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「ひとまずはこれで時間が稼げるでしょう。……さて、それでは改めて皆さんの質問にお答えしましょうと言いたいところですが、先に私めの話をお聞きいただきたい。まずは御二方」


クレイルがムザイとロディアに目をやり、胸元から取り出した物を渡した。

するとタイミングよく小さなアイテムから声が聞こえてきた。


『 無事ですか、お二人共?! 』


声の主はフレアだった。

どうやらクレイルによってあらかじめ通信状態にされており、三人が交戦している音を聞き心配しているようだった。


「……この声は、フレア、さん? どういうことだ」


自分を知らないムザイとロディアに軽く自己紹介を済ませたクレイルは、以後お見知り置きをと会釈した。

事前に名前を知らされていたため、二人はすぐに理解し、喉元につかえていた質問を飲み込んだ。


「お次は、そちらに居られます王族の。……確かお名前を、マリヤーラ殿下とおっしゃいましたか」


不意に名を呼ばれ驚いたマリヤーラは、クレイルのことを知らなかったのか、警戒しながら聞き返した。


「どこかでお会いしたことがあったかな」


「随分と昔の話です。確かの際にお姿を」


グリムトという単語に目を見開いたマリヤーラは、これまで見せたことのない、驚きとも、畏怖とも取れる表情で一歩後退あとずさった。

しかしプフラが「殿下?」と訊ねたことで我に返り、「あぁ」と取り繕って頷いた。


「そ、そうか、これは失礼なことをした。お助けいただき感謝している」


「これはこれは、勿体なきお言葉。お役に立てたならば幸いです、殿下」


握手を交わしたクレイルは、続いてハグをするように身を寄せ、男の耳元で何かを呟いた。

一瞬の真顔の後、すぐに頷いたマリヤーラは、緊張の面持ちでクレイルにだけ聞こえる声で「わかった」と呟いた。


「殿下……? いかがなされましたか」


「いや……、なんでもない。少し疲れが出ただけだ」


にこやかに挨拶を終えたクレイルは、全員の注目を集めてから「まだ質問がございますか?」と訊ねた。ムザイとロディアは首を横に振り、プフラもマリヤーラが目を瞑り黙殺するのを一瞥し、首を横に振った。


「それは良かった。我々も時間がございません故、手短に済ませたかったもので」


「我々、だと。それは誰のことを指している?」


男の相槌にムザイが反応した。

クレイルはムザイの手元を指さしてから、うんうんと耳を傾けた。


『お二人共、これからはクレイルさんと一緒に行動してください』


「どういうことですか、フレアさん?」


『色々とありまして、今回クレイルさんにも手伝っていただくことになりました。やはり女性お二人ですと苦労もあるかと思いますし』


「我々が苦労を? ……いえ、……まぁ、……はい。わかりました(※不服)」


『詳しいことは直接クレイルさんに聞いてみてください。では引き続きよろしくお願いします!』


プツンと回線が途切れ、ようやくの静寂が訪れた。

タイミングを見計らって咳払いしたマリヤーラは、クレイルにあえて背中を向けながら言った。


「随分と状況は変わってしまったが、あなた方には感謝している。危ないところを加勢していただきすまなかった」


「ふん、取り繕ったところで前の件がなくなるわけではない。見え透いた礼など不要だ」


ムザイが男の言葉を一蹴した。

態度に怒りを露わにしたプフラが踏み込むも、マリヤーラはそれを制しながら言った。


「申し訳ないが、先程の件、……全てなかったことにしていただけないだろうか」


「なんだと……?」


ムザイの疑問と同時に、プフラも同じように目を見開いて言った。


「そうです殿下、一体何を仰っているのですか。この程度のことで、全てを反故にしていては仕方がありません!」


しかしマリヤーラは首を振った。


「そうではない、そうではないのだ」


口を噤み黙りこくった男は、クレイルのことをどこか恨みがましく一瞥してから、全ての重荷を下ろすように言った。


「宝具のことは、……これで終わりにする」


プフラの顔が激しく歪んだ。

我が君主は何を言いだしたのかと自分の目を疑い二度三度と擦ってから、すがるように聞き直した。


「何を言いますか殿下。たかだかあれしきのことで、全てを諦めるなどあり得ません、撤回してください!」


しかしマリヤーラは言葉を撤回しなかった。

それどころか脱力して膝を付き、部下全員が項垂れるほどの落胆ぶりだった。

面々の様子を横目に、ロディアはクレイルにすり寄った。そして端的に聞いた。


「奴に何を言ったのだ?」


「少しばかりの情報を。恐らくはこれで数が絞られることとなるでしょう」


「数? なんのことだ」


クレイルは閉ざされていた窓の隙間から外を見るよう促した。

何やら慌ただしく街中を走り回る人々の姿が目に入った。


「なんだ、また何か事件でもあったのか……?」

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