にするために。他の人には見られないように。僕の心がずっとずっと満たされるようにするために。その、無邪気さは全部全部僕にほしい。君の、君の笑顔が
「もちさん?間違ってます?どうしたんですか。ぼっーとして。」
「正解ですよ。」
「え?あ、お、やった。もちさん。ご褒美ちょうだいよ。」
そんなふうに僕を見ないでよ。あなた、自分の顔の可愛さ、分かってるんですか?彼のしゅわしゅわとしたラムネの中に入っているビー玉のような瞳の目ん玉をくり抜いて、部屋に飾りたい。大好き。君のその瞳。だから、見つめるのは僕だけにして。なんて、本人に言うはずもなく、少しだけでもその瞳を独占したくて、
「じゃあ、僕の家、来てくださいよ。最近、一人暮らしを始めたんですよ。」
ってお家デートに誘う口実に使った。
「まじ?もちさんの家かあ。やった!楽しみにしてる。」
遠くから明那を呼ぶ声がする。
「あ、やべ。もうすぐ収録の時間だ。んじゃ、もちさんまたあとでね!LINEするから!!既読無視しないでくださいね笑」
相変わらず嵐のような男だ。
「はぁ…」
僕が明那を好きになったのは、初めて見た時からだ。そう、一目惚れだった。あの白く透き通るような白い肌、鮮やかなあの表情。なにより、振り向いた時に無邪気に笑う犬のような人懐っこい笑み。元々、男が好きになるなんて、思ってなかったし、趣味でもない。でも、明那だけは違った。知れば知るほど彼の魅力に溺れていく。こんなに、こんなにも好きになるなんt
「だーれだ!!」
僕の思考を止めるのは誰だよ。と内心呆れつつもこんなことをやるのは、事務所内で明那以外で彼しかいないだろうと思い、返答した。
「不破くん、ですよね。暑いのでやめてください。」
「にゃはは。バレちゃったか。」
と言って笑っているこいつは不破湊。僕が恋している明那とは、親友で大の仲良しである。それは僕が彼と組んでいるグループ「ろふまお」でもちょくちょくアピールしてくる。正直いって、妬ましい。
「ってか、それさっき明那にもやられましたよ。」
「んえ。まあそうだろーね。明那の中の最近の流行りなんよ。これ。なんで流行っとるんやろ。意味わからへんよな。」
え?明那の中の流行り?ということは、あれをやったのは僕にだけではないという事実にまた負の感情がやってくる。僕だけに、僕、俺、俺だけにやってよ。
「もー。俺さ、あれやられすぎちゃって、だれーだの意味ないじゃんね。だから俺をやり返すことにしたんよ。」
とか意味わからないことを言ってる。切実にその立場、変わって欲しい。うんざりするとか思ってるなら、変わってくれ。
「でも、おもろいよな。流行りが小学生みたいで。やっぱ、明那可愛いわ〜。」
全然1ミリも思ってなかった。なんなら僕の明那が奪われそうだった。うん?僕の?僕のでもないのか。
「そうですか。僕は別に興味ありません。」
「なんか今日冷たない?まー、ええけどさ。ってかもちさん。立ち話もあれなので、スタジオもう入りましょうよ。」
実は僕は明那に会いたくて、事務所の玄関にいたんだよ!!と内心反論しつつ、たしかにもう目的は達成したわけなので、もうスタジオ入りすることにした。
「はい。そうしましょう。」
力つきました。長いので、好評だったら2話作ります。
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