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もともと僕は惚れやすいヤツで、好きになったら、とことん貢ぐタイプだ。
ああ、なんてイケメンなんだろう…どうしたら、あの人の全てを知れるのだろう。そう思うようになっていった。まずはこの塾で一番仲良くなろう、それが始まりだった。
まずは誕生日からだ。それとなく聞くことができた。だが、この塾は騒がしい。肝心な何月かが聞こえなかった。4月か7月の二択だ。4月なら、僕と誕生日が一緒だ。それなら、どれだけ嬉しいだろう。中々、話しかけるタイミングがない。これは授業の時がチャンスだ。あぁ、何故僕以外の授業をするんだ…、僕以外と話すんだ…、どうして僕だけを見ていてくれないのか…
そうして、授業が始まった。
‘‘t先生の誕生日は4月?7月?ちゃんと聞こえてなくて、’’
‘‘俺は、4月だよ。’’
‘‘本当ですか?誕生日同じですね!’’
‘‘そうなの?偶然だね’’
‘‘何年生まれですか?’’
‘‘2000年生まれだよ。’’
‘‘そうなんですね!僕は2009年なんで一生追い付けないですね(笑)’’
‘‘確かに(笑)もうすぐ大学院生も終わっちゃうよ’’
‘‘大学院通ってるんですね。’’
‘‘うん。’’
他愛もない会話、それだけで満たされていく。
あぁ、この時間が続けばいいのにと何度思ったことか。だが、かなわない…授業は終わっていく。
あの人は、指輪をしていた。おしゃれかもしれない、婚約者がいるかもしれない、既婚者かもしれない、そんな考えが脳裏をよぎる。だが、関係ない。そんなことは僕にはどうでもいい。
あの人のこの時間だけは、僕だけに全てが注がれている。それだけでいい…。
今度聞いてみよう。彼女がいるのか、僕はそう決心した。