『…はぁ…』
カラフルな工場に見合わないため息をつく。
『なんで…開発担当とかじゃないのか…?』
今日は手紙に書いてあった約束の日。
これからの上司に当たる人に自己紹介をして、配属先を聞いたのだが。
『っんでカウンセラー…私がやったところで怯えられるだけだろ…』
子どもは苦手だというのに、カウンセラーという職務に就かされてしまった。
自分自身でもわかるほど目つきが悪いというのに…。
『…はぁ…』
ため息は止まることを知らなさそうだ。
『…あ〜…ハル・リキッドです。よろしく…』
工場内を彷徨っていたら、同期となる者たちと会えたので、社員寮に来た。
…けど。
(なんっで自己紹介なんざしなきゃならん…⁉︎)
モブ「ねぇねぇ、役職は?」
私は子どもというより、人間と関わるのが苦手なようだ。
『…役職はカウンセラー…。まぁ、あんま関わらないでしょう…。』
部屋知らないからさっさと行きたいんだが…
ガチャ…
[せんせ…?]
心の中で悪態を吐きまくっていると、4〜5歳の子が扉を開けた。
『…誰か探してるのか?』
同期たちは戸惑って固まっていたため、嫌だったが声をかける。
[う、ううん…迷子になっちゃって…]
涙目になりながらそう言う子ども。…プレイケアからここまで距離あったと思うんだが…
『…なら、プレイケアまで案内しよう。…ケガの治療も一緒にな。』
[き、気づいてたの…⁈]
ずっと腕を庇うように立っているのと、流血跡…顔色も悪そうだな。
『当たり前だ。医務室にも行くからな。』
[は、は〜い…]
プレイケア…医務室にて。
『これは?痛いか?ギュッ…』
[イタタタ…泣 痛いよせんせぇ!]
この程度で痛がるのは異常だな…
『…どこかで転んだりしただろ。何した。』
[え、っと〜…滑り台からおちた…]
『絶対そのせいだなんでさっさと医務室行かなかった⁇』
[ウゥ…泣 だって…怒られると思ったんだもんッ…]
『馬鹿か。それで悪化する方がもっと怒られるぞ。』
[泣…ごめんなさい…]
まだ謝れるだけ救い様があるか。
『包帯巻くからな。三週間は取らない事。毎日医務室に来ること。いいな。』
[は、はい…あ、せんせぇってお名前なんていうの?]
…言ってなかったか。
『ハル・リキッド。ハル先生かリキッド先生って呼べ。』
[ハルせんせい!いい名前!ありがとハルせんせ!]
『お〜。今日から医務室管理とカウンセラー担当になった。よろしく。』
…さっそく問題児一人発見。面倒臭い…。
コメント
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名前褒められると付けた私も嬉しくなるッ