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※❤︎:瑞稀 空白:麗奈
私、斎藤 麗奈。24歳
もう、何もかもが嫌になってしまった。
私の実家は、大きな会社の社長である。後継のために私を無理やり結婚させようとしている。
もううんざりだ。私の意思を全く無視する父、父に逆らえず見てみぬフリをする母。
誰も私を解放してくれない。
突然外に出たくなったはいいが、行き先もなくこの古びた公園のブランコに腰をかけている。
季節は夏。夜は比較的涼しいがやはり空気が生暖かく、それが少し気持ち悪い。
こういう時は好きな音楽を聴いたり、友達と話したりすると良いと聞くが、親に縛られてきた人生を生きてきた中、こんな夜遅くに気軽に呼び出せる友達もいなければ、好きな音楽も特にない。
私って、寂しい人間なのだなとつくづく思う。
そう思っていたら、足音と共に缶の中の飲み物が缶の側面にあたる音が聞こえてきた。
❤︎「こんばんは」
声をかけられて上をみると、綺麗な黒髪の女の人がいた。反射的に挨拶を返す。
「こ、こんばんは」
❤︎「どうしたのですか?思い詰めたような表情をしていましたが。」
「あはは、そんなに顔に出ていましたか、私。」
❤︎「ええ。」
そう言って、黒髪の女の人は隣のブランコに腰をかけた。
❤︎「あなた、名前は?」
「私、麗奈と言います。」
❤︎「そう、素敵なお名前ですね」
「ありがとうございます、あなたは?」
❤︎「私は、瑞希と言います。この公園はよくいらっしゃるのですか?」
「いいえ、今日初めてきました」
❤︎「そうですか、古めの公園ですよね」
「そう、ですね。」
❤︎「あ、ココア苦手じゃないですか?」
「はい、ココア美味しいですよね」
❤︎「よかった、よければどうぞ。ここに来る途中にコンビニで買ったんですよ」
「ありがとうございます、えっと。なぜ2本も?」
❤︎「今日の帰り道用と明日の朝用です」
「どちらを貰えばよろしいですか?」
❤︎「そうですねー、では今日の夜用をプレゼントしましょう」
「ありがとうございます」
❤︎「いいえ、こちらこそ。1人でいるには少し寂しい気分だったので嬉しいです」
「奇遇ですね、わたしもです」
❤︎「運命でしょうか笑」
「さぁ笑」
❤︎「ところで、未成年だったりしませんよね?」
「はい?」
❤︎「こんな時間まで、大人が子供と外にいるのは良くないかと思いまして」
「あははっ、大丈夫ですよ。わたし、24歳なので」
❤︎「いくつかとは聞いていません笑。お若く見えますね」
「そうですか?」
❤︎「はい」
「ちなみにあなたは」
❤︎「麗奈さんより年上ですよ」
「そうですか。あ、ココア頂きます」
❤︎「どうぞ」
「ッ…美味しい」
❤︎「でしょ、おすすめです」
「そういえば、瑞希さんこそ何故ここへ?」
❤︎「仕事、疲れてしまって。上司が酷いんですよ、本当に」
「パワハラとかですか?」
❤︎「まぁ、そんな感じです。」
「それは大変、ですね。」
❤︎「セクハラも酷くて、私の部下達がすごく困ってるんですよ…」
「なるほど」
❤︎「さっさとこの仕事辞めてほしいです笑」
「瑞希さん、辛口だ笑」
❤︎「そうですか?笑」
「ええ。」
❤︎「麗奈さんは何故に?」
「私、現状に違和感と疲れを感じてしまい…」
❤︎「家族関係、それとも友人関係とかですか?」
「実は私、〇〇会社の社長の娘でして」
❤︎「え、あの大企業のですか。それはすごい」
「父は後継が欲しいようで、私への結婚の強制と友人関係への束縛が激しくて…」
❤︎「そう、ですか。私の家とは真逆の環境なのでなんとなくでしか想像がつきませんが、大変なのですね。」
「そうなんですよ、本当に毎日大変で。」
❤︎「私なんかに言われても嬉しくもないと思いますが…」
❤︎「頑張ってるんですね、偉いです。(撫)」
「ッ……。」
私の欲しかった言葉を瑞希さんはくれた。幼い頃から英才教育を施され、勉強もスポーツもできて当たり前。
たとえ100点を取ったって、賞賛の言葉をくれない父。声かけは「そうか、これを維持しろ。」以上だ。
学校でも、麗奈はできる子。優等生。というイメージがつき周りから少し避けられていた。
❤︎「麗奈さん、?」
「ご、ごめんなさい、嬉しくてッ…(泣)」
❤︎「年上の私からの助言です。聞き流してくれても構いません」
❤︎「君は抱えすぎです。少しは誰かにその辛さを話してください。話すだけでも楽になれますから。あと、しっかり睡眠はとってください、目の下のクマが酷いです。頑張ることはもちろん大切ですが、休むことも同じくらいの大切です。無理しないで…。」
「……ッうぅ、(泣)」
❤︎「………。(抱締)」
❤︎(きっと麗奈さんは小さな頃から耐えてきたのだろうな、すごいな…。)
「ごめんなさい、良い年した大人が泣くなんて…。」
❤︎「良いんですよ、泣いたって。泣きたい時は泣いてしまった方が楽です。」
「…、はいッ」
❤︎「あ、でも泣きすぎはだめですよ。もう夜遅いのでご近所さんに迷惑です笑」
「あは、確かに笑」
❤︎「お家はこの辺りなのですか?」
「いえ、ここから電車で30分以上はかかります。」
❤︎「えっとー、時間大丈夫ですか?終電、間に合います?」
「あ………、アウトです笑」
❤︎「あははっ、私、ここから15分くらいなのでよければ泊まりますか?」
「えっ!?」
❤︎「流石にそれはというならあそこのホテルおすすめですよ」
「えっと、では…瑞希さんのお家行ってもいいですか?」
❤︎「もちろんです。では、タクシー呼んだので帰りましょうか。」
「はいっ、ありがとうございます!」
❤︎「いいえ、これから仲良くしてくださいね」
「もちろんですっ!!」