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???「こんなにも外が、世界が綺麗なんて、私、知らなかった。」
そう言う可憐な少女の目には、 淡い期待が抱かれていた
母「ちょっとー!葵ー!早く起きなさい!」
葵「ふぁーい」
適当に返事をしながら、体を起き上がらせる。
いつもと同じ日常なはずなのに、
正直 目覚めが悪い。
どうやら、いつしかの夢を見ていたようだ。
母「早くしなさい!」
葵「わかってるー。」
急いで階段を降りる。
母「あんた今日朝練行くんやないのー!?」
朝練…面倒臭いな。サボってしまおう。
葵「あぁ、やめた」
母「やめたって何よ!」
葵「なんでもいいでしょ、ご馳走様」
母「あ、ちょっと!」
母の言葉を待たず、半ば強引に家を出た。
僕の名前は「青羽 葵(あおばね あおい)」。
高校三年生。
名前と中性的な見た目から時々女性に間違われるが、立派な男だ。
そして
???「あ、葵!ちょっと待って!」
元気いっぱいな様子で話しかけてきたのは
赤井 茜(あかい あかね)僕の幼馴染。
そして学校のマドンナ。
葵「茜、離れて」
学校まであと少しだ
茜「えー、いーじゃん。 」
呆れながらため息を吐く
葵「僕は目立ちたくないの」
茜「はいはーい」
適当に返事をして、彼女は先に学校へ向かって行った。
葵(……いくか
そして僕は彼女の後を追うように学校へ向かった。
ガララ
葵「……」
僕は無言で席に着き、1限目の授業に備えて、ものを準備していた。
そのとき……
ガララッピシャッ
思いっきりドアを開けた先にいたのは
陽キャの…
モブ「輝!はよー!」
輝?「おう!おはよー!」
照山 輝(てるやま ひかる)だった。
この学校の頂点であり、学校のマドンナ、
赤井 茜の彼氏。
輝「あー、なんだっけ、葵くんだっけ?」
急に名前を呼ばれてびっくりした。
葵「はい?」
茜「葵であってるよ!」
茜が咄嗟にフォローする。
輝「あ、まじ?よかったー、昼飯一緒に食わない?」
急な誘いに、これまた驚いた。
葵「なんで」
輝「話したいことあるんだよー」
最初に浮かんだ言葉は「何を企んでる」だった
葵「ここじゃダメなん」
輝「ダメだから誘ってんの、わかる?」
輝は、少し、苛立ちをあらわにしながら、強めの口調で言い返した
葵「へー、まぁいいけど」
輝「それでいいんだよ」
なんなんだよ突然。
…だる
ガララ
輝「おせーよ、クズが」
葵「…あれ、昼飯は?」
輝「誰がお前みたいな陰キャなんかと飯食うかよw」
やっぱりか
葵「へー」
照山 輝、こいつは表裏が激しい
茜によく見られようと、表(茜がいる時)では、好青年を演じ、
裏では好青年の「こ」の字もない。
葵「で、話ってなんだよ」
苛立ちを抑えながらも、尋ねる
輝「ふっ、この前見ちゃったんだよねぇ」
見た?何をだ…?
輝「茜と帰る お・ま・え♡」
葵「は?」
「茜と帰る姿を見た」確かにそう言った”が”
僕は茜と帰るにも、学校から相当離れてから、
なのにどうして、
輝「だからー、朝、茜を尾行してたらー」
尾行…!?まさかッ___
輝「お前らが一緒に登校してるの見ちゃったわけ😂」
くそッ、やっぱり…
輝「もうそれは〜、俺から茜を寝取ったってことでいいんだよねぇ?」
輝の口から、とんでもない言葉が飛び出した
葵「はぁッ!?そんなわけねーだろ!」
輝「ははっ!大スクープだwww」
嬉々とした表情で立ち上がる輝。
葵「あ、おい!待て!」
ガララ
そうして、考える間もなく、輝は出ていった、
葵「くそっ、やられた」
その日から、虐められるまで、時間は掛からなかった。
朝、学校に行ったら、上履きはないし、机には落書き、水をかけられ、次々と浴びせられる罵詈雑言。
ここ2年間、なかったことで、完全に油断していた。先生は見て見ぬふりをしている。
ずっと変わらないのは、なんでだろう。
そんな日々が辛くないと感じている自分がいた
そんな毎日が続いたとある日の帰り道。
僕は奇妙なものを目にした。
青い髪、白く、艶やかな肌 、
真っ白のワンピース、
それに加え、アメジストのような瞳。
一言で言うと「可憐・綺麗」という言葉がぴったり当てはまる。
???「ねぇ、そこの人…」
葵「!」
???「君だよ、青い髪の人、私とお揃いだね」
葵「ぼ、僕のこと?」
???「うん、私はヴァイオレット、ヴィオラって呼んで 」
ヴァイオレット…?日本生まれじゃないのか?
