悪文
7700文字以上
いきなりだが、俺は反社に所属しているも、想いを寄せている人物がいる。それも同僚にだ。そいつは幹部の一人で…
「おーい、三途。
次の仕事行くぞー。」
「あ、おう」
「珍しくボーッとしてたじゃん。
どしたん、悩み事かー?」
「ちげぇよ。
ほら、さっさと行くぞ。」
そうこの男、紫髪に黒メッシュのウルフカットで昔カリスマ兄弟で有名であった灰谷竜胆という人物だ。いつも俺にダル絡みしてくる奴だが、何故俺が竜胆の事を好きになったのかと言うと、誰も意味を理解してくれない理由だが、竜胆が俺にダル絡みしてきたからだ。な、わからないだろ?俺もよく分からない。しかし、いつの間にか俺の心は竜胆に奪われていた。
そんな事を思っているうちに俺らは今回の仕事場に着いた。ボロついた家で、おおよそ人が住み着いて良い環境ではないのは確かだ。今回俺らが任せられた仕事は敵アジトの存在自体を無くす事。完全に無くすのは至難の業だが俺らがやる事は大雑把に言うと殺して燃やす、それだけだ。あとの仕事は部下達がせっせとやってくれるのがいつもの仕事内容ってところだ。
「よし、はいんぞ。」
「足手纏いになんなよー?」
「そっちこそな。」
そう言い、俺らは武器を取り出しながら中に入った。出来るだけ音をたてず、物陰に隠れながら移動する。目指す部屋には勿論人が数人いた。俺は様子を見て、竜胆にハンドサインで合図をする。突撃だ。
「てめぇら、何処の奴だ!! 」
「梵天のNo.2だ、覚えときやがれ!」
俺は刀を抜き、銃を構え出した順に敵の体を深く刺していった。竜胆はいつも俺と仕事する時は物をわざと壊して焦らせたり、俺が見てる暇のない敵を片っ端から殺したりなどサポートに回ってくれる。それは俺にとって有難い行動だった。そして、一瞬で場は地獄絵図と化した。
「よし、次行くぞ。」
「うぃー」
竜胆は適当な返事をしながら俺について来た。会議室のような部屋からそそくさと離れ、敵が道中で現れたらすぐに殺す。多分だがこのアジト全員に俺らが来た事は知らせているだろう。微かに遠くの方から大勢の足音と怒声が此方に近づいてくるのが把握できた。
「ここにいんぞぉ!!!!」
一人の禿頭が俺らを見つけ遠くの方にいる奴らに知らせられるよう大きな声でそう言った。俺は直ぐにそいつを切りつけるがもう遅い。敵は大勢此方に押し寄せて来た。
「チッ、群れることしか出来ねぇ雑魚が。」
俺は此方に来る敵全員に対して刀を振った。竜胆はというと片方で銃、もう片方で短剣を器用に扱い次々と倒していた。
「おーい、三途ー。
刀の鞘借りるぜー。」
「は!?
てめぇ、勝手に使うんじゃねぇ!」
竜胆は俺の承諾無しに持っていた刀を敵にブッ刺した後暇になった手で鞘を持ち、相手の頭を思いっきり打った。鞘が折れてないか内心ハラハラしたものの幸い折れてないのを一目で確認する。そして俺は最後の一人の心臓を刺し殺し、場を静まらせた。刀からポタポタと誰の血か分からない液体が重力に従って落ちていく音と、俺らの酸素を取り入れて吐くを繰り返す音が微かに聞こえる。
「…!
三途、後ろ!!」
「死ねぼんてぇぇぇん!!!」
バンッ
銃声が鳴り響くと同時に俺の肩が徐々に血で染まっていく。竜胆が俺を支えてくれ、直ぐに俺を撃った奴を瞬きも許されない速さであの世に送った。血がドクドクと流れているのがよく分かる。
「三途、大丈夫か!?
