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A組。
俺のクラス。
初めての友達。
俺の人生を照らしてくれたかけがえのない存在。
雄英高校には親父の命令で入学したけど、来てよかったと思う。
大切なものに気づけた。
俺はおかしかった。
そうしなければ生きていけなかったあの家も狂ってた。
でも今はいい方向に向かっていると思う。
俺は過去を精算するために母に会い、母も少しづつ元気になって、何より父が改心した。
俺が今までの人生で拾えなかった様々なものにA組が気づかせてくれた。
昨日、
いや一昨日、
一週間前?
一ヶ月前だったかもしれない
俺以外全員死んだらしい。
例の全面戦争で皆は、戦って、それで
「_______っぉえ”ッ」
横になったまま胃から逆流してきた何かを吐き出す。
もうずっと何も食べていないから胃液しか出てこない。
生きているからこんなものが体内に渦巻いて、俺は今日も無意味に存在している。
皆を置いて、俺一人が。
残っている人たちで、必死に皆を探した。
飯田は、俺を家族の元へ導いてくれた後そのまま力尽きたかのように冷たくなって固まっていた。
麗日は、トガヒミコと抱き合った状態で出血死していた。
その場で俺の血を与えたが、どうやらもうとっくに肉の塊だったらしい。
切島は硬化した状態で粉々に砕け散っていた。
1つずつ回収して、回収して、繋ぎ合わせても戻ってこなかった。
青山は腹部が裂けた状態で、下半身と上半身がほぼ繋がっておらず、かろうじて心臓は動いていたがどうにもできなかった。
上鳴は綺麗な状態だったから、生きていると思った。
けど、体内がぼろぼろで、よりにも寄って脳と心臓がやられていた。
葉隠はなかなか見つからなかった。
探し続けて探し続けて、恐らく数日経ったある日、やけに腐臭がすると思い近づいたそこには蛆虫が人の形で湧いていた。
それが葉隠だった。
緑谷は、緑谷は、崩壊の個性で、目の前で消えた。
あまりにもあっさりと大切な人が塵になるのを見た。
もう死体すら残っていない。
生きているやつもいた。
でももれなく皆死んだ。
それでも爆豪は一番最後まで生きてた。
一番最後まで生き残って、それで緩やかに死んで、
___病室の最期を思い出し、再び吐き気が混み上がってくる。
なのに、もう吐き出せるものが何も無い。
代わりに涙が出てきた。
感情の痛覚が麻痺したのか、ずっと辛くて苦しいのになにも悲しくない。
心と頭が分離していてなにも考えられない。
何も考えたくない。
頻繁に部屋へ俺の様子を見に来る相澤先生の声を聞いて、ゼリーを一口二口飲み込んで、後は活動とできず眠れもせずただの物質になる。
そうしてぼんやりと存在意義をなぞって一日を終える。
毎日毎日同じようなことばかり考えている。
どうして俺はここまで苦しまなければならなかったのだろう。
どうしてうちの家はみんなバラバラになってしまったのだろう。
どうして母は限界を迎え心を壊してしまったのだろう。
どうして燈矢兄は荼毘になってしまったのだろう。
どうしてみんなは死ななくてはならなかったのだろう。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる考えて、いつも一つの答えに辿り着く。
俺のせいだ。
俺が産まれて来なければあの家族は決定的に壊れることはなかった
燈矢兄が狂うこともなかった
家族同士で戦うこともなかった
俺が間に合わなかったからみんなは死んだ
一度父を殺して自分も死のうと思った時期がある、あの時にそうしていれば
俺がもっと強かったら
そうしたらみんなを救えた
みんなを救えるヒーローになりたかった
こんな俺も誰かの役に立ちたかった
誰かに必要とされたかった
わかってる
俺のせいだけじゃないってわかってる
でもそれは俺の罪が帳消しになる免罪符にはならない。
俺がこの事件の核で、あらゆるものを巻き込んだ厄災の煮凝りであるのは事実だ。
そして、それによって皆の人生を無茶苦茶にしたのも。
俺が、俺なんかが産まれてきたせいで。
何がヒーローだ。
何が助けたいだ。
俺みたいななにも成し遂げられないゴミ屑が、図々しいにも程があると自分で思わないのか?
