俺には、一つの秘密がある。
ある日、事務所で短剣を弄びながら天井を見つめていた。
すると突然、大柄な男が現れ、俺の横すれすれにナイフを投げつけてきた。
「ほんっと、治安悪いなぁ、笑」
軽く笑ってみせると、男は低い声で威嚇する。
「お前みたいなガキ、いらねぇからな」
面倒な相手だ。
それなら依頼を受けた方がマシだと思い、無視して仕事を探しに行く。
まさか、その決断が自分を地獄に突き落とすとは知らずに。
俺が受けた依頼は、ある男子高校生の暗殺だった。
最初は何とも思わなかった。
しかし、ターゲットの名前を聞いた瞬間、血の気が引いた。
――最近仲良くなった、あいつだった。
殺し屋に慈悲は不要だと分かっている。
だが、どうしてもこの依頼だけは断りたかった。
しかし、事務所は聞き入れてくれず、期限は1ヶ月と決められた。
与えられた1ヶ月間
1週間目――とにかく彼との関係を深めた。
2週間目――必死に努力し、彼と恋人になった。
3週間目――殺すためのタイミングを探した。
4週間目――何度も決行しようとしたが、できなかった。
そして、最後の1日。
手が震えるのを必死に抑えながら、彼とのデートの待ち合わせ場所へ向かう。
「ごめん……お家デートでもいい?」
申し訳なさそうに言う彼。
「おん、なんでもええで」
むしろ、その方が都合が良かった。
彼の家に着き、普通にいちゃつく。
しかし、彼がトイレに立った隙に、武器を用意した。
戻ってきた彼を見つめながら、ゆっくりと跨る。
心が引き裂かれそうだった。
涙が止まらないまま、彼の腹部に短剣を突き立てた。
「……ごめんなさい」
何度も、何度も謝る。
そんな俺の頭を、彼は優しく撫でた。
耳元で、小さく囁く。
「大丈夫だよ」
その瞬間、意識が遠のいた。
目を覚ますと
暗闇の中、目を開ける。
拘束され、動けない。
――失敗したから、事務所に回収されたのか?
――これから拷問され、調教されるのか?
そんなことを考えていると、不意に聞き覚えのある声が響いた。
「ねぇ、ぼびちゃん。俺のこと殺そうとしたんだって?」
目の前に立つのは、ターゲットだったはずの彼。
「……ごめんなさい」
絞り出すように謝る。
すると彼は笑って言った。
「別にいいけど、その代わり俺の奴隷になってね?」
乾いた音を立てて、服が脱がされる。
抵抗する気力なんて、もうなかった。
溶かされていく日々
それからの生活は、ただひたすらに彼に支配される日々だった。
数日後――
自分の意思など、とうに消えていた。
「はやく……早く……♡」
「待って、拘束外すから」
「にきのが欲しいの……♡」
昼は拘束され、玩具で弄ばれ、夜は彼のものを受け入れる。
そんな生活を半年続けたころには、完全に壊れていた。
でも――
「愛してくれるなら、もう何でもいいや……♡」
そう思う自分に、疑問すら感じなくなっていた。
殺すつもりだったのに、殺されるどころか、彼の所有物になった。
この関係が正しいのかどうかなんて、もう考えることすらできない。
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