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けい
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その日の飲み会は、企画の成功を祝う乾杯から始まった
須貝は「いやあ、今日のビールは格別だね!」といつもの大きな笑い声を響かせ、持ち前のサービス精神も手伝って、次々とグラスを空けていた
しかし、楽しくなって完全にペース配分を誤ったツケは、店を出た瞬間に一気に押し寄せてきた
店を出て、夜の冷たい空気に触れた途端、須貝の体内でせき止められていたアルコールが急激に回りだす
須貝「…….ッ、ぁ……」
視界がぐにゃりと歪み、地面が激しく揺れたような感覚に襲われる
さっきまで赤らんでいた顔から、サーッと恐ろしいほどの血の気が引いていく
須貝はたまらず近くの電柱に片手をついた
乾「須貝さん? どうしたんすか、置いてっちゃいますよ」
少し前を歩いていた乾が、足を止めて振り返る
だが、須貝からの返事はない
ただ事ではない様子に、乾は慌てて引き返した
須貝「……ぅ、あ゛……く、そ……ッ」
須貝の口から、今までに聞いたこともないような掠れた呻き声が漏れる
身体は目に見えてガタガタと震えていた
胃の奥から容赦なくせり上がってくる猛烈な吐き気
喉の奥がヒリヒリと焼け付くように熱く、酸っぱい液体が口元まで上がってくるのを、奥歯を鳴らしながら必死に耐えている
脂汗が額からダラダラと流れ落ちていく
須貝「……はぁ、ッ、……う゛、……ッ、ぁ、たま、痛え……ッ」
乾「相当やばそうですね。ちょっと、こっちに寄りかかってください」
乾がすばやく肩を貸すと、須貝の大きな身体がずしりと預けられた
自力で立っていることすら限界なのだ
須貝は胸元をぐっと掴み、呼吸を浅く繰り返す
「は……ッ、げほッ、……う゛、ぅ……」と過呼吸気味になるほど、強烈な悪心と戦っていた。乾は須貝を支えながら、少し離れた公園のベンチへとゆっくり移動した
ベンチに腰を下ろさせた瞬間、須貝は上半身を深く折り曲げ、頭を抱え込んだ
須貝「おぇ……ッ! ゲホッ、ぅ……、あ゛ぁ……ッ、うぅ゛……ッ」
えずきが込み上げるたびに、大きな背中がビクンと大きく跳ね上がる
胃が雑巾のように雑に絞られる感覚
収まらない波に襲われるたび、須貝の口からは「……ッ、ぁ、う゛、……おえ゛ッ……」と苦しげな声が途切れ途切れに絞り出された
視界は涙でチカチカと点滅し、頭の芯を巨大な金槌で殴られているような、激しい割れるような頭痛が容赦なく襲う
物理を極めた彼をして、「脳の血管が超流動を起こしてる」とわけのわからない思考に陥るほど、体の中のバランスが完全に崩壊していた
乾「須貝さん、無理して堪えなくていいですから。吐くならこっちに」
乾はすばやくバッグから広げたエチケット袋を差し出し、須貝の顔の下に構えた
須貝「……ッ、……お、えぇ゛、ッ……げほッ、ごほッ……!」
堪えきれなくなった塊が喉を激しく押し上げ、須貝は袋の中に激しくえずいた
いつも動画で見せるあの張りのある快活な声は微塵もなく、胃液が逆流する不快感に、絞り出すような掠れた悲鳴が混じる
須貝「お、ぇ゛……ッ!……う、あ゛、ぁ……ッ、おぇぇ゛……ッ!!」
胃が裏返るような激しい痙攣とともに、何度も喉の奥から込み上げてくる
涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、須貝は激しく肩を上下させ、呼吸もままならない状態で嘔吐を繰り返した
強烈な酸味と胃の灼熱感に、首筋の血管が今にもはち切れそうなほど浮き出ている。
須貝「う゛ぅ……ッ、げほッ、……おえ゛ぇぇッ……! ……ッ、くそ……ぅ、あ゛……」
一頻り中身を吐き出してもなお、空っぽになった胃は容赦なく収縮を続け、すっぱい胃液だけが何度も喉を焼く
「おぇッ……げほッ、ぉえ゛……」と、胸をかきむしりながら苦しむ須貝の背中に、乾はそっと手を当てた
須貝「……ッ、ごめッ、……ぃぬ、い……ッ、格好、つかね……う゛、ぅ……ッ」
乾「何言ってるんですか。ほら、ゆっくり息吐いて。吸って、吐いて。全部出しちゃった方が楽になりますから」
乾の落ち着いた声に合わせて、須貝は震える息を吐き出す
乾の手が、大きくて熱い須貝の背中を、上から下へとゆっくり、一定のリズムでさすり始めた
乾「大丈夫、大丈夫ですよ。ゆっくり」
トントン、と優しい刺激が背中に伝わるたびに、須貝の強張っていた身体の余計な力が少しずつ抜けていく
胃の激しい痙攣が、乾の手の温もりで徐々に凪いでいくようだった
どれほどの時間が経っただろうか。須貝の荒い呼吸がようやく静まり、深く長い溜息へと変わった
須貝「……すまん、乾。まじで助かった……命の恩人だわ……」
涙目のまま顔を上げた須貝は、まだ青白い顔ながらも、ようやく少しだけいつもの笑みを浮かべた
乾「まったく、明日も朝から動画の収録あるんですからね。ほら、水飲んでください」
乾は呆れたように笑いながら、キャップを開けたペットボトルを差し出し、衰弱しきった先輩の様子を優しく見守っていた
コメント
6件
好き🫵🫵🫵 酔っ払いだけでも大好きなのにプラス嘔吐とか……やばい癖把握されてるッ…?!?!?! ナイスガイが頭痛いって言った瞬間こっちまで頭痛くなった、ありがとう()

リクエストありがとうございます!!!! いやぁ飲みすぎ...いいねぇ...() 須貝サマの場合、自分から飲みすぎることもあるだろうけど、それよりも他の人(お酒飲めない人)のお酒を飲んであげてそう(語彙力よ) やっぱ吐く描写って書いてて楽しい((((((殴 最年長だからって我慢しそうな須貝サマも、それに気づいて須貝サマを楽にさせるために働く(?)毒舌乾サマもどっちも好き まじで楽しかったですまたリクエストください!!! ちなみにこの日から須貝サマのお酒の量は乾サマが管理するようになったとかならなかったとか
第6話読みました…!須貝さんの酔っ払ってるところ、すごく生々しくて苦しそうで、こっちまで息が詰まるような描写でした。でも、乾さんの「大丈夫、大丈夫ですよ」って背中さすりながらの優しい声が、すごく沁みましたね。普段は頼りになる先輩が弱ってるのを見せるのも、人間らしくて好きです。二人の信頼関係が感じられて、あったかくなりました🥀