とりあえず、布をあてねぇと…
直ぐに車を出すから!」
竜胆は必死な顔で俺を応急処置をしてくれ、車までおんぶしてくれた。お前って案外優男だよな。空気も読めないような事を思いながら俺は重い瞼に従って眠った。しかし、聴覚は最後まで働いていてくれた。竜胆の声が微かではあるが聞こえる。
「勝手に死ぬな」
俺にはそう聞こえた。
暗い。俺が今見てる景色は夢というものが入る隙間がないほど真っ暗闇だった。目を開けようと思っても眠たいという欲が勝ってしまい、思うように目が開かない。このまま俺は目を覚まさずにずっとこの瞼の裏を見続けなければいけないのか。
「~ーー〜、ー〜…」
誰かが俺に話しかけている声が聞こえる。それは聞き馴染みのある声だった。優しくて、でも少しムカつくような事を言ってそうで、そして…俺の好きな声だ。
「…さ、ず…きてよ」
途切れ途切れに聞こえてきて相手が何を伝えようとしているのかが分からない。もっと、聴覚を働かせろ。お前が俺に伝えたい事に答えてやりたい。意地でも答えてやる。すると少しずつ聴覚は俺の言うことを聞いてから出した。
「…三途…頼むから、起きて」
やっぱり俺の好きな声だ。その声の持ち主は一人しか俺の中には存在しない。
「りん、ど……」
「さ、三途!!」
視界はボヤけてはいるものの好きな奴の顔だ、ボヤけていても灰谷竜胆という人物な事くらい分かって当然だ。それよりも俺は見舞いの人間が竜胆な事が何よりも嬉しくて不思議であった。何故不思議か、それはあの後に竜胆は他の仕事が山積みだったからだ。その事を俺は知っている。
「りんど、仕事は?」
「仕事は全部ココ達に任せた
まあ、後日倍にするっていう約束だけど。」
ハハハと苦笑いしながらそう答えた。仕事よりも俺を優先したのか?と申し訳ないという感情の中に有難うという感謝が混じってきた。
「でも、仕事倍はきついだろ。
お前の仕事内容が元々きついんだから…」
「三途が心配なんだから、こんぐらいどうでも良いよ。」
俺はその言葉が嬉しくてどんな顔をして良いのか分からなかった。そのせいか咄嗟に俺は竜胆の顔を見れず、布団に顔を埋める。竜胆は疑問符を頭に浮かべながら首を傾げ俺を見つめてくる。好きな奴にこんな事言われて正気の奴は人間じゃない。益々俺のハートら竜胆で満ちていく。叶わぬ恋なのは分かっている。ましてや男同士だ。この恋が叶う確率は天文学的確率だろう。
「さーんず、どうしたんだよ
布団に顔なんか埋めて。」
「んでもねぇよ…!」
病室に俺の声が響く。だって仕方ないだろ。コイツ俺の髪を子供を触るかのように優しく撫でやがったんだよ。竜胆は俺の事を狂わせる天才だと、この時は思った。
「ねーえ、折角来たんだし顔見せてよ。
俺、三途の顔見たくて来たんだけど。」
そんな事言われて「分かった見せる」なんて言うやつがいると思うか?嗚呼、ここにいる。好きな奴の願いは聞いてしまうものだ。恋というものはこういう出来事があってしまうから、少し怖いものだと感じてしまう。俺は躊躇ったものの竜胆の言う通りに顔をゆっくりと上げた。
「わ、三途熱あるんじゃね?
ちょっと顔赤いよ?」
「…ないし」
「声ちっちゃ。
てか、目合わせろし」
多分竜胆の言った通り顔が赤かったのだろう。それに声が小さいのも、目を合わせないのもどれもこれも全部この男、竜胆のせいだ。
「…外の空気吸いたい。」
「でもお前今起きたばっかだろー?
安静にしとけよ。」
「こんぐらい平気だわ。」
竜胆は深く溜息を吐き、俺を再度見つめてきた。俺は高校生の女子学生かのように前髪をちょいちょいっと触り紛らわした。
「わかった。
少しだけだけど外に出るか。」
「え、良いのか?」
「だけど!
