テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ー注意書きー
dzr社
orqn
🍌=おんりー
⛄️=おらふくん
虐待虐め表現:有
・Prologue・
大好きだった
愛していた
それは確かだ。
感情を知った今の僕だから言える言葉
「ありがとう…」
花火が咲き誇る中、僕は静かに目をつぶった_
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰
第1話:灰色の日常_
🍌視点
「痛っ…」
僕は新しく出来た傷口に絆創膏を貼っていた。
どんどん増えていく傷は
見る度に嫌な光景を思い出させる。
「どうして?どうしてなの?」
「なんでそんなことも出来ないの?」
何回も問いただしてくる質問に僕はいつも
同じ言葉を言う。
「ご…ごめんなさぃ、」
我ながら情けない程声が震えている。
なにされるの?
叩かれるの?嫌だ…嫌だ嫌だっ!!
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
そんな日々だった。
いつも怖くて震えていて、俯いて…
家でも学校でも誰も相手にしてくれない。
嫌だった、苦しかった、怖かった
でもある日を境に、僕の何かが切れた。
何も感じなくなった、
まったく嫌じゃない、苦しくない、怖くない
感情が消えた_
僕は、感情のほとんどを失ったまま
高校生になった。
今日も休み時間窓側の席で本をめくっていた。
「ねぇ、何読んでんの?」
突然の声に顔を上げると、いつもクラスの中心的存在にいる彼が爽やかな顔でにやりと笑っていた。
彼の名前はたしかおらふくん
クラスの人気者で明るく元気な子だ。
僕と正反対だな、
「…小説です」
俯いたまま小さな声で答えると、僕の本を覗きながら言った。
「すげぇなぁ、目疲れんの?」
「…読みなれてるから、」
「そか、じゃぁまたね」
彼はそう言って、友達であろう人たちの元へ
行ってしまった。
僕もまた、本へと目を向けなおす。
いままで、毎日同じような退屈な日々だった。
でも、何かが変わりそうな予感がするのは
気のせいだろうか。
彼の吸い込まれそうな目を見て、そう感じた。
帰り道
夕暮れの空は茜色に染まり、蝉の声が耳にまとわりつく。
一人で歩く帰り道は、いつもと変わらない…
はずだった。
カラン、と自転車のブレーキ音。
振り返ると、おらふくんが、自転車を押しながらこちらへ歩いてきていた。
「やっぱりお前やったんか。ひとりで帰っとるん?」
唐突に声をかけられ、僕は少し眉をひそめる。
「そうですけど」
素っ気なく答えると、彼は全然気にした様子もなく笑った。
「なんや、塩っけすごいなぁ。せっかく やし
一緒に帰ろう」
勝手に横に並んできて、にこにこと歩調を合わせてくる。
鬱陶しい。そう思った。
けれど、不思議と無視できず、歩幅を合わせてしまう自分がいる。
しばらく沈黙が続いたあと、彼がふと口を開く。
「なぁ」
「なんですか」
「お前、なんでそんな傷だらけなん?」
心臓が一瞬、跳ねた。
僕は足を止め、俯いたまま短く答える。
「……関係ないでしょう」
冷たく言い捨てると、彼は
「ごめん、気になっただけや」
と小さく返した。
けれど、その目はどこか真剣で、軽い冗談の響きは消えていた。
⛄️視点
おんりーの横顔を見ながら、オレの胸の奥がざわつく。
なんやろ…この感覚。
勝手に横に並んで歩いて、なんとなく話しかけて、 でも返ってくるのは素っ気ない「…はい」とか「なんですか」だけ
普通ならそれで終わりやろ。
でも、なんでか気になって仕方ない。
あの細い腕に貼られた絆創膏も、顔に残る小さな傷も、全部気になる。
「……ごめん、きになっただけや」と
思わず言葉にしたけど、ホンマはもっと知りたい。
何であんなに冷たいのに、目がこわばってるんやろ。
何か抱えてるのは明らかやのに、なんで誰にも言わへんのやろ。
「そういや、君の名前、まだ聞いてへんな」
少し声を低くして尋ねると、やっと名前を教えてくれた。
「……おんりー、です」
その声は小さくて、でも確かに聞こえた。
「おんりー…ええ名前やな」
胸の奥が、妙にぎゅっとなる。
こんな感覚は、初めてやった。
俺は心の中で決めた。
この子を、何があっても放っておかへん_