※妖怪パロ
夜がせまる黄昏時
茂みの奥に何かの気配を感じた
ーみられている
姿をとらえようと鬼火を焚くとソレの瞳が光を返す
獣ではあるようだが、あまり大きくはない
ーイタチかタヌキか…
それらしいものを思い浮かべていると、段々とソレが近づいてきた
いよいよ茂みを抜け、その姿があらわになる
ソレは真っ白な…
「ねこ?」
チリン
「だめ、わたしの」
「わっ…」
鈴のオトと共に肩に重みがかかる
まちこが後ろから首に絡みつくように腕を回していた
「まちこ?」
「キミの居場所はここじゃないよ」
まちこが白猫に向かって喋りかける
一緒になってソレに目をやると輪郭がボヤけていて、獣でも妖でもないのだと悟る
「ほら、教えてあげるから」
ーあきらめて
少しの間を置いて、白猫はまちこが示す方向にゆったりと歩いていった
どうやら穏便にカタがついたようだ
「まちこ」
「ん!一件落着!」
「”わたしの”ってなに」
懐かない割には随分と勝手なことを言うじゃないかと、少しだけ語気を強める
「四つ足の獣が好きだからな〜、はちは」
「なによ」
「油断大敵!じゃあね」
「ちょっと!」
分が悪いと踏んだか、捕まえる間もなく跳んでゆく
まったく…いつもどこからともなく現れて、いずこともなく去っていく
ーー気ままな猫は、今日も私の元に留まらない
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