俺のそばからぜっっったいに離れんなよ!」
そう竜胆に圧をかけられ、俺はその圧に負け縦に首をコクリと小さく振った。竜胆は俺をベッドから降ろそうと俺に肩を貸してくれたりと手伝ってくれた。コイツは仕事でもそうだが、俺にサポートをしてくれる事が多々ある。他の奴にはあまりしている所は見ない。兄貴である灰谷蘭にですらサポートっぽいサポートをしている所を見かける事はあまりなかった。
やっとの思いで外に出ると俺は空を見上げた。空は快晴で青く、空気も澄んでいて気持ちが良くなる。竜胆は俺を近くのベンチに座らせようとしてくれ、腰を下げベンチに座らせてくれた。竜胆も俺の隣によいしょと声を出しながら座ってくる。
「ちょっと寒いな。」
「まーね。
立春過ぎたからこれから暖かくなるらしいよ。
暑がりの春千夜ちゃんはこれからキツくなるなー。」
「暑がりじゃねぇわ!」
クスクスと笑いながらいつものように俺を揶揄ってきた。それがいつも通りの光景で俺は少しホッとしながら言い返す。
暫くすると太陽が建物からひょっこりと出てき始め、直で光が当たってきた。ウトウトと眠くなり始め、無意識に頭を隣にいる竜胆に預けてしまう。
「眠いの三途。」
「んー…?」
「戻るか?」
「んや…このまま。」
俺は重い瞼を頑張って開きながら竜胆の言葉に返答した。竜胆は俺の肩に手をやり、自分の方にと寄せてきた。この時、眠くて良かったと思っている。多分素面の俺だったら心臓が爆発しているだろう。
「三途。」
「んだよ…」
「お前が生きてて良かったよ。」
「は…いっっ」
俺は一気に目が覚め、竜胆の肩から頭を離し起き上がった。急に動いたせいで治療中の肩に雷に打たれたような痛みが響いた。思わず肩を抑え、痛みを何処かに逃がそうとギュッと強く握る。
「三途!
大丈夫か?」
「…ん、大丈夫。」
「急に動いてどうしたんだよ…」
「それは…」
言葉が詰まった。もしここで素直に「さっきの言葉が嬉しかったから」なんて言ったらほぼ100%引かれて、嫌われる。流石に好きな奴の願いでも拒んでしまった。風にあたる木々が触れ合う音が聞こえる。気温は11°と少し肌寒いくらいだが、俺は今の状況のせいか肌寒いなんて感じなかった。
「…ねぇ、三途。」
「なに…」
「急で悪いけど今から俺が三途に思ってる事言う事全部言うから「やめて」って思ったら直ぐに言って。直ぐにやめるから。」
「え、は、どうゆう意味…」
理解が追いつかなかった。いきなりその様な事を言われても此方も脳の整理が追いつかず困ってしまう。その時の竜胆の顔は何故か不安そうだった。それは俺も同じ。今から竜胆は確実に喋り出す。それも俺の事を。嫌だ。好きな人からの言葉ほど心に響く自分への印象などない。もしかしたら、これから一生その言葉という錘を背負いながら生きていく可能性もゼロではない。
俺は咄嗟に竜胆の口を両手で封じた。その時の俺の顔は多分酷かっただろう。今にも泣きそうなほど下瞼の裏に涙を溜めていたはずだ。竜胆は優しく俺の両手をどけた。
「少しだけでも言わせてくんね?
多分今しか言えない気がするから。
今なら俺の自信は「言える」って思ってるから…今言わないと後悔する気がする。」
「本当に…今じゃないと、ダメか?」
「うん、多分ダメ。」
竜胆は自信なさげな顔でそう言った。竜胆がこんなにも頑張って言おうとしているのだ、なら俺もそれ相応の事を返さないといけない。俺も頑張って聞いてあげないと…。
「…わかった。
言って良いよ。」
「マジ?
