テラーノベル
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気になるあの子はよく”大丈夫”と言う。
何があってもなんて事ないよう振る舞うから、すぐに周りは気付かない。
今日、なんとなく彼の声が枯れている気がした
気のせいかもしれないけれど、
もう少しで22時になる頃
キッチンへ向かい、ケトルでお湯を沸かす。
用意するマグカップは1つだけ
いつ渡しに行こうか悩んでいたら、タイミング良く彼が来た。
『dn、これあげる』
『今日寒いから』
なんて素っ気なく言ってしまった
他に言い訳が思いつかなかった
受け取る指が近づいて、触れないまま距離だけが残る。
まだ、この距離なら誰に見られても問題ない
「わ、ありがとう」
1口飲み、少し表情が緩むのを見て可愛いなんて思っても言わない
『……』
「……」
お互い何か話をする訳ではなく、ただただ静かな時間が過ぎていく
あなたが心配、とは言わない
だってまた”大丈夫”と返されてしまうから。
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翌日dnが熱を出したと人伝に聞いた
必要そうな物を買いに行こうと思い立って、上着を羽織る
お節介かもしれない
けれど、他の人に先を越されるのはなんだか癪だ
ある日芽生えたこの想いに、こんなにも振り回されると思ってもいなかった。
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