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🐰side
屋上には誰もいない。空を見上げると少し陽が落ち始めていた。
ため息をこぼしながら、屋上から見える景色を眺める。
校庭では後夜祭が行われ、全校生徒が集まっていた。
それぞれ歌をうたったり、告白タイムだなんて盛り上がったり楽しそうに過ごしている。
そんな様子をボーッと眺めながら、カイリュウのことを思い出す。
あの日、想いを伝えてからカイリュウはどんなことを考えて過ごしていたのか。
少しでも、俺と同じことを考えてくれただろうか。
突き放されたと思ったら優しくしてきたり、思えば振り回されてばっかやなあなんて振り返る。
でもそんな姿も愛おしくて。
ーーー今日、歌うカイリュウを見て改めて思った。
俺を選んでくれなくてもいい。ただ、ずっと笑っていてほしい。
心からそう思えた。
人生で初めて好きになった人。
なんでも表情に出て、屈託のない笑顔を見せてくれる。イタズラ好きで子どもっぽいところがあるくせに、たまに年上らしく余裕な姿を見せてくれたり。
好きの気持ちが抑えられなくなって困らせたりもした。
そんな日々が苦しくて、でもカイリュウの姿を見るたびにそんなことは忘れてしまって。
そんなことを考えていたら辺りは暗くなっていて、外灯の小さな灯りが屋上を照らしていた。
ガチャと扉が開く音がする。
音の方へ目を向けると、カイリュウがゆっくりとこちらへ向かっていた。
「、、すまん、待たせた。」
「っ、全然ええよ。来てくれてありがとう。」
ぎこちない会話に気まずさを感じる。
少しの沈黙の後、カイリュウがゆっくりと口を開く。
「、、正直、セイトのこと、そういう意味で好きか、自分でも分からん。」
ーーその言葉に心臓が早まり、手に汗が滲む。
「年下やし、てかそもそも男同士やし、、なんで、俺なんって思う。
、、お前に好きって言われてから、どんな風に話してたかとか、分からんくなって。自分が、自分じゃなくなるみたいで、っ。」
嫌や。その先を言わんで。
そう思い、口を開こうとするとカイリュウの唇が微かに震えていることに気がついた。
その姿を見てハッと頭が冷静になる。
ーーああ、やっぱりカイリュウは優しい。
こんな俺にも正面から向き合ってくれて大切に言葉を選んで伝えてくれてる。
それだけで、もう十分や。
「、、カイリュウ、ありがとう。困らせてごめんな?ちゃんと言ってくれて嬉しい。」
「っ、せ、いと、、」
「俺は大丈夫やから。わがままかもしれんけど、これからも友だちでいてほしい。」
そう言ってカイリュウの頭を撫でて、扉へ向かう。
涙が出そうでカイリュウの方は見れないまま扉に手をかけた瞬間ーー
「せえと、っ!最後まで、聞けやっ、、!」
振り絞ったようにカイリュウが叫んだ。
振り返ると、涙目になりながらカイリュウがこちらをじっと見つめいた。
「、、ええって。もう俺は大丈夫やか「だから!!最後まで人の話聞けや!」
勢いよく話を遮られ、少し驚きながらもカイリュウの話に耳を傾ける。
「お前のこと、好きか分からん。嘘つきたくないからちゃんと言う。でも、でもっ、、お前に好きって言われて、嫌やなかった。」
「カイリュウ、、?」
「あの日から、お前ち、近いし、ドキドキさせるようなことばっか言ってくるし、頭おかしくなりそうやねん、、!
いつの間にかお前のことばっか考えてるし、、、お前が告白されてるとこ見て、なんかよう分からんけど嫌、やった、っ、、!」
「っ、何言ってるん?カイリュウ。やめてや、振るならハッキリ言ってくれや、、!」
「だからっ、!なんで振るみたいになってんねん、、!
俺、、、俺!セイトのこと、気になってる、と思う。
やし、向き合いたいって、隣におりたいって、
隣におるのは、、俺じゃなきゃ嫌やって、思った。
これじゃ、、、ダメか?」
顔を赤くしながらそう話すカイリュウを、気づけば強く抱きしめていたーー。
「、、、ダメ、ちゃう。それでええ。今は、それでええから、俺の隣におって。」
早まる鼓動を必死に抑えながらそう話すと腕の中で静かにカイリュウが頷く。
「っ、あかん。俺泣きそうかも。」
「ふっ笑 お前ほんま俺のこと好きやな〜」
「、、うん。好きや。世界で一番大好きや」
「っ、恥ずいやつやなお前、、!」
そう言って顔を見合わせ、2人で笑い合った。
その瞬間に花火が上がり、カイリュウの顔が明るく照らし出される。
キラキラとした瞳に俺が映る。
花火に沸き上がる生徒の声が遠く聞こえ、今だけは世界に2人だけに感じられた。
視線を交わし合った後、どちらからともなく、そっと唇を重ね合わせたーー。
ーーーーー
〜半年後〜
「セイちゃーん!あんたまた大事な日に遅刻して!今日から2年やで?しっかりしいや!」
「ごめんって、、は〜ナオともランともクラス離れたの嫌やな〜」
「大丈夫やけん、ちょいちょい遊びにいくから、な?ナオヤ」
「そーそー!ええやんリュウキとトムちんと一緒のクラスなれたんやから!さ、教室行こ!
あ、、セイちゃん。あそこ、、!」
ナオヤが指差す方に目を向けるとそこにはカイリュウが立っていた。
「もー朝からラブラブやな〜?ほら、行っといで!先生には適当に言っといたるから」
「、、、ありがとうナオ。」
そう言って走り出す。
「カイリュウ!」
「お〜遅かったな〜、待ちくたびれたわ」
「待っててくれたん?」
「当たり前やん。、、彼氏なんやから。」
「ぐふ笑 嬉しすぎるわ」
「何笑っとんねん笑 さ、新入生声かけいくぞ〜」
「あ、待ってや!」
ーーー
春。一年前と同じ、桜が鼻先を掠める強い風の日。
ただ違うのは、隣を歩いてくれる人がいることーー。
end.
ーーーーー
めちゃくちゃ長くなりましたが最後までお付き合い頂きありがとうございました😭
また、いいねやフォローもありがとうございます泣
番外編として他カプも描いていければと思います🙇♀️
コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 最終回、読ませてもらいました……。 もう、胸がいっぱいで言葉にならないです😭 カイリュウの「好きか分からんけど、嫌やなかった」って、不器用なのにすごく誠実で。 自分の気持ちをちゃんと伝えようとして、涙目で叫ぶ姿が目に浮かびました。 「隣におるのは俺じゃなきゃ嫌」──そこからの抱きしめ合って、花火の下でキス。 尊すぎて何度も読み返しました……。 最後の春のシーンで「隣を歩いてくれる人がいる」って締めくくるところ、もう完璧すぎて泣いた。 あめさん、長編お疲れさまでした。 本当に素敵な物語をありがとうございます。 番外編も楽しみにしてます🌙