皆も、皆の家族も、皆皆皆皆全部全部全部全部おれのせい
おれのせいなんだよ
しね
しねよ
お前がしねよ
なんで皆は死ななくちゃならなかった。
俺が死ねばよかったのに。
ガリ、と皮膚が剥がれる音が聞こえた。
腕に食い込んだ爪が音を立てながら肌を引き裂いた。
爪の間に血と皮が挟まっている。
なんだこれ。
湿気た傷だな。
皆はもっと苦しかったはずだ。
お前ごときがこの程度で許されると思ってるのか。
こんなことなら、産まれてこなければよかった。
俺なんて生きていなければよかった。
ごめんなさい、お母さん。
ごめんなさい
こんなことを考えて
親不孝で、最低な人間でごめんなさい。
緑谷は俺に『優しい人』と言ってくれたのに、裏切ってごめんなさい。
でも自分なりに頑張ったんだ。
いや嘘をつくな、もっとやれたはずだ。
やらなかったからこうなったんだ。
俺の甘えが、取り返しのつかないことを招き続けた。
だから守りたいもの、果たしたいこと、 そのどれひとつも叶わない。
俺なんかは、最初から 何かを望んではならなかったんだ。
「…………………………………………………………」
あ
プツリとなにかが切れた。
特にきっかけがあった訳じゃない。
もうずっと、一呼吸するだけで切れてしまいそうだった。
それが今だっただけだ。
俺はようやく布団から這い出た。
歩き方がわからない。
壁にもたれ掛かりながらのそのそと廊下を進む。
どうやら今は夜らしい。
外へ出た。
走れもしないから、何時間もかけて雄英の敷地外へ出た。
どこでもいい。
どこかにいこう。
そう思ったからだ。
もう、つかれた
_本当はわかっている。
産まれてから16年間、疲れてない日がない
_違う、こんなことをしている暇はない。
少しだけ、少しだけ休みたい、から休ませてはくれないだろうか
_でももう何を信じたらいいのかわからない。
これが終わったら頑張るから
_全て壊れた人間が
またみんなと一緒に頑張るから
_全て壊した人間が
だから、
、、
、
_のうのうと生きているのは、致命的な間違いだと思うから。
________………ぃてのニュースです。
本日未明、雄英高校ヒーロー科の男子生徒一名が行方不明になったとして、現在ヒーロー及び警察が捜索を続けています。
________________________
声がする。
「_____ろきくん」
誰かが俺を呼んでいる。
そうか、俺、呼ばれてるのか。
なら、返事をしねぇと。
でもまだ休みたい。
疲れてる。
動けない。
喋れない。
「_____どろき__きない?」
「_っぱ_____ざわせんせい_よん____」
「__なん_____れたかお____いか?」
「___ろき_________起きな。」
ざわざわと声が鼓膜を揺する。
やけにリアルな音になってきたところで頭がクリアになる。
……みんなの声が聞こえる気がする。
藁にも縋る思いで目をゆっくりと開く。
目の前に皆が居て、今までのは全部悪い夢だったのだと笑い飛ばしてくれることを願って。
「____あっ、轟くん。起きた?」
「……………みどりや」
「…?うん?どうしたの」
「……」
「あはっ!轟まだ寝ぼけてるー?」
「なんかお前路上で寝てたらしいんだけど記憶ある?」
「おはよー轟。大丈夫そ?」
「……」
「……?」
「轟くん?」
…
……?
ふわふわと揺れる深緑の髪
こちらを覗き込む澄んだ瞳
小さく結ばれた口元
それらを形取るものは、死んだはずの緑谷出久に他ならない。
その右横には飯田
後ろに麗日
隣に芦戸、葉隠
切島、上鳴、瀬呂、峰田、障子、常闇、砂糖、尾白、口田、耳郎、八百万、蛙吹、青山
爆豪
爆豪?
爆豪は?
爆豪がいねえ
「……ばくごうは」
ずっと声を出していなかったからか、息の抜ける掠れた声しか出せない。
緑谷はキョトンとして答えた。
「かっちゃん?かっちゃんならもう寝ちゃったよ」
「ねた………?」
「う、うん…この時間はもう寝てる時間だよ…?」
不安げにこちらを覗く皆の視線が刺さる。
頭が痛い。
「…っ、」
はきそう
「轟くん!?」
「轟!?」
________________________
この後パニックになって逃げ出す轟くん。
書いてて気づいたけど、A組全員死んでしまったなら相澤消太は確実に辞職せざる負えないだろうし、
世間のバッシングも酷くて轟くんは学校に通えず、精神的に家にいることも出来ず、病院にいるのが自然かもしれない。
もしくは相澤先生と二人暮し(ご都合)
それと、路上で轟をA組が見つけて寮で保護って展開になってるけど普通に考えて数日風呂キャンしてる且つ飯キャンしてるカリカリボロボロの轟くんを見てヒーロー科のあの子たちが『寮に連れて帰ろう!』とはならん気がする。
普通リカバリーガールか病院だよな…
相澤→轟→A組で依存してる(ここ重要)
過去トリップか幻覚かは未定。
何らかの個性が原因ってのと、結果現実世界から轟焦凍が行方不明となったってのは確定。