遊郭
女は着飾った自分を売って、男は色情を含んで女を買う。そんな場所は噂や時代の先端が密集する。
挙げ句の果てには、悪が蔓延る。
それを知っていても開かずの蜜に夢を見て人々は足を向ける。
「ナツ、お客さんだよ」
嗄れた女将の声に瞬きで返せば女郎が部屋へと案内する為に、立ち上がった。
「今行くよ」
青み掛かった黒髪を数本の簪で留めてあるせいで、俯くだけでカラン、シャラン、と金属が擦れる音が聞こえる。
木目の板が敷き詰められた長い廊下を、女郎に着いて行く形で進んでいけば大広間に着く。
「ありがとうな、ここまでで良いよ」
「これはお駄賃として貰っといてくれないかい?」
「1人で入った事がバァさんに知られたら怒られちゃうからね…口止め料」
そう言って袖内に入れておいた金平糖の入った小瓶を手渡せば、オロオロしながら「あっ、ありがとうございます…でも自分なんかがぁ…」と言っていた。
女郎が部屋へと戻ったのを確認してから、お行儀良く襖を開けた。
「今晩は」
ペコリと型式上のお辞儀だけを済ませて、部屋に入室した。襖を完全に閉めた。
「…いつ見ても様になっているな」
抑揚のない安定したトーンで、褒めてくる頬に刺青を入れた男…
「本当?無人に言われると嬉しい」
ここには今、無人と俺しか居ないから『ナツ花魁』でいる必要はない。
「今日も、面白い情報があるよ?」
「何から聞きたい??」
「何がある?」
「真澄のこと」
「京夜のこと」
「…四季」
呆れたかのように名前を呼ばれれば、揶揄うのも程々にして本題を話さなきゃな…と間延びした返事を返した
「せっかちだなぁ…じゃあ、京に出る悪人の話とかどうだい?」
無人の黒い目がフッと細められた。お気に召していただけたなら良かったよ…
「昨日、京の警備隊が遊びに来てくれてね。信用は出来ると思うよ」
雨でもないのに雨傘を自身の左側に置いて離れない徹底ぶりには、賞賛しかない。
「彼が言うには、京の入生田寺付近」
「誘拐に拷問だったかな…村人被害が大凡50前後」
「わかった」
「さっすがぁ…無人は話が早いね…京夜もそっちにいるだろうけど京夜は戦闘が主じゃないからね…」
「あっ!そうだそうだ」
既に立ち上がっていた無人の着物の裾を短く引いて、花魁特有の肌けた状態の格好で上目で見つめる。
「せっかく来てくれたのに…相手してくれないのかい?」
花魁としての仕事も少しは果たさねば!と思い毎度毎度断られる誘いを掛ける。京夜は葛藤しつつも乗ってくれる。真澄は時と場合によって変わる。
無人は一回も同衾の誘いに乗ったことはない。
「もうそろそろ、乗ってくれても良いじゃないか?」
「此処は花街なんだ…」
黙ったままの無人に追い討ちを掛けるようにそっと呟けば、無人は腰を屈ませた。
おっ!遂にか!!と思ったのも束の間、俺の頬は無人に掴まれていた。
「!、まっ、まっへ、!いひゃい!!いひゃいって」
「毎度懲りないな、四季は」
「無人ともしてみたいのに…」
少し膨れていれば、掴まれていた頬の力は抜けて優しく包まれた後に紅がささっている口にフッと柔らかい感覚が触れた。
目の前の無人の口には赤い紅が薄すらと移っているから、余計に扇情的に見えてしまう。
「帰ったら、考えておこう」
「これが終わったら、京夜の相手をするんだけど…///」
「…その時だけは花魁坂よりも先に四季の一夜を買わせてくれ」
言い残して行った口上の恋文に四季の顔は赤く赤く染まる。直球にも程がある言い方は四季も照れてしまう。
「あっついのが治りそうもないよ///」
設定
一ノ瀬四季(ナツ花魁)
最上級遊郭街『蝶蘭』の中でも一番の実績を持つ店『翠楼』の最上級花魁。
花魁になることで客から情報を聞き出している、一般客では手が出ないレベルの高値。性には自由奔放で色んな人と同衾しているが、信頼のおける人としかしてない。
禿(女郎)は見てわかる通りに屏風ヶ浦ちゃんです…
無蛇野無人
四季とは、客と花魁という関係性ではなく男女としての仲で同衾をしたいと思っている。出来ることならば今すぐにでも自分のものにしたいけれど、周囲がうるさい。
花魁坂京夜
医学に富んでいる為に色々と忙しい。暇さえあれば四季に会いに来ては栄養を補給している。四季に誘われれば一回は堪えるけど2回目は断り切れないし、本音を言えばヤりたい。
淀川真澄
練馬周辺で色々してる。四季に会いたいけれど時代先取りし過ぎなツンデレな故馨が一緒ではないと行こうとしない(そんなに)
たまにどうしても会いに行きたくなるから、そういう時はバレないように行く。同衾は断るけど度々四季の煽りに青筋を立ててヤることもある。
並木度馨
真澄の良き理解者。四季と何度か同衾を行った事がある。本命にはSっ気が出てしまう。紫苑を1番追い詰めた。
朽森紫苑
四季の処女をめでたく?貰った?奪った?人間。他の人に本気で殺されかけた。四季に会ってから他の花魁との関係はぶっちぎって四季一途になった。
皇后崎迅
四季に対してツンデレpart2、四季のいない所では普通に後方彼氏面をブチかます。2人だけになれば猫ちゃん(比喩)になる。
遊摺部
四季一途()な変態。四季の脱いだばっかりの着物をいつか収集したい夢がある。
矢颪碇
四季とは未だ一線を超えていない。っていうか接吻もしてないし、矢颪の前では四季は着物をちゃんと着てもらう。
屏風ヶ浦穂希
無蛇野が校長(仮)が送り込んだ四季の手伝いを任されている。本当は、屏風ヶ浦が花魁役になる予定だったけれども不安で死にそうになっていた為に四季が変わった。
それ故に四季には滅茶苦茶に恩があると思っている。(四季は全く思ってもいない)
ロクロand漣
うん…もう2人は仲良く結婚してくれ…
大まかな設定
桃太郎の人たちは政府公認の警備隊、鬼は政府非公認の組織。双方は仲が悪いわけでもなく良いわけでもないような関係性。
政府や人々から通報または、願いが出されて公に動ければ桃太郎が主に動く。公に出来ないようならば鬼が主に動く。
猫咲と印南は四季の護衛兼戦闘印南。
すみません…インターンシップで時間が取れずに狐狼の鬼神の続きが書ききれず、再び没ネタBOXから引っ張り出して、キーボードを叩きまくった次第です…
本当に申し訳ないです…
コメント
5件
最高ぉぉだよぉぉぉ!!👍
おいしおいしこれボツなのか…キーボード叩きまくった?つまり台パン? インターン?だっけお疲れ〜