三途って案外優しいのな。」
「うっせ」
少し日常のような会話を間にとった。しかしその会話の後は直ぐに静かになる。俺は竜胆の目を見れなかった。多分、今見たら俺は隠している涙を流してしまう可能性があるから。嗚呼、この会話が終わったら沢山泣こう、俺はそう決意した。
「まず、俺が三途に対しての第一印象な。最初は天竺の時だっけ?あの時は話さなかったから「誰だあいつ」だったかな。でもお前女顔で綺麗な顔してっから、美人だなーとは思ってたよ。」
「……」
俺は黙って竜胆の昔話を聞く。天竺の話をしてると無意識にその時の記憶を脳に思い出させてしまう。赤い特攻服を見に纏って、その時の隊長の隣でただ立ってた俺。竜胆はというと「極悪の世代」「カリスマ兄弟」と二つ名で有名で、他の皆んなとは違く黒い特攻服を着ていた。その時の俺と竜胆は全く関係という関係が一ミリも無かった。
「俺らが正式に話し始めたのはあれか。三天戦争の時だよな。あの時は兄貴が頭殴って悪かったな。あん時はお前の事「おもしれー奴いんじゃん」って思ってた気がする。だって昔黙ってて真面目ちゃんキャラかと思ってたやつがいきなりとち狂った奴に変わってんだからそう思うだろ。」
「とち狂ったは余計だよ。」
俺はそう相槌を下手にとった。三天戦争。あの時はマイキーに夢中だった。竜胆なんて奴どうでも良いし、なんなら覚えてもいなかった。あー、そんな奴いたなーぐらいの感覚。あの時の戦いは灰谷兄弟のコンビが強力で少し手間取った記憶は残っている。
「んで、今。」
「あぁ…」
「ねぇ、俺の気持ち言う前にさ、三途の気持ち聞いてみたいんだけど。」
「は、んでだよ。」
「なんとなくー?」
一番聞いて欲しくない内容No.1を竜胆は聞いてきた。無論、好きに決まっている。だがそんな事馬鹿でもこの場で言わない。竜胆は冗談だよと、少し笑いながらそう言ってきた。すると竜胆は俺の手を触り始め、俺と竜胆の指を交互にさせ握った。所謂、世間でいう恋人繋ぎって奴だ。俺は目は合わせられなかったものの、ドキッとした。ゴツゴツと骨張った手が俺の手を包む。それだけでも俺はその瞬間だけ幸せに満ちた。しかし本当に一瞬。直ぐにその幸せ空間は重い空間へと変わった。
「ダメ?」
「…ダメって言ったら」
「その時は無理に聞かないよ。
俺案外やさしーからな。」
にひっと無邪気に笑う。前傾姿勢で俺の顔を覗こうとしていたので、紫色のさらさらした髪の毛が俺の視界の端っこでチラリと見えた。俺は竜胆と同じようには笑えなかった。
「まあ、三途の場合恥ずかしくて言えないか!」
「黙れてめぇ」
「すいませーん」
ケラケラと笑いながら反省の色が全く無い言葉を俺に対して述べてきた。俺には竜胆のような余裕は持っていなかった。俺の今の脳のスペースは不安という言葉で満帆だ。
「じゃあ、俺から言うな。」
「……嗚呼。」
とうとう、この時がやってきた。時間は待ってと言っても俺の言う事に耳を貸してくれない。そもそも耳なんてないか。俺は唾を飲み込み竜胆の言葉を受け入れる決意をした。心臓の鼓動が早くなっていく。今にも吐きそうな程気持ちが悪い。
竜胆は此方を体に向け、俺の手を両手で覆い、俺と同じく唾を飲み込んだ。もう言葉にする準備が彼奴は出来たのだろう。俺の恋はこれで終焉だ。
「大好き。」
「………は?」
「ずっと大好きだった。不良の頃からずっと。お前の顔もそうだけど、一番好きになった理由は…ギャップかな。お前、天竺の時話さなかったのに、三天戦争の時にはあんな奴になってたから…それにやられた。それにさ…」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」
竜胆は先程の約束通り、やめてと言ったらちゃんと喋る口を閉じてくれた。俺は勿論混乱した。予想外の事を竜胆が喋ったせいだ。俺の事が好き?不良の頃から?意味がわからない。尚更目が合わせづらくなり、片方の手の甲でで目を隠した。
「…やっぱり嫌だよな。ごめん。」
「い、いや、違う!
