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グラウンドでのあの出来事から3日経った。
朝のホームルームが終わると、すぐに音楽科の授業が始まった。
1年生の教室はまだ少し浮ついた雰囲気で、みんな自分のポジションを探っている感じだ。
俺は窓際の席に座って、ノートに昨日作ったメロディーのコードを書き込んでいた。ギターの音をイメージしながら指を動かす。
休み時間になると、イ・テヒョンが机に寄りかかってきた。
「レン、噂で聞いたぞ! カン・ソウォン先輩にボール飛ばしちゃったんだって? マジかよ。アイドルに怪我させたらお前の学校生活終わりだぞ」
隣の席からスン・ソンジェが大げさに身を乗り出してきた。
「へえ〜、レンがアイドルと絡むなんてな。どうだった? かわいかった? ファンサービスしてくれた?」
俺はため息をついてペンを置いた。
「かわいくも何もねえよ。ただ軽く怒られただけ。俺も謝ったけど、なんか腹立ったから喧嘩腰になっちゃってさ。……めんどくせーな、あの先輩」
テヒョンが目を丸くする。
「喧嘩腰? お前、アイドル相手にそれやるかよ。普通なら『すみませんでした!』って土下座レベルだろ」
「アイドルとか知らんし、てかグラウンドの近く通るのもどうかと思うよ。危ないだろ」
ソンジェがケラケラ笑いながら俺の背中を叩いた。
「羨ましいぜ、俺もボール投げてみたかったわ」
「羨ましがるなよ。関わりたくないって」
午後の授業は「コラボレーション基礎」というグループワークだった。
先生が「今月の課題は他学年との合同になる可能性が高いから、まずはクラス内で簡単なアイデア出しをしておけ」と言って、4〜5人ずつのグループに分けた。
俺、テヒョン、ソンジェの他に、ナヨン、ドヒという女子2人が同じグループになった。みんなまだ顔見知り程度の関係だ。
「じゃあ、まずはそれぞれが今作ってる曲やアイデアをシェアしようか」
テヒョンがリーダーっぽく切り出した。パソコンから短いデモを流した。雨の音をイメージしたバラードのメロディーだけ。
ソンジェがすぐに反応した。
「うわ、いいじゃんこれ! なんか切ない感じする。ボーカル誰が歌うかで全然変わりそう」
ナヨンが「これ、ソウォン先輩みたいな綺麗な声で歌ったら絶対いいよね」と言った瞬間、俺は少し顔をしかめた。
ソンジェがニヤニヤしながら俺を見てくる。
テヒョンが笑いながら言った。
「レン、そんな嫌な顔するなよ」
グループワークは意外と盛り上がった。
ソンジェがお調子者らしく派手なラップを提案したり、テヒョンがシンプルなビートを考えたり、俺はメロディーのアレンジを少し変えてみせたりした。
時間はあっという間に過ぎていった。
授業が終わって荷物をまとめていると、窓の外に春の柔らかい陽射しが差し込んでいた。
まだ桜の花びらが少し残る4月の風が、教室の窓から入ってくる。
家に帰る道、俺はいつものように漢江沿いの道を歩いた。
スマホで今日グループワーク中に作った簡単なアレンジをもう一度聴く。
ふと、さっき女子が言っていた「ソウォン先輩みたいな綺麗な声」という言葉が頭をよぎった。
「……バカかよ」
小さく呟いて、ヘッドホンを耳に深く押し込んだ。