テラーノベル
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その日の夜。
スタジオに戻った2人。
若井がギターを構える。
「何からやる?」
「適当に弾いて」
「適当って難しいんだけど」
「じゃあ、若井の好きな感じで」
「了解」
ギターの音が静かなスタジオに響く。
大森は目を閉じた。
しばらくして――
「……これ」
「ん?」
「今のコード、もう一回」
若井が同じフレーズを弾く。
大森がペンを取った。
紙に、少しずつ言葉を書いていく。
「……書けた?」
「うん」
「どんな曲?」
大森は笑った。
「まだ分かんない」
「なんだそれ」
「でも――」
大森は書きかけの歌詞を見つめる。
「今なら、続きを書けそう」
若井は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、やろう」
「うん」
夜が明けるまで。
2人は何度も音を重ねた。
完璧じゃなくてもいい。
迷ってもいい。
また立ち止まってもいい。
それでも――
「若井」
「ん?」
「一緒にやってくれて、ありがと」
「……急にどうしたの」
「なんとなく」
「じゃあ俺も」
「何?」
「これからもよろしく」
大森は少し笑って、
「こちらこそ」
そう答えた。
そして2人の新しい曲が、
静かな夜のスタジオから始まった。
イワイ
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コメント
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イワイさん、第3話拝読しました。静かなスタジオに響くギターの音、若井さんの「適当って難しいんだけど」というやりとりから、お互いを信頼している空気がじんわり伝わってきました。特に「まだ分かんない」「でも――今なら、続きを書けそう」の部分、迷いながらも前に進もうとする大森さんの心情がとてもリアルで好きです。最後の「ありがと」「よろしく」の会話も自然で、この夜の時間が二人にとって特別なものになったんだなと感じました。続きが気になります🌷