しばらく連載していませんでした。
本当に申し訳ありません。
第2話も見てくださりありがとうございます!
拙文、脱字、誤字などがあった場合は、遠慮なく教えてくださると助かります♪
〇〇の話に似てる。などの発言はお控えください。 何かの作品を真似たり、参考にはしていません。
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モチベ上がります!
第二章
『でもな、るい。お前の病気が治ったら、俺は消える』
「え、それって…」
「要するに、お前の病気を治すかわりに、俺はこの世から居なくなるってこと」
楪が消える…?
そんなの嫌だ。
「そんなのい…」
「じゃあ!遊びでもいくか!!ゲーセンな!早く準備しろよ!」
僕が喋るのも待たないで、楪は僕の手を掴んで布団から起き上がらせた。
「え?あ、遊び…?!」
「早く早く〜」という楪の言葉が僕を焦らせた。
友達と遊ぶのなんて何年ぶりだろう…。
8年ぶりか。楪しか友達いなかっただろ。何言ってんだ僕…。急なことで頭混乱してんのかな。
準備を済ませ、玄関で待っている楪の元へと向かう。
「お待たせ」
そう言った途端、楪が笑い出した。
「その服、ダサいなぁ」
と笑いながら言う。
「…これ、僕の好きなカップ麺のキャラクターなんだけど」
僕は眉を顰めながら言う。
「ああ、ごめんごめん」
それでもまだ笑っている。
少し恥ずかしかった僕は、楪の手を引いてそそくさと玄関を出た。
「ゲーセンなんて久しぶりだ…」
辺りを見渡しながら僕は言う。
でも、車は無いし、自転車は今ちょうど修理に出して無かったんだよな。そして徒歩40分ほどでやっとゲーセンに着いた…。
もう2度と徒歩で来ない。
「おお!るい!こんなのもあるぞ!」
楪は目を輝かせながら、大きな熊のぬいぐるみのクレーンゲームを指差した。
「やるか!」
僕もだんだんワクワクしてきた。
それに平日で、人も少ないからいいな 。
まずは一回目。
交互にプレイした。
「もうちょいそっち!」
楪は真剣だ。
「ええ、こうかな?」
ゲーセンなんて久しぶりなので、僕は楪の指示にしたがってアームを動かした。
そろそろ財布が寂しくなってきた頃。
「よし!とれたあー!!」
大きな熊のぬいぐるみをトロフィーのように高く持ち上げ、楪はとても喜んでいる。
小腹も空いたし帰るか。
お昼ご飯しかないから夜ご飯も買っていこう。
何故だろう。
楪と夜ご飯を選んでいたら、やたらと人がこっちを見てくる。
でも…。正直、薄々気づいていた。楪はもう死んでるから、僕以外の人間には見えてないんだってこと。
でも、僕には楪が見えてるし、今こうやってちゃんと目の前にいる。
その事実が、僕は嬉しい。
でも、楪は消える。
僕を残して。
これは喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか、正直わからない。
教えてよ。楪。
楪の後ろ姿が、何故か切なく見えた。
時間というのはあっという間に過ぎる。
食事を済ませ、 昔話やゲームをしていたら、気づけば20時になっていた。
「…お風呂、入ろうか」
チャプ
「あ〜、生き返る」
やっぱり湯船は最高だ。
楪は体を洗ってる。
「…楪は、身体が中3の時のままだね。昔は僕より楪の方が大きかったから、見下ろすのは慣れなあ」
楪が体の動きを止める。
「死んだの中3の時だったからかなぁ。ていうか、しれっと身長差アピールしてきたな?!」
楪が泡がついた体のまま湯船に飛び込んできた。
「うわあ?!」
ビチャビチャ
「うえ、目に水が…」
痛い…。
「それともなんだ!身長がデカくなったなら、そっちの方もデカくなってんの?」
楪がニヤつく。
「ちょっ、やめてよそーゆうの!!!!!」
びっくりして楪に水をかけてしまった。
「やったな!」
仕返しに楪が僕に水をかけてきた。
そして僕も水をかけ返す。
まるで子供の頃に戻ったみたいだ。
「そろそろ上がるか」
水のかけ合いをしすぎて湯船の水が少なくなっている。
髪を乾かし、いざ就寝。
キツいな…。
まあ、一つの敷布団に2人だからしょうがないか。
沈黙が続く。
「…楪。君は僕と一緒にいたい? 」
背を向いて横になっている楪に話しかける。
「うん」
小さな返事が返ってきた。
「僕は死んでも楪といたい。楪はどう?」
「俺も。でも、るいを助ける為に俺はここにいるんだよ」
楪は、僕を助ける為にここにいる。
僕の病気が治っていくのと同時に楪は消える。
嫌だ。絶対に嫌だ。
そんなことを思うばかりで僕は何もできない。
アラームの音で目が覚めた。
「…バイトだ」
迷惑な客とか来たら嫌だな。それは勘弁してほしい…。
すると、楪は目を輝かせて言った。
「バイト?!俺も行っていい?高校行く前に死んだから、バイトとか憧れてたんだよなぁ。客様に見えてなくても接客してみるわ!」
「えっ?まあいいけど…」
「やったー!お前がどんな接客してんのか見てみたいなー」
楪がニヤっと笑う。
「そんな面白いものじゃないってば?!」
バイトの時間になるまで、楪とゲームをした。
バイトに行く準備をしていると、玄関でうずうずしながら待ってる楪と目があった。
「準備できた?早く行こ!」
本当に楽しみなんだな…。
〜〜♪
入店音が鳴る。
「いらっしゃいませ〜」
「いらっしゃいませー!」
楪は僕の表情とは逆に、僕と同じ言葉を繰り返した。
「へぇ、結構楽しいじゃん!あ、いらっしゃいませー!」
やっぱり接客系は、僕より楪の方が得意だよな。
楽しいなら是非変わって欲しい…。
ていうか、楪が喋りすぎて僕も喋りたくなってきた。
でも今はバイト中だしなぁ。外じゃ1人で喋ってる変人だもんな。
家に帰ってから沢山楪と話そう。
バイトは終わった。
あたりは真っ暗だ。
「やっと終わった〜。…迷惑な客が来なくて良かった」
「お疲れ〜。そんな客が頻繁に来きたらもうやってられないよな〜。たまにで良かったな」
楪は笑った。
ドンッ
「いたっ。あ、すみません…!」
楪との会話に夢中になっていて、あたりが真っ暗だったこともあり、僕は人に正面からぶつかった。
僕は尻もちを着いたが、すぐに立ち上がり焦りながらぶつかった相手に謝罪した。
「あ〜、すいません」
ぶつかった相手は言った。あまり気を荒くしていないようだ。
ああ、良かった。
僕はほっと一息ついた。
そしてお互い通りすがろうとしたその時、相手の右手に持っていた携帯の通知音がなり、それと同時に携帯の画面が光った。
そして僕は無意識に相手の顔を見た。
僕は目を見開いた。
言葉が出なかった。
するとぶつかった相手が口を開いた。
「あれ…。北村?」
コメント
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いちこめ!新作も面白かった!!