“ 交渉をしよう ”
そう言って薄く笑うその男の顔がやけに嫌に
やけに美しく見えてしまった
俺には親がいない
正しくは俺達には親がいない
物心ついた頃に俺は実の親から捨てられた
世間では孤児と呼ばれる存在だ
そんな俺を拾ってくれたのは孤児院の母のような存在の女性だった
暖かい寝床 、温かいご飯 、温かい家族という存在
全部全部とても幸せに感じた
その中でも兄のように慕う人がいた
トパーズの様な瞳 、グラデーションのかかった髪色 、女性の様な長髪 、優しく笑うその顔
俺の尊敬する人で本当の兄のように感じた人
でも俺が12歳程の時だろうか
兄として慕っていたその人が
孤児院から姿を消した
朝起きるとそこにいるはずのその人はいなかった
その日から俺は孤児院の中で最年長となった
きっとあの人が見たら” 似合わないな “なんて笑って言うのだろう
もう一度会いたい もう一度その手に触れたい
そんなことを考えているといつの間にかあの日から一年が経っていた
夜中、たまたま寝付けなくて起きていた
するとどこかから大きな物音が聞こえた
何かと思って部屋を出てリビングへと向かった
リビングに着くと俺は目を見張った
その場で血を流して倒れているのは血は繋がっていないが俺にとって父と母という存在
そして倒れる2人の中央に立つ人影
そこに居たのは一年前消えた慕っていた人
そう 、悠佑だった
返り血で濡れた服、長く鋭い刃物を持つ悠佑はひどく冷酷な目をしていた
🤪 )あにき…?
🦁 )………
🤪 )あにきっ、!
🤪 )なんで、ここに!
🤪 )父さん達も、
🦁 )………
🤪 )ねえ、あにき
🦁 )……
🤪 )…なんで何も答えてくれないの、?
🦁 )………いふ、
低く重い声で言われた名前
体がびく、と反応する
🦁 )交渉をしよう
🦁 )お前は俺がこいつらを殺した所を見た
🦁 )本来ならお前も、ここにいる奴ら全員殺すべき対象だ
🤪 )っ、あいつらはだめや!
弟の様な奴ら
しっかり者のないこ、お笑い担当の初兎、あほなほとけ、最年少のりうら
あいつらは殺させない
🦁 )俺はお前達を殺さない
🦁 )だからお前は今見た事、絶対に言うな
🤪 )……わかった、
🦁 )…じゃあな、
そう言って俺に近づく悠佑
首元をとん、と叩かれた瞬間俺は深い闇へと落ちていった
? )………ろ、…ろ!!
? )まろっ!!
🤪 )んぇ…ないこ、?
🍣 )そうだよ、
🍣 )こんなところで寝てたら風邪ひくよ?
🤪 )ぇ…なんでここで、、
🤪 )ぁ、!父さん達は!?
🍣 )今探してるんだけどいないの…
🤪 )……
あのことをこいつに伝えてもいいのだろうか
そんな考えがぐるぐると巡る
🐰 )まろちゃぁぁん!!父さん達どこか分かる?
🐤 )りうらお腹すいたぁ…
💎 )………
🤪 )…買い物にでも、行ったんかもな
嘘をついた
この世にいないなんて伝えるなんて残酷すぎたから
その後は親が見つからないことから
俺ら5人は離されて別々の道へと進んだ
あの日から10年が経過した
今、俺は23歳
俺は社会人になって他の奴らもきっと職に就いたり自立できる年齢になったのだろう
10年が経ってもあの日の事を忘れられず今も俺はあの人を探している
そんな俺、ただいまピンチです
ことの発端はとある店に寄ったこと
異様な雰囲気を放つその店に引き寄せられるように入店していった
ここだけ聞いてもただの店に入った野郎だと思うやん?
でもそこにいたのは10年ぶりに会ったあの人
俺の恨んでる奴で慕っている奴だった
🦁 )いらっしゃい
🦁 )待っとったで
そう言って少し口角をあげる彼
🤪 )……別に、待ってなくてええんやけど
おかしい
あの日からたしかに10年経っているはずなのになんでだ
そのトパーズ色の瞳も長い髪も笑った顔も全部全部10年前と同じだ
背丈も10年前は167cm程だったと思う
それも変わっていない
🦁 )そんな焦んなよ
🦁 )少し話そうや
🤪 )…………
🦁 )そんな警戒せんでも取って食ったりせんよ?
🤪 )あんたならやりかねない、
🦁 )まあまあ 、まず座ろうや
そう言ってカウンター席に座らされた
バーのような雰囲気を放つのだがその中になにか不思議などろどろとした雰囲気が漂っている
🦁 )ほら、一杯ぐらい飲んでや
そう言って差し出された青いカクテル
しかし彼は父と母を殺している
そう簡単に信じられない
このカクテルにも毒でも入ってるかもしれない
そんなもの安易に飲み干すほど俺はばかじゃない
🦁 )そんな警戒すんなよ、
🦁 )毒とかは入ってないんやから
🤪 )そう簡単に信じられるわけないやろ、
🦁 )んー 、どうやったら信じるかなぁ
🦁 )あ !そうやそうや 、
🦁 )言っとくけど俺、殺し屋辞めてるから
🦁 )今は毒も取り扱ってないから安心してや
🤪 )………
信じてみてもいいのか
これが嘘なら俺は多分しぬ
それでもいい 、と思い俺はカクテルを1口のんだ
🦁 )どう?
🤪 )…ただのカクテルって感じ、
🦁 )そりゃ普通のカクテルなんやから当たり前やん
そう言って笑う彼は昔の優しい彼に似ていた
🤪 )……で、なんでこんなところにいたん?
🤪 )それに、俺を待ってたってどういうこと
🤪 )全部話してや
🦁 )やっぱそこ気になるん?
🦁 )んー……
少し考え込んだ後にその男は小さく笑みを浮かべる
ゆるりと上げられた口角、妖艶なその瞳
吸い込まれそうで体が強ばる
男の口が開く
俺は拳を強く握ってその男の言葉を待つだけだった
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私的に孤児院って聞いた瞬間「ある一定の年齢になれば孤児院を出てどこかへ行ってしまう」( 里親に引き取られるとしているが本当は何らかの理由で56されてしまう )。それに気付いた黒さんは弟達を失わない為に孤児院を抜け出して56し屋になって帰ってきた。だけど 弟達に本当の事は言わなかった。何故なら 弟達はこの孤児院が大好きだから って勝手に想像しました 某少年漫画を見過ぎた結果ですが … 💦
🖤くんは、何かの事情があって♡♡♡屋になって……、母と父を殺害……、💙くんは殺害の件をみんなに明かさず10年が経過…… こういう社会の闇(?)系の話大好き……