でも、日本語を…
ヴァイオレット「あなたは?」
葵「ぼく、は、葵…」
僕は少しキョドりながらも、名前を言った
ヴィオラ「葵って言うの?よろしくね」
ヴィオラが小さく、微笑んだ
葵「ああ」
葵「ヴィオラは、生まれはどこなの?」
その日本人離れした外見と、名前から、
僕は出身地を聞いた。
ヴィオラ「生まれはリオアネア王国だよ」
「リオアネア王国」僕はそんな国の名前を聞いたことがなかった。
葵「リオアネア王国?どこら辺にあるんだ?」
場所を聞けばわかるかもしれない。
ヴィオラ「わかんない、外には出たことがなかったの、こんなの初めて…」
外に出たことがない?そういう風習の国なのか?
葵「ちょっ、とまってね、」
僕はスマホに目を落とし、すぐさま、「リオアネア王国」と、検索した。
葵「え?」
僕は目を疑った。どこを探しても、「リオアネア王国の記事が見つからないのだ。
ヴィオラ「葵?どうかしたの?」
不思議そうな顔をしながら尋ねてきた。
葵「ヴィオラ、本当はどこ生まれなんだ?」
ヴィオラは驚いた表情を見せながらも、
淡々とこう言った。
ヴィオラ「私の生まれはリオアネア王国だよ」
もう一度、そう聞いても、信じることは難しかった。
可能性としては、ヴィオラが嘘をついている。
なんかしらの病気。それとも、知名度がなくて、載っていないのかもしれない。
そう考えながら、怪訝な顔をしていると…
ヴィオラ「信じてくれなくてもいい。」
彼女は、少し寂しそうな、悲しそうな顔をした
心が痛くなった。同情したのかもしれない。
それでも、信じてあげられない自分が、情けなく感じた。
葵「信じる、大丈夫、信じてる」
つらつらと、思ってもいない言葉を並べる。
信じれないけど、信じてみよう。
そんな気持ちが湧いてきた。
どういう気持ちなのか理解もできない。
ヴィオラ「信じてくれるの?ほんと!?葵が初めてだよ!誰も信じてくれなくて…」
その発言からは、僕を頼る前に、違う人を頼ったことがあるのだとわかった。
ヴィオラ「葵……お願いがあるの」
今は期待に応えてあげよう…そう思った
葵「ああ、なんでも言ってみろ 」
ヴィオラの顔がパッと明るくなるのがわかった
ヴィオラ「私、海が見たい」
海…どうして、近くにあるというのに
ヴィオラ「外に出たことないから、友達から、海っていうのがあるって、綺麗なんだって!」
ああ、そうだった……
海を見せるぐらいならどうってことない。
葵「ああ、わかった、ただし」
ヴィオラ「ただし?」
葵「今日は遅い。また日にちを決めないか?」
ヴィオラは少し悩んだ後、こう答えた
ヴィオラ「明日…明日しか行けないの」
明日”しか”?