それは断じ…」
思わず顔をあげ、目を合わせてしまった。俺は言葉を述べていた口を閉じてしまう。竜胆は俺が否定の言葉を発したせいなのか目をまん丸と開け、ポカーンと少し口を開けていた。竜胆はクスッと何かに笑い、俺の顔に手を伸ばしてくる。頬をサワサワっと触り始めた。
「三途、今のお前の顔めっちゃ可愛い。」
「え、は…」
「なあ、その顔は期待しても良いってこと?」
答えるのに戸惑った。多分俺の顔は新鮮な林檎のように赤かったのだろう。自分の顔の体温が異常に高いのが測らなくても心臓の鼓動がギュウッとなる感じがしたので分かった。
竜胆は全く目を動かさず真っ直ぐに俺の顔を見つめてくれる。見ないでくれ。その感情が強かったのか、両手で竜胆の目を塞いだ。
「ぅわっ、」
「わ、わりぃ。
ちょっと目が合わせづらくてよ…。」
「…三途、このままで良い。
せめて返事をくれない?」
「……」
沈黙が続いた。俺は脳内でどの言葉が最適かと文を作っていた。商談や脅しでも大体その様な事をやって、成功してきている。しかし、今回は何故か上手くいかない。文が考えられない。そもそも言葉が思いつかない。考える時間が欲しいから「わからない」と言う?だめだ。竜胆の性格は弟気質で少し我儘である。もしかしたら、「わからないは答えになってない!」と言ってしまうかもしれない。なら、「好き」と此方側も言うか?いや、もしかしたら何かのドッキリかもしれない。
「三途、震えてる?」
「いや…、なんでも。」
竜胆の目を塞いでいた手が震えていたらしい。無意識だった。人を殺す時よりも断然今の方が緊張しており、怖かった。
「…三途、俺の気持ちは本気だ。
本当にお前の事が…その、好きで…大事にしたいと思ってる。」
「………ドッキリじゃない?」
「違う。これは本当。もしドッキリだったら切腹するくらいには本当。」
一番確認したい事が確認できた。勿論、竜胆の事は充分に信用している。多分、竜胆の言葉は本当だろう。声で真剣さが此方に伝わるほどだ。しかし「嘘」という言葉が俺の脳内を掻き乱してくる。もう俺の脳内に侵入してこないでくれ。俺は竜胆を信じたいんだ。
すると考えているうちに手首を握られていた。竜胆がいつの間にか俺の行動を止めたらしい。俺はまた目が合ってしまい、目を逸らした。
「三途、こっち見て。」
「……」
竜胆に言われた通り気まずいながらも目を合わせた。いや、目を合わせたのは時々だけだ。目を合わせても直ぐに逸らし、また目を合わせるも逸らすの繰り返し。
竜胆は真剣な眼差しで俺を見てきた。いつもの竜胆に見えなかった。いつもは弟気質を活用し、甘えてきたり、笑ってきたりなどまるで友達のような感じだ。だが、今はちゃんとした大人のような雰囲気を醸し出していた。
「三途。」
「…なんだよ。」
間を開けもう一度喋り出す。
「灰谷竜胆は三途春千夜の事を愛してます。
こんな俺だけど、付き合ってくれませんか?」
「…っっ⁉︎⁉︎」
頬が赤くなるのを自覚した。俺は考える前に勢いで竜胆に抱きついた。肩の痛みなんてどうでも良い。ただただ、竜胆に抱きつきたかった。俺の涙腺はもう限界。涙が頬を祟るのを感じた。
「三途、返事は?」
「…幸せに、しなきゃ…スクラップだかんな…!」
「上等。」
竜胆はニッと笑い、俺の背中を摩ってくれた。竜胆の手は暖かくて安心感を得れる。いつもなら馬鹿にする癖に、俺がいざ涙を流すと竜胆は気を遣って全く笑わず、顔も無理に見ようとしなかった。
数分間この状態が続いた。そろそろ泣き止み、俺は少し鼻を啜りながら竜胆の顔を見ようと上体を少し上げる。
「泣き止んだ?」
「まあ…。」
「そういえばさ、さっきの事聞かせてくんない?」
「さっき?」
「三途の今の気持ち。」
ニヤニヤしながら俺の顔を見る。もう隠すのはやめた。俺は思っていた事を全部話した。そこには頬を赤らめた竜胆が俺の事を見ていたのを今もまだ覚えている。
コメント
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ダメだ。ニヤけが止まらない。あっ!主さん、こんな最高な夢の中の夢小説作って頂きありがとうございます😭はるちよの「幸せに、しなきゃスクラップだがんな」これめっちゃお気に入りです😭ありがとうございます😭
わー‼️‼️😭😭最高すぎます😭💖もう本当に言葉に出来ないくらい凄すぎて…😿 竜春提供ありがとうございました‼️❤︎
え、もう最高です。私が満足いくまでハート押しときます。