葵「ああ、わかった」
明日、暇だし 、付き合ってやるか…
次の日…学校に行くと、
いつも通り、上履きがなかった。
いつもの事だ、もう慣れていた。
教室入るなり、水が掛けられた。
これもいつも通りのこと。
でも、今日は違った。
怒鳴るような、金切り声が聞こえてきた
茜「もうやめてよっっっ!!!」
茜の声だった。誰も聞いたことない、
茜の心からの悲痛な叫びは、
この空間を突き抜けた
茜「私全部知ってるんだから!輝が裏で滅茶苦茶してるのも!全部全部! 」
そう、茜が言うと、輝は、こちらを睨んでんきた。
…馬鹿か、僕じゃないというのに
輝「葵…お前、チクったな?」
否定しようとすると
急に胸ぐらを掴まれた。
輝「お前…頭が高ぇぞ」
輝そうは言い捨て、僕を軽々しく投げた。
ドサッ
葵「い”ッ…」
茜「葵っ!」
茜が駆け寄ってきた
茜「ひ、ひどいわ、」
茜は、酷く震えている。周りのヤツらは何をしている?
輝「なぁ、茜…お前は何がしたい?」
茜「何がしたいって…わ、別れたいに決まってるでしょ
茜が言葉を発した瞬間…
ゴッッッ
ガシャッ!
鈍い音が教室に響いた。
茜が殴られたのだ。
茜は吹っ飛ばされ、机に衝突した。
茜「うっ…ふっ…(泣)」
すると、そこで…
ガララッ!
担任「お前ら!何してんだ!」
担任がやっと教室に入ってきた。
輝は担任と僕を鋭い視線で交互に睨み付け、
ため息を吐いて、教室を出ていった。
女子はと言うと、茜を心配していた。
学校からの帰り道…昨日の少女との約束を思い出した。 そういえば、集まる場所や、何もかも、伝えていない。
…もう無理か…
勝手にそう思っていると…
ヴィオラ「葵」
僕を呼ぶその声に驚きを隠せなかった。
葵「うわっっ!」
ヴィオラ「約束破ろうとした?」
鋭い目つきで、ヴィオラはこちらを凝視する
葵「ち、ちがう!場所とか伝えてなかったから…」
苦し紛れの言い訳をする。
ヴィオラ「いいよ、早く海が見たいの、連れてって… 」
彼女は呆れたようにそう言った
_海に着いた
時間の関係もあり、海はかなり綺麗だった。
ヴィオラ「うわ〜!きれいっ!」
嬉しそうにはしゃぐ彼女をみて、
僕も自然と嬉しくなった。
そんな様子で浮かれていると……
ヴィオラ「ねぇ、葵」
名が呼ばれハッとした
葵「ん? 」
ヴィオラ「こんなにも、世界が綺麗なんて私、知らなかった。」
夢のセリフと似たようなことを言い出す
ヴァイオレット…やっと気付いた
…ああ、あれは未来の夢だったのだな…と
ヴィオラ「ねぇ、葵…私に世界を見せてくれて
ありがとう…私、貴方と出会えてよかった。貴方と居たから、 こんな綺麗な海が見れた」
彼女は淋しそうな顔をしていた。
ヴィオラ「葵、私は、貴方と同じ時間を共に過ごせたこと、誇りに思うよ。」
そして、彼女は泣きながら、こう言った
ヴィオラ「ーーーーーーー」
その言葉を聞いた時、
悲しみよりも、寂しさよりも、
「良かった」と心から思えた。
僕は、彼女の夢を叶えれたのだと、 実感した。
ー数年後ー
あの日、彼女に「さよなら」と言おうとして、振り向いた時、彼女は既にいなかった。
僕の机には、未だに彼女から貰った言葉が飾られている。
世界で1人だけの私の英雄
それは
僕と君しか知らない、
秘密の物語…また、君に会いたい。
ーーーーーーーーーendーーーーーーーーーー
作者より
こんにちはー、ひなです。
えー。かなり長くなってしまって、
約4500字、になってしまいました。
書くのも、大変だったんですけど、
それ以上に楽しかったです。
いじめのくだりは、尺稼ぎです。はい
この物語を面白いな、って思って貰えたらいいなと思っています。
では、またどこかで___